心の伊達市民 第一号

グルメ探訪

マンションに住む女房の友人のHさんが、耳寄りな情報を知らせて来た。
彼女は「門前仲町に美味しい天婦羅屋がある。天婦羅の神様と言われるS氏の弟子の店で、安くて美味しいとテレビのグルメ番組で言っていた」と言う。


私はその少し前にNHKの「プロフェッショナル」というドキュメンタリー番組で、S氏を見たので、名前は知っていた。Hさんは相当なグルメなので、信用して行ってみることにした。





富岡八幡宮に入って、すぐ左にある「深川めし」の店。


私が女房を誘うと、「先ずあなたが1人で行ってみて、良かったら家族で行きましょう」と言う。
これには理由があって、「今までに初めての店に行って、満足したことは殆ど無い。その経験から、家族3人で行って不味かったら3人が被害者になる。だからあなた1人で行けば、被害者は1人で済む」と言うのだ。理屈には合っていると思うが、「なんだか変だなー」と思いながらも、そうしてしまう。





富岡八幡宮を過ぎて、すぐ左手の贔屓の日本蕎麦屋「萬壽庵」。


店は門前仲町の商店街を少し過ぎた辺りにあるはずだ。
だが分からない。ウロウロしていたら、小さな紙が貼ってある壁があった。
そこは小さなマンションの2階に上がるラーメン屋の横の狭い階段の入口だった。


紙には下手な字で「エビ・穴子天丼 750円、昼のおまかせ定食 950円 XXX」と書いてあった。
開店時間は11時45分なので20分ほど早いが、階段を上り2階の入口に先頭で時間まで待つことにする。




天婦羅屋「XXX」は看板が無く、2階に上がるマンションの入口にある貼り紙だけ。


店には看板も無く、名刺が鉄の扉に貼ってあった。
開店時間になり、店内に案内される。その頃には開店を待つ人で、階段は埋まっている。
カウンター席に座り、天丼を注文する。店内を眺めたら、カウンター席が6席、テーブル席が12席の狭い店だった。店は夫婦2人で切り盛りしているようだった。
水は出されたが、お茶は出て来ない。少し嫌な気分が漂い始めた。




「XXX」はマンションの部屋。 この名刺が鉄の扉に貼ってある。


私は天婦羅を揚げているオヤジの目の前の席に座ったので、調理をしているのが良く見える。
小ぶりのエビが5匹も串刺しで油の中に入れられる。揚げられた頃を見計らって、そのまま汁に浸してからご飯の上に乗せる。そして、串を抜き取る。こんなやり方は初めて見た。
他には小さめのあなごと、野菜はナスとピーマンだった。
ピーマンは揚げ過ぎて、小さくなってしまっている。




天丼は海老5本、あなご、ナス、ピーマンと、味噌汁で750円のバカ安。


1番目に私に出て来た天丼を食べる。エビを避けて、ご飯を食べて驚いた。昨夜の残りのご飯のようだ。
炊き立てではないのは、すぐ分かる。しかも保温器に長く保存してあったせいか、底に当っていた部分が硬いダマ状態である。掛けられた汁は辛過ぎる。私はグルメではないが、女房の影響で料理には詳しい。


私から言わせれば、オヤジは料理人の心構えが出来ていない。師匠のS氏が知ったら、嘆くだろう。
女房は正しい。やはり被害者は私1人だけだった。




「XXX」の上の3階には、壁に美味しそうなラーメン屋の貼り紙が。



(おまけの話)
同じマンションに住む友人のXさんにランチに誘われた。
私のうなぎ好きを知っていて、「橋本さんに一度は食べてもらいたいうなぎ屋が、浅草橋にある」と言った。Xさんが現役の時に仕事で浅草橋に行くと、いつも食べていた店だそうだ。
私のうなぎの贔屓店は言わずと知れた「野田岩」なのだが、「大丈夫かなー」と思ったが、お誘いに乗ることにした。




お客の顔を見てから、うなぎを裂く。      切り落とされたうなぎの頭。


店の名は「よし田」といい、駅からすぐ近くである。
構えは普通で、「ふぐとうなぎ」と看板に書いてあるので、両方やるのが少し気になった。
店に入るとカウンター席と小上がりがある。我々はカウンター席に座る。


ここからオヤジが調理をする姿が丸見えだった。うなぎ屋では珍しい造りだ。
最近のうなぎ屋は奥の調理場で作って運ばれて来るので、どんな調理をしているか分からない。




電熱器で白焼きにする。(炭火なら、もっと良かった)



オヤジは駕篭からうなぎを取り出し、まな板の上にキリで止め、包丁で手際良く裂いた。

それを串に刺し、炭火で白焼きにする。そして蒸籠蒸しにした。
次にまた炭火で焼いて、タレを付けてまた焼く。これを何回か繰り返す。
そしてお重の白米の上にタレを垂らしてから、焼き上がったうなぎを乗せた。




焼き上がったら、蒸籠で蒸す。 タレを付けて焼く。



この間、約40分のうなぎの調理ショーである。
最近はうなぎを裂くところから、焼き上がるところまでは見たことは無かった。
期待を込めて見続けているこの時間(40分)が、私の食欲を否が応でも増してくれる。
女将さんが運んで来たお重の蓋を開けて山椒を振りかけて、箸でつかんでうなぎの乗った御飯を口に運ぶ。
美味かった。幸せな気持ちになった。惜しむらくは、もう少し米が良ければと思った。




出来上がり。(肝吸い付き・3671円)




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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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