天才には変わり者が多いです。

敬愛するピアニスト,グレン・グールドは,世界的指揮者,オーケストラ,聴衆を前に,椅子がどうもしっくり行かないと小一時間調整したそうです。その時の写真も残っていますが,彼が天才でそのあとの素晴らしい演奏が約束されていたのでじっと待っていたのでしょう。

今日紹介するアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリも完全に「その種の」人です。

超完璧主義者,人間嫌い,録音嫌い,キャンセル魔として知られています。完璧を求めるあまり,彼は2台の自分用のピアノ,専属の調律師を伴ってツアーをしていました。

ちょっとコンディションが整わないとキャンセルします。あるコンサートではピアノの横に置かれていた花瓶が(その湿気と香りが)ピアノに悪影響するというこでキャンセルしました。

またあるコンサートでは,彼がステージに登場しただけで拍手が鳴り止まず,それが長すぎたので,精神が乱されたということでキャンセルになってしまいました。

残された数少ない演奏は本当に素晴らしいです。今日はモーツァルトのピアノ協奏曲をご紹介。


モーツァルトのピアノ協奏曲,13番と15番,20番と25番です。

完璧主義者の弾くモーツァルトですから,全く期待していませんでした。室蘭のハード・オフで格安だったの買ってきた程度の期待感です(笑)。

でも,ことのほか聴きやすい演奏でした。特に13番はチャーミングとさえ言えます。15番も肩の力の抜けた演奏です。人気曲20番も個人的にはこの曲のベストと言える演奏です。

このCDを購入した時まず思ったのが,全く聞いたことのない指揮者だな,ということ。コード・ガーベンという人です。

すると「チャーミング」とは言えない事情が見えてきました!

企画したものの,ミケランジェリの気に入る指揮者がなかなか見つからず,何人も喧嘩別れ,結局,ミケランジェリ自身が,長年彼のプロデューサー兼マネージャーを務めるガーベンを指揮者に指名したそうです。ちなみにガーベンは大学時代に合唱の指揮をしていたことがあっただけだそうです・・・。オケは由緒正しき「北ドイツ放送交響楽団」であるにも関わらず。

でも結果としてはこの2枚は名盤の誉れ高いものです。ガーベンもオケのメンバーも心一つにして何とか成立させようとしたのでしょうか・・・。

きっとガーベンの緊張,半端なかったと思います。こんなやりとりが聞こえてきそうな・・・。


ちなみにこの2枚,ガーベンは本業のプロデューサーは他の人に任せて指揮に専念しています(笑)。


しかしというかなんというか20番はいつものミケランジェリらしい厳しい顔がちらつきます。


このミケランジェリや,グールド,クライバー,チェリビダッケ,クレンペラーなど,個性的な人がいなくなってしまって,少々つまらない音楽界ではあります。

ではまた!


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