
心の伊達市民 第一号
マンションンの友人2人を誘って、東京湾視察船「東京みなと丸」に乗る予約をしておいた。この2人はほとんど出掛けることが無いので、元気な私が時々、2人を連れ出している。「東京みなと丸」には乗ったことが無い2人は、とても楽しみにしていた。
ところがである。10日前に東京港湾局から電話があり、『東京みなと丸は臨時メンテナンスをするため、当面の間、運休します』と言われてしまった。再開時期は不明とのことで、2人に連絡したらガッカリされた。
その日の夕方にポストを見たら、私宛の封書が届いていた。
封書には「ニッポン放送」の文字が見えたので、「映画の観賞券が当たった」と分かった。中を見ると、映画「デスパレート・ラン」の2人分の観賞券が「ムビチケ」で送られて来ていた。
「ムビチケ」は初めての経験だが、先ずは連れを誰にするか考えた。
ネットで調べたら、この映画の上映館は都内では新宿ピカデリーだけだった。
しかも最初の回が16時20分からと、私にとっては遅い時間だった。
私の周りに映画好きは、ほとんどいない。だから先ずは女房を誘った。
すると女房は『その日は私は明治座で歌舞伎の予約があるから、行けない』と断られた。彼女の話では『市川猿之助が自殺未遂で出演が出来なくなり、夜の部の公演の代役は「中村隼人」になった。彼のことを気に入っているので、チケットを申し込んだ』と言っていた。
しかし人気絶頂の市川猿之助が家族心中をして、両親は亡くなり、自分だけ生き残った。この先、どうなるのかが気になった。
女房に断られたので、中高の同級生で映画好きのYさんを誘った。
彼は他の予定をキャンセルして、私の誘いに乗ってくれた。気の良い男である。
私は自分のチケットを入手するために、説明書もよく読まずにやってみたが巧くいかない。
そこで説明書を読んでから映画館を呼び出し、見る映画と時間を指定してたら、チケットの種類の画面に「ムビチケ」があったので、そこに「ムビチケ購入番号」と「暗証番号」を入れたら、その後はスムーズにスマホに入場券代りのQRコードが届いた。
そこで次にYさんにもう1枚の「ムビチケ」取得画面をスキャンして、メールに添付して送っておいた。ところが彼から連絡が無いので、私から電話したら『巧くいかない』と言っていた。どうやら彼も説明書をよく読まずに、勝手に始めてしまったらしい。
しばらくして、また電話をしたが『駄目だ』と言う。そこで私から『先ず映画館から入り、映画を指定して、料金の画面になったら、そこにムビチケがあるから、それを選んでくれ』と説明して電話を切った。
もう夜の11時近くなり眠くなった。でも待つしかない。
しばらく待ったら電話があり、『やっと出来た』と言っていた。「やれやれ」である。
私の場合も説明書を良く読んでからチケット発券を行えば、なにも問題ないかったのに!」と、自分ながら呆れてしまった。
多分、Yさんも私と同じで、良く説明書を読まなかったのだろう。
お互いに「困ったジジイ」であった。
どうしてジジイというのは、2人してこうも勝手にやってしまうのだろう?
以前に流行った「老人力」なのだろうか?
新宿ピカデリーで待ち合わせて、映画館に入った。
私は前から3列目を予約したが、Yさんは最後部を予約していた。
映画は学校で人質立て籠り事件が発生し、息子の安否を心配する女性の話である。
彼女はジョギングで森の中にいて、どうにもならない。
スマホを使って学校、警察、友人、母親、職場、知り合いと走りながら連絡をする。
登場人物は彼女以外は、声とスマホ画像以外にはほとんど登場しない。
珍しい映画だったが、面白かった。
(おまけの話)
映画を終ってから、一緒に夕食を食べた。久し振りに天婦羅の「船橋屋」に入った。
カウンター席に座り、Yさんは生ビール、私はお茶である。
天婦羅は7品にみそ汁とご飯が付いて、2700円だった。
職人が目の前で天婦羅を揚げてくれるので、熱々で美味しい。
ただご飯がねー。伊達産「ゆめぴりか」を食べ慣れている私には、不合格だった。
Yさんは腰痛が悪化してからリハビリで頑張っているが、その為に出掛けるのが億劫になっているようだ。だからあれだけ映画好きだったのに、この2年ほどは映画を見ていないそうだ。
翌日の彼からのお礼のメールには『久し振りの映画は、昔の映画に夢中だったころを思い出しました。再び、映画に興味を持って、見に行きたい気持ちになりました』とあった。私からは「また映画観賞券が当たったら、誘います』と返信した。
食後は甘いもの好きのYさんの為に、「追分だんご」を買う予定をしていた。
ところが家を出る前にネットで調べたら、「午後6時閉店」となっていた。
新宿という繁華街で午後6時に閉店とは、よほど余裕のある経営なんだろう。
そこで私は出掛ける時に大江戸線の「門前仲町」で下車して、美味しい「どら焼き」を買っておき、『映画を見ながら食べて』と渡しておいた。
コロナで会う機会は減っていたが、何歳になっても同級生とはいいものだ。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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01/28(日) マニアではなく科学する人 世羅繁宇氏の“ Stage 2 “〜自家焙煎ジャズ喫茶『COSSETTE COFFEE』
過去最長の書き上げ時間を要してしまいました…。 そのくらい筆者を悩ませた人、世羅繁宇氏が今回の主人公です。 お話を伺う限り、全てにエビデンスに基づく計算があるということを察しました。 きちんと科学する人でした。 実は感覚派の筆者には一番不得手なタイプ。 言い換えれば、一番興味をそそられるタイプ。 だからこそ、理解に時間がかかったという訳です。 「起業する前は大企業のエンジニアでした」。 全てが腑に落ちたご経歴の持ち主でした。 『COSSETTE COFFEE』をオープンされたのは2022年6月のこと。 会社員時代から珈琲焙煎は趣味でなんとなく行っていたそうです。 その時使っていたのは銀杏を炒る道具。 その後、当然のごとくエンジニアスピリッツがより良い焙煎機への開発へと繋がっていきます。 「珈琲焙煎という趣味は、アウトドアの趣味とは違い金銭メリットが生まれます。 料理もそう。遊びの中でメリットがある。そんな気づきが起業に結びつきました」。 世羅さんの言葉に、単に趣味が高じたわけではないというニュアンスを感じました。 「誰かに師事したことはありません。バイブルは『田口護 珈琲大全』のみです。 焙煎、ネルドリップの淹れ方はこの本で学びを深めました」。 この本の冒頭にはこのように書かれていました。 (引用) [コーヒーの焙煎は名人上手の専売特許ではなく、職人的なカンの世界などでもない。 理詰めの数学であり論理学の世界なのである。 生豆の選定から抽出までの流れを一つのシステムとしてとらえ、 各プロセス上に存在する複数の条件によって、 さまざまな味が生み出されるメカニズムに着眼した「システム珈琲学」。 豆の種類から焙煎方法まで網羅した本格的珈琲実用書。 珈琲生産地の現状や栽培状況、味の特徴を決める焙煎、カッティング・抽出までを ていねいに解説する。焙煎技術書としてプロも活用可能]。 なるほど…。 この文章を読んだ瞬間に世羅さんに少し近づけた気がしました。 珈琲を科学する世羅さんにとって、焙煎機は最も重要な相棒。 なので、その制作にも理詰めの数学と論理的思考が働きます。 持ち前のエンジニアスピリッツも相まって、 とことんこだわるということなのでしょう。 「拘ったのは極力 “ 風 ”を入れず、温度管理を徹底させた香りの調整です」。 「え? 温度はイメージできますが、風もですか?」 「はい。現在、95%の焙煎は半熱風式で行われていると言われています。 大手さんになると熱風式となります。僕は難しいとされているほんの数%の隙間を狙った焙煎機を作りたかった。できるだけ豆本来が持つ香りをなくしたくない。 焙煎された珈琲って、3000~4000くらいの化学物質が生成されるのです。 それが、150℃位で香りの成分が気化します。できるだけその香りたちを封じ込める焙煎機を作りたい。それには風と温度の管理が最も重要です。 だから常に課題を見つけては一つ一つ改善する。ひとりPDCAをくるくる回す日々です」。 これは、機械技術者としての誇りを感じるお話でした。 弛まぬ研究から生まれた機械は、2007年に第1号機、2009年に第2号機、そして最新の第3号機が現在店舗内で稼働しています。 「現在「浅煎り」と呼ばれるものがブームですが、うちで煎り上がった豆は、一般的なカテゴライズには入らないと思います。 シティーロースト風シティーローストとでも言うのかな…。 正直、うちより香り高い珈琲は飲んだことがありません。『世界にひとつだけの珈琲』だと自負しています」。 この話しを聞いた時、筆者はこう尋ねました。 「それは、自分の舌への絶対的な自信ですか?」と。 当然。 「そういうことじゃない」。 と一蹴されました。 今思えば愚問でした。 あくまでも世羅さんの自信は科学的根拠に基づくものなのです。 「嗅覚で感じた香りは脳で増幅させられて味覚に刺激を与え、『味』を作ります」。 「なるほど…。 それをどう感じ、好みかそうではないかは味わう人次第ということになるわけですね」。 ネルドリップは筆者が一番好きな淹れ方です。 この素敵な膨らみ! 銅のポットから注がれるお湯で、 ネル袋のなかにふんわりと膨らむ豆を見るだけで興奮し、 既に口の中が美味しくなります。 マイセンの素敵なカップ&ソーサー いつまでも香りが鼻腔に残る美味しい「パナマゲイシャ」をいただきました。 常時8種類くらいを扱います。 ところで、店内を見回すとなんとなくレトロな雰囲気の調度品が目立ちます。 そこで尋ねてみました。 「レトロなものがお好きなのですか?」 「いいえ、これも計算です」。 「な…。なるほど…」。 「信頼している苫小牧の家具屋のオーナーがいらっしゃるんですが、話していると時代の変わりで生活様式も変化しているということを言っているんです。だから、その度に売るものを変化させて対応するんだそうです。その言葉を聞いて、インテリアにも気を配るようになりました。モードの時代は終わり、レトロデザインの時代が来ているんですよ。レトロなものは落ち着きますしね」。 「調度品にもデータに基づく根拠があるわけですね!」 日本のレトロとは違う、アメリカっぽい感じが若い層にも男性にも刺さりそうです。 筆者みたいなおひとり様好きな女性にも好まれそう。 「では、もしかしてオーディオも?」 「そうです。珈琲もそうですが、音についても僕はマニアじゃない。全て計算の上で選んでいます。現在置いているオーディオはアルテック605Aで、アビーロードスタジオで使用されていたものです。この環境に合うものを選びました。高音質をお楽しみいただけますよ」。 ハイクオリティーなモノへの追求は止まるところを知りません。 「もしかして焙煎機も4号機計画があったりしますか?」 少し間をおいて、世羅さんは力強く頷きました。 エンジニアスピリットを持つ珈琲焙煎士 世羅さんは、 空間コーディネーターとしても最善のトータルでお客様をお迎えする姿勢を持つ人でした。 店内にはジャズのレコードがずらりと900枚並びます。 圧巻。 最後に尋ねました。 「ジャズも計算ですか?」 「ジャズはもともと好きです。 ピアノならキースジャレット。オルガンならジミースミス」。 この答えをいただき、なぜかホッとした筆者でしたが、 正直、世羅さんをもっともっと掘り下げたい! そんな衝動を抑えながら、悶々と『COSSETTE COFFEE』を後にしました。 ん?? これももしかしてリピーターを生むための計算? ふとそんなことが頭をよぎりつつ、 今度はカレーを食べに行こう!と、決めていた筆者です。 ―COSSETTE COFFEE 情報― Web page https://cossette.theshop.jp Instagram https://www.instagram.com/cossette_coffee?igsh=MzRlODBiNWFlZA== 世羅繁宇氏FaceBook https://www.facebook.com/sera.shigetaka
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