
心の伊達市民 第一号
NY世界博覧会で一緒に働いていたJ子さんから、ショートメールが届いた。
ショートメールにしては長い文章だったので要約すると、『恵比寿ガーデン・プレイスの東京都写真美術館で、50年来の友人である本橋成一さんがフランス人カメラマンのロベール・ドアノーと2人で「交差する物語」という写真展を開催しています。興味があれば見に行って、感想を知らせて下さい』という内容だった。
ネットで調べたら本橋成一氏は1940年生まれで、私より2歳上である。
写真展は2人とも社会派の写真家らしく、炭鉱、サーカス、魚河岸などが題材である。
本橋成一は130点。ロベール・ドアノーは111点の写真が展示してあった。
展示作品は戦後の混乱期のモノクロ写真で、私には懐かしさを感じさせてくれた。
日本は石炭から石油にエネルギーが変る時代で、各地の炭鉱が閉鎖に近付いて来た頃や、木下サーカスの写真などは特に懐かしい。
その中で特に炭鉱の写真は、私にはとても懐かしかった。
私が中学3年生の春休みのことだった。北海道歌志内から東京に出て来て親戚の家に下宿していた同級生のSさんが帰郷する時に、私は誘われて一緒に歌志内に行ったのである。彼の父親が住友鉱山の役員で、その時に私達は採炭現場まで入らせてもらった。
いま考えると、死亡事故も起きていた危険な現場によくも案内してくれたものだと思う。私の体験は、写真展で見たものと同じだった。やはり体験したものは懐かしい。
私は本橋成一を知らなかったが、カメラマンと同時に映画監督でもあった。
最近、私が見たばかりの映画「バカ塗りの娘」の監督も、なんと本橋成一だった。
他にはエッセイも多く書いているので、私は中央区の図書館に彼の本を予約した。
行く前にネットで調べたら、なんと「ポレポレ東中野」という私もたまに見に行く問題作を上映する映画館の運営者でもあった。写真集「ナージャの村」では「土門拳賞」も受賞している。マルチな能力を持った人のようで、それがなぜJ子さんと50年来の友人なのか? きっとJ子さんも、私が知らないだけで「マルチ人間」なのだろう。
(おまけの話)
写真展で大量のモノクロ写真を見た。
古い時代の写真なので、全てフィルムで撮影している。
カラー写真ばかり見慣れている私には、モノクロ写真はかえって新鮮で感動する。
そこで今回は「恵比寿ガーデンプレイス」という近代的な建物を、カラーで撮影した後にモノクロに変換してみた。
私の同級生のプロカメラマンが、以前に言っていた。
『カラー写真は情報量が多過ぎるのだ。だから見る人にとっては、想像する領域が少ないのが欠点だ』。今回の写真をモノクロに変換してみたら、確かに情報量が少なくなる。
最後の3枚はカラーのままで載せたが、その情報量の違いに驚く。
カラーが良いのか? モノクロが良いのか?
判断に迷うが、それも被写体によるようである。
今回の写真展のタイトルの「交差」には3つの意味があるそうだ。
1つ目は「ともに展示されることで、二人の作品が生み出す「物語の交差」。
2つ目は「彼らがとらえた人々の物語が響き合う「作品の交差」
3つ目は「作品とそれらを見る私達の「視線・イマジネーションの交差」
写真展会場には4つの区画があり、「第一章」から「第四章」まである。
第一章の部屋は「原点」
第二章の部屋は「劇場と幕間」
第三章の部屋は「街・劇場・広場」
第四章の部屋は「人々の物語」
炭鉱、屠殺場、市場、サーカス、舞台裏などの人々が自然な姿で撮影されていた。
今回の写真展では部屋に入る毎に、作者の思いが書かれている点がとても良かった。
本橋成一「写真や映像は相手に対する思いとイマジネーションだ」
ロベール・ドアノー「相手をこよなく愛してこそ、写真を撮ることを許されるのだ」
それに私が付け加えたいのは、同級生のプロカメラマンOさんの言葉だ。
『良い写真を撮りたければ、その時、そこにいること』
本橋誠一氏の写真は私と同時代を生きた人の作品なので、とても興味が持てた。
一方のロベール・ドアーノの写真は外国なので、あまり興味が持てなかった。
最後の部屋に展示してあったのが、ロベール・ドアーノの16枚のカラー写真だった。
モノクロ写真を見続けた後のカラー写真は、なぜか私をガッカリさせた。
こんな素晴らしい写真の数々を、シニア料金「400円」で見られて申し訳ない気持ちになった。 J子さんにはお礼と感想のメールを送ったが、後で見直したら感想文が下手だった。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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