土竜（もぐら）　

やることが無いので、また近くの浜離宮恩賜庭園に行った。
ここへ行って木陰のベンチに座ってボーとしている時は、なんとも言えず良い時間である。
中央区の気温が30度でも、木陰では何度か分からないが、かなり涼しい。
コンビニで買ったオニギリを持参することもあるし、ゆっくりと本を読む時もある。

入場券売り場の手前の注意書き

入口を入る時に、事前申し込みをしていないことに気が付いた。
すると目の前にテーブルが置いてあり、そこで事前申し込みをするようになっていた。確かに「事前」ではあるが、現地の入場券売り場の手前が「事前申込所」というのも可笑しい。
そこにあるQRコードをスマホで読み取り、そこから申し込むようだ。

浜離宮を取り囲む運河の水門から隅田川に出ているプレジャーボート。

スマホの画面が小さい上に、ごつい私の指では何度も隣の文字を押してしまう。
その時、予約をしないで来たオバサンが私に聞いた。

オバサン「ここでどうやって申し込むのですか？」
私　　　「スマホで申し込むのです」
オバサン「私はスマホなんて持っていない」
・・・というわけで、オバサンは直接、入場券売り場の窓口に行ったのが見えた。

アメリカノウゼンカズラ

私がネットで申し込む時はいつもパソコンからなので、スマホの申し込みは何度やっても上手く行かない。そこでオバサンを見習って、私も直接、窓口に行ったのである。

すると申込用紙を渡されて、それにボールペンで必要事項を書いて「シニア1枚」と言った。
係の女性は私のことを疑っているのか、「何年生まれですか？」と聞いた。
「見りゃ、分かるだろう！」と言いたかったが、「1942年」と言って150円を支払った。

汐入の池の中島に渡る「お伝い橋」と茶屋。

今年は緊急事態宣言で見られなかった菜の花が終って、今はコスモスの苗が植えられた畑を横目で見ながら先に進む。前回は梅の実が地面いっぱいに落ちていた梅林も、今は梅の実も片付けられていた。
その地面に懐かしいものを見付けた。それは「モグラ」が掘った穴の地面の盛り上がりである。

以前に住んでいた小金井の家では、庭に植えた芝生を掘り返されて困った覚えがある。「モグラの穴が懐かしい」とは、考えてみれば変なことだ。

梅林の中のモグラの穴

梅林の所々に土の盛り上がりがあり、そこからモグラが外に顔を出すのだろう。
なぜ所々で地上に顔を出すのだろう？　その理由を知りたいものだ。
小金井では穴と穴を塞いで途中にいるかもしれないモグラを捕まえようとしたこともあったが、モグラの方が1枚上手で捕まえられなかった。

土の盛り上がりからすると、かなり大きなモグラがいそうだ。

この日は土曜日だったせいか、いつもより庭園に来ている人が多く100人くらいのようだった。それでもモグラの穴の写真を撮っていたのは、私だけだった。

こんな広い場所を100人くらいで占有し、東京湾から風に乗ってやって来る仄かな潮の香りを受けて、ベンチで読書をするという贅沢はなににも代えがたい。
マスクを外して、深呼吸をした。

ニシキギの葉は既に紅葉している。

（おまけの話）
浜離宮恩賜庭園は奥の方に大きな池を配した日本庭園で、回廊式である。
ここが他の庭園と違うのは、池の水が海水なのである。
だから他では良く見掛ける亀や鯉はいない。

水面を良く見ていると、時々、海に住む小魚が飛び跳ねる。
多くいるのはハゼ、ボラ、セイゴなどのようだが、釣りは禁止なので見たことはない。

池の入り魚を狙うシラサギ。

今はカラスが多い。
それも羽の生え代りの時期なのか、アチコチに黒い羽が落ちている。
その中から大きな尻尾の羽を拾って帰り、猫じゃらしにしたらペッパーとポアンは大興奮だった。

ここのカラスは育ちがいいのか、私がオニギリを食べていても知らんぷりで襲って来ない。食べ物が豊富にあるに違いない。

拾って帰ったカラスの羽。

池では鴨が泳いでいる。
時々、シラサギがやって来て、池のそばで休んでいる。
「サギ」をネットで検索すると、最初に出て来るのが鳥のサギで、次が詐欺師で、3番目がサギソウだった。鳥の「サギ」も「詐欺」も同じ発音で、字を書かないと分からない。

サギソウの写真を見たら、確かに鳥のサギのようだった。
私は幸いに今までに詐欺に引っ掛かったことは無いが、後期高齢者になったこれからが用心が肝心である。

「進入禁止」の場所に侵入した海鵜2匹。

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