心の伊達市民 第一号

「オニバス」と「アサザ」

以前に水元公園に花菖蒲の写真を撮りに行ったことは、ブログに書いた。
その時に「オニバス」という東京都の天然記念物の蓮があることを、後から知った。
そこでネットで情報を得て、7月15日にもう一度、水元公園に行ってみたのである。

水元公園に行くのは私の家からは面倒で、東京都内なのに1時間40分くらいかかる。
長雨が続いている中だが、ブログのネタを探す旅に出たのである。


 「オニバスの池」

水元公園のホームページでは「オニバス」の見学は7月2日~9月4日、時間は午前9時から午後2時30分までである。
オニバスに付いては次のように書いてあった。

『オニバスは昭和58年に18号池で発見され、昭和59年に東京都の天然記念物に指定されました。アサザに比べ、大きな葉が水面に広がる水草で7月から8月にかけて棘に包まれた蕾から鮮やかな紫色の花が咲きます。オニバスは1年草で直径1センチほどの種子から、たった1年で大きな葉を広げます』


葉の上から「オニバス」の花が見える。

これだけでは分り難いので、ネットで写真を調べてみた。
すると驚くことに、オニバスの葉の上に子供が乗っている写真が出ていた。
これを見て、益々、『見に行かねば!』と思った。
そこで水元公園の管理事務所に『見頃はいつですか?』と問い合わせた。そしてついでに『葉の上に子供が乗れるのですか?』と聞いてみた。

すると係の人が、『葉の上に人が乗ることは出来ません』と言っていた。
そこで更に調べたら、子供が乗れるオニバスは「パラグアイ・オニバス」という種類で、水元公園のオニバスとは違うようだった。


 まだ蕾の「オニバス」の花

午前9時に水元公園に着くように家を出た。その為には午前7時の都バスに乗る必要がある。こんなに早い時間に家を出るなんてことは、現役時代のゴルフの時みたいだ。
でもいつも午前5時には目が覚めているので、7時の都バスに乗るのは問題なかった。
今回は朝食を食べずに、そっと家を出た。前日に女房には事情を話してある。
さすがにこんなに早い時間のバスは乗客も少ない。


葉の直径は30センチくらいから、1メートル越まである。

バスを2回乗り換えて、「オニバスの池」に近いバス停で降りた。
池に着いたらまだ9時前で、開門を待つ間に向かいの蓮の池の写真を撮っていた。
ここの蓮は上野不忍池と同じ種類のようだが、手入れが行き届いているので見事に咲いている。「オニバスの池」の開門と同時に中に入った。
2000坪以上もあると思われる池に、ビッシリとオニバスの葉が密集している。


「オニバスの池」の向かい側の「蓮池」の花は綺麗だった。

葉の大きさは色々あり、30センチくらいから1メートルのものが雑多に水面に浮かんでいる。ところどころに花が見える。咲いているのだが、花が大きく開かない。

私のイメージした「オニバス」は、水面に整然と浮かんでいると思っていた。
ところがこの池のオニバスは葉と葉が「押し合いへし合い」状態で、隣の葉に乗り上げているものもある。『なんだか美しくないなー』と思いながら、池の周囲を歩いて廻った。


葉が多過ぎて、「押し合いへし合い」状態。

池の出口に係員がいたので、私は聞いてみた。
私 『オニバスはずいぶんと葉が多く、押し合いへし合いですね』
係員『昨年までは葉があまり無く、とても心配していました。今年は多過ぎますねー』
私 『池の水深はどのくらいですか?』
係員『今は50~60センチで、最近の続く雨で深くなりました。底はヘドロ状態です。花は水上に出ないで水中で咲くものもあります。10月に実がなりますから、その時にまたお出で下さい』。

この頃になり雨が酷くなって来た。折角なので公園内をブラブラと公園の反対側のバス停まで20分くらい掛けて歩いて行った。
釣りに来ている2~3人のオヤジを見掛けたが、さすがに散歩する人はいなかった。


「オニバス」は葉は大きいが、花は小さい。


(おまけの話)
水元公園にはもう1つ、この時期だけの「見どころ」として「アサザ」という植物がある。行く前にアサザを水元公園のホームページで確認したら、次のような解説文があった。

『ごんぱち池には都内唯一のアサザの自生地があります。アサザは水面に楕円形の葉を浮かべて生育する水草です。5~10月に明るい黄色の花が咲きます。花はガラス細工のように薄く、縁は糸状に切れ込んでいて、とても繊細な姿です。1つの花の寿命は1日で、次々と新しい花を咲かせます』。


「アサザの池」

アサザは「ごんぱち池」で午前9時から10時までの1時間だけの公開なのでこちらを先に見に行った。午前9時の開門を待って、中に入った。2000坪ほどの池にアサザの葉が広がっていた。

係員のオジサンに「どこにアサザの花があるのですか?』と聞いた。
オジサンは水面を指差して、『あそこにも、向こうにも』と言った。
言われて分かったが、確かに黄色の小さな花が見えた。
オジサンは『昔は池一面に花が咲いたそうだ』と教えてくれた。


 良く見ないと、花が分からない(写真中央にある)

こんなに珍しい植物なのに、見に来ていたのは私ともう1人だけだった。
オジサンの話では、『お昼過ぎには花は萎んでしまう』と言っていた。
『花の命は短くて 苦しきことのみ 多かりき』という言葉があるが、アサザはあまりに短過ぎる。

見学用の木道があるのだが、なぜかアサザの花は近くには咲いていなかった。
まあ「冥途の土産」にするほどのものではなかったが、良い経験をした。


 枯れた花、咲いている花、水中で明日の準備をしている花。

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コメント

    Shinji

    Shinji

    オニバスもアサザも珍しい植物、知らなかった。紹介してくださりありがとうございます!

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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