心の伊達市民 第一号
ある日の新聞の「文化欄」に面白いことが書いてあった。
書き手は俳優の石山蓮華という女性だった。
タイトルは「見上げてごらん夜の電線」で、電柱に魅せられた話だった。
『電線というと「景観を損ねる」といったマイナスイメージを持つ人が多いだろう。
私は電線を眺めていると口は開きっ放り、喉が渇き頭はクラクラしながらも、つい時間を忘れて見とれてしまう』という文が可笑しかった。
私もこの記事を読む前から電柱の配線に興味があり、中野坂上から新宿へ向かう路地の電柱の写真などを撮っていた。ただ夜に写真を撮りに行くのは億劫だし、最近の都心は電柱の地中化が進み、なかなか見られなくなっている。
我が家の近くでも、まだ古い町並みのところには僅かの電柱が残っているが、その程度では絵にならない。そこで思い当たる場所として、新橋の裏町に行ってみた。
新橋駅の蒸気機関車が置かれている側に「ニュー新橋ビル」という、名前に相応しくない古いビルがある。そこはサラリーマンの聖地で、安い飲食店、多くのチケット屋、背広の「青山」、ジューススタンドなどがある。
久し振りに2階に上がって驚いた。ガランとした空間があり、そこに「マッサージ屋」が林立している。前を通ると日本語の怪しい女性が、私に声を掛けて来る。私は無視して通り過ぎる。するとすぐまたマッサージ屋がある。しかし変な期待はしない方が良い。どこも真面目な本格的なマッサージなのである。
ニュー新橋ビルの角にPCR検査場があり、そこから見た左右に路地がある。
その路地を気を付けて歩くと電柱があり、電線もある。
しかしさすがに日本である。電柱からの配線が美しく整えられていて、「どこからどこへ送電されているか?」は、見れば分かる。
私が電柱の写真を撮っていると、通り掛かりの人は「なにか?」と思って見上げている。そして怪訝な顔をして去って行く。当り前である。
東電の作業員でもない男が電柱の写真を撮っていれば、誠に変な光景である。
電柱の話だけで、このブログを埋めるのは難しい。
そこでマンションの友人2人を連れて、新橋に行った話になる。
この日は安倍元総理の国葬儀の日で、都内は厳重な警戒をしていた。
IさんもFさんも1人暮らしで、家からあまり出ない。
私はいつも彼らに言っている。『外に出ないと足腰が弱るし、ボケるよ!』。
Iさんは「要支援1」で、Fさんは「要介護2」である。
私は介護保険のことがよく分からないので、彼らから教えてもらったので今は分かるようになった。
要支援は「1」と「2」がある。その上に要介護が「1」から「5」まである。
Fさんは1人で風呂に入れないので、女性介護士が来て1日おきに風呂に入れてもらっている。『恥ずかしくない?』と聞いたら、『慣れたから大丈夫』と言っていた。
Fさんは香川県の出身なので「うどん」が大好きだ。また甘いものも大好物である。
そこで私は2人の為に東京BRTで行ける新橋で、「うどん」と「ソフトクリーム」を食べる企画に誘ったのである。2人は大喜びで新橋に行った。
食後は中距離程度でも歩くのが苦手な2人と別れて、私は日比谷公園と皇居を見てから東京駅に向かった。内幸町の交差点では安倍元総理の国葬反対のデモ行進と、政府要人の車列に止められて15分くらい待たされた。
他では特に混雑や混乱は無かった。
(おまけの話)
電柱がいっぱいあるのは、どうしても発展途上国になる。
私がかなり前にベトナム・ホーチミン市に滞在中も、乱雑に配線された電柱を至る所で見掛けたものだ。残念ながら、その時の写真が残っていない。
そこで20年ほど前に私の会社で実習生として働いてくれた、ベトナム人のHさんにメールを出した。そしてホーチミン市の電柱の写真を撮って、送ってくれるように依頼した。
10日ほどして、Hさんからメールが届いた。
期待通りの乱雑な配線をした電柱の写真が、10枚ほど送られて来た。
写真を見る限りでは「どの線がどの家に入っているか?」、全く分からない。
「盗電」もあるのではないかと思われる。
それよりも、メールの最後に驚くような話が書いてあった。
変な日本語なので私が読みやすい日本語に直したのが、次のメールだった。
『先週から長男は熱が出ています。今頃のベトナムは雨期で蚊が多いので、病気になり易いです。先月、母が「胸が痛い」と言うので病院に連れて行きました。色々な検査の結果、心臓に問題があると分りました。そして血管にステントを4ヶ所入れました。来月も2ヶ所入れるようです。入院費がかなり掛かります。日本円で200万円くらいです。保険で3分の1は出ますが、残りは兄弟3人で払います』
残りの140万円くらいというのは日本でも払うのが大変だが、ベトナム人の年間平均収入が43~4万円なのだから、日本での感覚では1400万円くらいになる。彼は製造業を興して社長になったが、それでも支払いは大変だと思う。
頑張れ Hさん!
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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