心の伊達市民 第一号
菅義偉前総理大臣の追悼文(全文)
9月27日に安倍元総理大臣の国葬が、日本武道館で行われた。
一般の人達の献花は千鳥ヶ淵の九段坂公園で行われた。
私は既に7月12日に芝増上寺で行われた葬儀の時に、長時間の行列に耐えて献花をして来た。
その時の経験から、今回は参加を見合わせた。その代りに「デジタル献花」を行ったが、その数は国葬の日までに30万人を越えたそうだ。私は国葬の様子をテレビで見たが、菅義偉前総理大臣の追悼の辞に心を打たれた。
そこで、その追悼文の全文を、今回のブログとしたい。
『7月の8日でした。信じられない一報を耳にし、とにかく一命を取り留めて欲しい、あなたにお目にかかりたい、同じ空間で、同じ空気をともにしたい、その一心で現地に向かい、あなたならではの温かいほほえみ、最後の一瞬に接することができました。 あの運命の日から、80日が経ってしまいました。
あれからも朝は来て、日は暮れていきます。やかましかったセミは、いつの間にか鳴りを潜め、高い空には秋の雲がたなびくようになりました。季節は、歩みを進めます。あなたという人がいないのに、時は過ぎる。無情でも過ぎていくことに、私はいまだに許せないものを覚えます』
『天はなぜ、よりにもよってこのような悲劇を現実にし、命を失ってはならない人から、生命を召し上げてしまったのか?口惜しくてなりません。悲しみと怒りを交互に感じながら、今日のこの日を、迎えました。
しかし、安倍総理とお呼びしますが、ご覧になれますか?
ここ武道館の周りには、花をささげよう、国葬儀に立ち会おうと、たくさんの人が集まってくれています。20代、30代の人たちが、少なくないようです。明日を担う若者たちが大勢、あなたを慕い、あなたを見送りに来ています』
『総理、あなたは「今日よりも、明日の方が良くなる日本を作りたい。若い人たちに希望を持たせたい」という強い信念を持ち、毎日毎日、国民に語りかけておられた。そして「日本よ、日本人よ、世界の真ん中で咲き誇れ」、これがあなたの口癖でした。
「次の時代を担う人々が、未来を明るく思い描いて、初めて経済も成長するのだ」と。
今、あなたを惜しむ若い人たちがこんなにもたくさんいるということは、歩みをともにした者として、これ以上にうれしいことはありません。報われた思いであります』
『平成12年、日本政府は北朝鮮に米を送ろうとしておりました。私は当選まだ2回の議員でしたが、「草の根の国民に届くのならよいが、その保証がない限り、軍部を肥やすようなことはすべきでない」と言って、自民党総務会で、大反対の意見をぶちましたところ、これが新聞に載りました。
すると、記事を見たあなたは「会いたい」と電話をかけてくれました。「菅さんの言っていることは正しい。北朝鮮が拉致した日本人を取り戻すため、一緒に行動してくれればうれしい」と、そういうお話でした。信念と迫力に満ちた、あの時のあなたの言葉は、その後の私自身の政治活動の糧となりました』
『そのまっすぐな目、信念を貫こうとする姿勢に打たれ、私は直感しました。この人こそは、いつか総理になる人、ならねばならない人なのだと、確信をしたのであります。私が、生涯誇りとするのは、この確信において、一度として揺るがなかったことであります。
総理、あなたは一度、持病が悪くなって、総理の座を退きました。そのことを負い目に思って、2度目の自民党総裁選出馬をずいぶんと迷っておられました。最後には2人で、銀座の焼き鳥屋に行き、私は一生懸命、あなたを口説きました。それが使命だと思ったからです』
『3時間後には、ようやく首を縦に振ってくれた。私はこのことを、菅義偉生涯最大の達成として、いつまでも誇らしく思うであろうと思います。総理が官邸にいる時は欠かさず、1日に1度、気兼ねのない話をしました。今でもふと1人になると、そうした日々の様子が、まざまざとよみがえってまいります。
TPP交渉に入るのを、私はできれば時間をかけた方がいいという立場でした。総理は「タイミングを失してはならない。やるなら早いほうがいい」という意見で、どちらが正しかったかは、もはや歴史が証明済みです。1歩後退すると、勢いを失う。前進してこそ、活路が開けると思っていたのでしょう。総理、あなたの判断はいつも正しかった』
『安倍総理、日本国は、あなたという歴史上かけがえのないリーダーをいただいたからこそ、特定秘密保護法、一連の平和安全法制、改正組織犯罪処罰法など、難しかった法案を、すべて成立させることができました。どの1つを欠いても、我が国の安全は、確固たるものにはならない。あなたの信念、決意に、私たちは、とこしえの感謝をささげるものであります。
国難を突破し、強い日本を作る。そして真の平和国家日本を希求し、日本をあらゆる分野で世界に貢献できる国にする。そんな覚悟と決断の毎日が続く中にあっても、総理、あなたは常に笑顔を絶やさなかった。いつも、周りの人たちに心を配り、優しさを降り注いだ』
『総理大臣官邸でともに過ごし、あらゆる苦楽をともにした7年8か月、私は本当に幸せでした。私だけではなく、すべてのスタッフたちが、あの厳しい日々の中で、明るく生き生きと働いていたことを思い起こします。何度でも申し上げます。
安倍総理、あなたは、我が日本国にとっての真のリーダーでした。
衆議院第一議員会館、1212号室のあなたの机には、読みかけの本が1冊ありました。岡義武著「山縣有朋」です。ここまで読んだという最後のページは、端を折ってありました』
『そして、そのページにはマーカーペンで線を引いたところがありました。
印をつけた箇所にあったのは、いみじくも、山縣有朋が長年の盟友・伊藤博文に先立たれ、故人をしのんで詠んだ歌でありました。総理、今この歌くらい、私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。
【かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ】
【かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ】
深い悲しみと、寂しさを覚えます。総理、本当にありがとうございました。どうか安らかにお休み下さい』。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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