心の伊達市民 第一号

小さな旅(1)・・・京橋

テレビのニュースで知ったが、『京橋のビル街で真夜中に中国人の集団が、布団にくるまって長蛇の列を作っていた。人気アニメの「鬼滅の刃」のグッズを大量購入するために転売ヤーに雇われた男たち』だった。そこで私は実情を探るために、京橋に向かった。
場所は新しく完成した「ミュージアム・タワー京橋」である。

以前はブリヂストン美術館があった場所で、『アートとともに作品だけでなく、環境や体験もアートになりうる。アートに触れ感じることで、美意識が活性化され、創造的な働き方につながっていく』という高尚な考えのビルのようだ。そこに布団にくるまった転売ヤーは似合わない。私はニュースで知った2日後に行ったが、すでに対策が取られていて転売ヤーはいなかった。


 「ミュージアム・タワー京橋」



今回は京橋付近を歩き回った。
「京橋」という地名の由来は『東海道の起点である日本橋から、「京へ上る最初の橋」であったことから、その名が付いた。その橋は昔は京橋三丁目と銀座一丁目の間を流れていた京橋川に架けられており、親柱には擬宝珠が飾られていた』であった。

昔の京橋地区は今よりかなり広く、私の住んでいる勝どきも近所で「京橋区」と表札の出ている古い家を見たことがあるし、現在も築地にある郵便局は「京橋郵便局」という名である。京橋の中心は東京スクエアガーデンの交差点の辺りで、ここには地下鉄の「京橋駅」がある。


 「東京スクエアガーデン」



京橋と銀座の境界は、今は高速道路である。
昔は京橋川があったが昭和34年に埋め立てられ、現在は高架式で高速道路が走っている。その下は飲食店や商店が入っている。

左に見えるブルーシートがかかったビルは、最近話題となった「木造12階建て」のビルである。その左手前が「東京スクエアガーデン」というオフィスビルで、この辺りはビジネス街となっている。


 「旧京橋川」から日本橋方面を見る



京橋川のあった場所には、昔の色々な歴史を示す立派な史跡が残されている。
京橋から先は銀座一丁目で説明書きによると『銀座一帯は江戸時代から東海道沿いに位置し、呉服店などで賑わった街であった。1872年(明治5年の「銀座大火」で焼失すると、明治新政府により耐火構造で国内初の西洋風の街並みとなる煉瓦街が建設された・・・。

『その後、ガス灯の設置、鉄道馬車の開通、西洋料理店や缶工場の開店などなどが続き、先進的な街として発展して行った』とあった。


「京橋」、煉瓦、ガス灯の史跡



京橋の高速道路の脇には、色々な史跡がある。
「江戸歌舞伎発祥の地」もあり、説明書きには『江戸歌舞伎は寛永元年(1624)に猿若座(後の中村座)の猿若勘三郎(初代中村勘三郎)が中橋南地で櫓をあげたのがはじまりです・・・』

『記念碑には、勘亭流による「江戸歌舞伎発祥の地」の文字と英文・和文による説明と生き生きとした役者の姿がレリーフで描かれています。昔の姿がレリーフで描かれています』と書いてあった。


 「江戸歌舞伎発祥の地」  



「江戸歌舞伎発祥の地」の後ろには 「京橋大根河岸・青物市場跡」という碑があった。
そこには次のように書かれていた。

『江戸時代から昭和10年までの約270年間、京橋川にかかる紺屋橋(中ノ橋)から京橋かけて、青物市場が存在した。通称「大根河岸」である。もとをたどれば寛文元年(1661年)、外濠川にかかる数寄屋橋付近に数軒あったさつまいも問屋が、大根河岸の始まりだった・・・』

『京橋に建つ大根河岸記念碑によると、遠近から多くの作物が集まり、数年も経たぬうちに店数が増加して市場としての形が整い、江戸の人々にとってなくてはならないものとなった』。


 「京橋大根河岸・青物市場跡」 



「江戸歌舞伎発祥の地」 の向かい側には「警察博物館」がある。 
入口右側にはパトカーが置いてある。中に入ると小型のヘリコプターも置いてある。
私は以前に中に入ったことがあるが、どうやら子供相手の施設のようだ。

子供に警察官の制服を着せて、記念撮影もさせてくれる。
警察の仕事を分かりやすく、子供に知ってもらうための施設のようだ。


 「警察博物館」



(おまけの話)
京橋から有楽町に向かった。駅の近くに、以前から気になっている場所がある。
そこは「Sushi Tech Square」で、かなり前に私は有明アリーナにイベントを見に行ったことがある。「Sushi Tech」と言っても「寿司」とは全く関係は無い。

これは「Sustainable High City Tech」の略だそうで、世界が直面する課題に立ち向かうためのテクノロジーやアイディアが集まる、持続可能な新しい価値を生み出すために東京都が主導するイベントだそうだ。

恐る恐る中に入ってみたが、観客は誰もいない。私1人だけで、係員の女性に呼ばれた。今回は12月25日までのイベントで、「エモーション・クロッシング」というものだった。


 「常温サウナ」



ここでは色々な体験が出来るようで、最初に「常温サウナ」に案内された。
階段状のサウナ室が用意されていて、静かな音楽が流れている。ただそれだけだった。
そこを出たら、次は「快歩」という部屋で、海底の設備がある。
女性にタコの帽子のようなものを渡されて、それを被って椅子に座る。

解説書によると『特性マスクを覆うことで、自分を解き放つことが出来るツールとなり、より深い感情の世界へ没入できます』とあるが、そんなことは出来ない。いい年のオヤジがタコのマスクを被るだけで、恥ずかしいのである。でも係の女性に写真を撮ってもらった。


「快歩」



次の部屋は「AR三兄弟 スシテック刑事」という謎解きだったが、なんだか分からない内に終ってしまった。最後は「Emotions Unveiled」(解放された感情の部屋)だった。丸い画面の前に座り、色々な表情を作る。喜びの顔、怒りの顔、悲しみの顔、楽しい顔を作ると、顔の周りに花模様のようなものが現れる。

色々とやってみたが、「だからなに?」というのが私の感想だった。
これらが「世界が直面する課題に立ち向かうためのテクノロジー」と、どういう関係にあるのか私には意味不明だった。


「解放された感情」

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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