心の伊達市民 第一号

都心駅の壁画巡礼

日本経済新聞の最後のページに「都心駅の壁画巡礼」という記事と写真が載っていて、それが10回シリーズで掲載された。
私が知っている壁画が多かったが、散歩を兼ねて10ヵ所の壁画の写真を撮りに行った。

【渋谷駅】(明日の神話)
1番最初は「渋谷駅」で、井の頭線の乗り場に向かうマークシティ連絡通路に巨大壁画がある。これは「芸術は爆発だ!」で有名な岡本太郎の作品「明日の神話」で、彼の最高傑作の1つである。

しかし長く行方不明となっていたが、2003年にメキシコシティ郊外で発見された。
それを日本に移送し、修復して渋谷駅に恒久設置されることになったのである。
この作品が訴えるのは『人は残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることが出来る。その先に「明日の神話」が生まれるのだ』という岡本太郎の強いメッセージが込められている作品である。ここは井の頭線からの通路なので、人の入らない写真は撮れなかった。


作品名「明日の神話」(岡本 太郎)



【青山一丁目】(みんな友だち)
この駅は神宮外苑の銀杏並木を見に行く時に降りる大江戸線の駅であるが、壁画があるのは銀座線の方である。原画の作者は「野見山 暁治氏」で、文化勲章を受章している。
作品「みんな友だち」はステンドグラスである。

作者の言葉は『みんな急ぎ足になる。地下を歩いているうちに、地上の距離感が薄らいでくる。どうも宙を掻き分けて進んでいる感じだな。いくらか、迷路を辿っているような不安さも漂う。併せて、人々の流れに身を任せている浮浪者の気楽さも。このステンド・グラスの緑色の光と風を、ほんの僅かでも、みんなに注いでもらえないか』。


 作品名「みんな友だち」(野見山 暁治)



【日本橋】(日本橋南詰盛況之圖)
地下鉄「銀座線」を「日本橋駅」で降り、B1出口近くの壁に貼られている。
この作品は画家の「山口 晃氏」の原画を、1182のピースでステンドグラスにしている。作者の作品に対する思いは次のようなものだった。

『商業の街として発展を遂げてきた日本橋南詰の街並みを、江戸から現代までの時空を混在させて描かれています。江戸時代の屋敷や木造の日本橋、首都高速道路に高層ビル群など、それぞれの時代の象徴的な建物が細部に渡り描写され・・・』

『当時の様子がわかる所もあれば時代による変化を一目にできる所もあります。当作品を通じて日本橋の歴史に想いを馳せたり、未来の良き街並みを想像したりするなど、様々な視点で楽しんでいただけることを願って制作いたしました』。


作品名「日本橋南詰盛況之圖」(山口 晃)



【上野駅】(自由)
私は上野にはよく行くが、「上野駅」にはほとんど行かない。
いまでも私は上野駅と言えば「集団就職」のイメージから抜け出せない。
この作品は中央口の上に、横長に描かれている画家の猪熊 弦一郎氏の作品で題名は「自由」である。

作者の作品に対する思いは、『上野駅というところは、東京の中で一番気の毒で不幸せな世相を反映して、家の無い浮浪者、身寄りのない引揚者、堕落して行く子女といった人達の暗い世界をそのまま見せているようです・・・』

『目に触れる壁画の新鮮で明るい色彩や単純な形によって、毎日この駅を通る大勢の人達の生活に、希望と喜びを与えたいと考えながら着手したのです』。
彼の作品の中には、三越デパートの赤と白の包み紙もある。


 作品名「自由」(猪熊 弦一郎)



【明治神宮駅】(希望)
JR原宿駅近くの地下鉄千代田線の「明治神宮駅」の改札の中に作品はあった。
今回の作品を見て廻った中で、この作品だけが切符を買わないと見られなかった。
作者は書道家の「武田 双雲氏」で、希望という漢字を書いた壁画で、全ての点と線を恒星と惑星、原子核と電子に見立てて再構成している。

作者の言葉は『昔から、相対性理論や量子力学のマクロとミクロの世界観が大好き。壮大な観点から見れば悩みなんてちっぽけなもの。地下鉄駅を行き交う人たちを、あったかい希望の灯火で癒したかった』。
私にはなんだかよく分からない作品だった。


 作品名「希望」(武田 双雲)



【新宿駅・(新宿の目)】
新宿駅の西口を出て右側の歩道を住友ビル方面に進むと、右側に目立つのですぐ分かる。私は現役時代にこの先に取引先があったので、数え切れないほど見ている。
作者の作品に対する思いは次のようなものだった。

『怪物的バイタリティを持つ新宿新都心が現代日本の若さ、たくましさの象徴として世界に鳴り響いている。それは大きな空間ーその偉大な空間の整形を私は恐れ知らずに引き受けた。底知れない力にみなぎっている怪物を、いかに表現したらいいのだろう‥』

『そうだ!時の流れ、思想の動き、現代のあらゆるものを見つめる「目」・・・もしかすると遠く宇宙を見つめる「目」かもしれない』。


 作品名「新宿の目」(宮下 芳子)



【王子駅】(ふれあい)
私は王子駅にも滅多に行くことは無いが、この壁画を見るために出掛けて行った。
都電「荒川線」に乗るとこの駅を通過するが、飛鳥山が近いので桜を見る時には降りることがある。原画の作者は「ルイ・フランセン」で、作品名は「ふれあい」で陶板製である。

作品の説明には『壁面からはみ出すかのように流れる石神井川。川は歴史の流れや人々の生活、人間のエネルギーの様なものをイメージしています。水平に伸びてゆく飛鳥山公園の桜、王子の街並み。そして中央にはスケッチブックから切り離し・・・』

『壁にピンナップされたような絵が置かれ壁画の要となっています。ここには公園を散策する親子が描かれています。壁全体を陶板で埋めつくさず白い壁面の<間>を生かすことで、焼き物の美しさを引き出し、構成をはっきりさせました』。


 「ふれあい」(ルイ・フランセン)



【溜池山王駅】(泡沫 utakata)
地下鉄銀座線「溜池山王駅」は日枝神社からも遠くないので、お参りの時に壁画を見に行った。場所は地下鉄駅から「キャピタル東急ホテル」に向かう通路にあった。

東急の説明では『この辺りは古くは魯山人が開いた星岡茶寮があったこの地は、大都市東京の中心でありながら、日枝神社の豊かな緑地に隣接しており、伝統と現代性の出会う場所になっています。その伝統と現代性の融合を表すパブリックアート「泡沫」が「溜池山王駅」の5番出口付近に設置されました』。

原画の作者の日比野 克彦氏は、『段ボールで制作した原画の質感を恒久的に日本伝統的素材である陶を用いて表現しました。現代的なデザインと、陶の豊かで落ち着いた肌触り、二つの異質なものの出会いが、この場を行き交う人々をつなぎます』と言っている。この作品も、私にはなんだかよく分からなかった。


作品名「泡沫 utakata」(日比野 克彦)



【豊洲駅】(豊洲今昔物語)
豊洲駅は最近は家の前から「東京BRT」の乗れば、数分で着く。でも壁画がある有楽町線の駅に行ったことはなかった。原画は宮田 享平氏で、壁画は陶板のレリーフである。

作者の思いは次のようなものだった。『私は新潟県佐渡市に生まれ、家の裏はすぐ海で、毎日潮騒を聞いて育ちました。故郷を懐かしむ気持ちが強くなってきた頃、住処を東京の海が見える場所に探しました。ふと豊洲駅に下り立ち、ビルに昇り辺りの風景を眺めてみると、目の前に海が広がり身近に海を強く感じることができました・・・』

『そして、昔ここが海であったということにも愛着を感じ豊洲の住民になることを決めたのでした。そのような場に作品を制作できることは私にとって無上の喜びです。昔は海だった…そんな豊洲のルーツを表すことで現在の豊洲への感慨、そして未来の豊洲への希望を感じていただければと思います』。


作品名「豊洲今昔物語」(宮田 享平)



【築地市場駅】(江戸の浮世絵師たち)
最後は我が家から一番近い大江戸線の「築地市場駅」の改札内にある。
作者は「片岡 球子」という明治生まれの日本画家だが、私は全く知らない名前だった。もう故人となっているので、作者のコメントは無い。

今回の作品は『大胆な構成、色彩の作品で2作品を大型美術陶板に拡大複製したパブリックアート。江戸時代の雰囲気を演出している。3万色もの高圧の釉薬データを用いることにより、屏風風の精密な表現を実現している』とあった。

今回の壁画巡礼では地下鉄「銀座線」と「千代田線」が多かったので、いつものようにシルバーパスを使って行ける場所は少なかった。


「江戸の浮世絵師たち」(片岡 球子)

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コメント

    芸術(Y)

    芸術(Y)

    「新宿の目」は見慣れた作品であるが、そのほかの芸術作品は初めて見るものばかりでした。写真から見る芸術作品の迫力は少し弱まるのだが、岡本画伯の爆発的芸術品はやはり迫力がありますね。大阪万博の太陽の塔からくるイメージが強いのだがやはり岡本画伯の絵画には言い知れぬ迫力を感じます。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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