kayaker
僕の父は昨年6月に肺ガンで他界した。
87歳だった。
残された母は一つ下。
だから今年87歳。
生活する上では親父に頼り切っていた母だったので
ひとりになったら・・・と心配だったのだが、
やはり女性というのは強いものだ。
今ではすっかり以前同様に動き回っている。
そんな母が母の姉と一緒に北海道に遊びに来ることになった。
母の姉、つまり僕の伯母はもうすぐ90歳になる。
行きは飛行機、帰りは新幹線で3泊4日で旅程を組んであげたら
二人の住む藤沢から、喜んでこちらにやってきた。
まず新千歳に迎えに行って、
白老のウポポイや登別の地獄谷、そして室蘭の地球岬などを
周りながら豊浦の我が家まで連れてきた。
地球岬で二人は、
「幸せになれるかしら・・・」
なんて言いながらJK(死語?)のようにキャッキャッと騒ぎながら
幸せの鐘をガンガンと鳴らしていた。
2日目は朝からあいにくの雨が降り、
この日は有珠山とかに連れて行く予定だったのでどうしようかと悩んだ。
するとだんだんと明るくなって雨も上がったので
「パークゴルフなんて興味ない?」と聞いてみたら
「やる!」ということになって地元の渚パークゴルフ場に
連れて行った。
そしてなんと「27ホール」を付き合ったのである。
ノロノロと周っているとお互いにしかり合いながら。
後続には誰もいないのに、とにかくせっかちな二人なのだ。
27ホールを終わってからも
二人ともだんだんと慣れて調子が出てきたからか
まだプレイに未練があるようにも見えた。
こんな様子を見ていると、
彼女たちは、二人ともほぼ90歳という事実を
ついつい忘れてしまう。
人間、年齢でひとくくりするなんてナンセンスなのである。
その後、洞爺湖周辺を観光し、
昼は伊達わさびさん、夜は地元のナミヘイピザ。
「美味しい、美味しい」とワインとともに平らげ、
翌日には函館まで送って行った。
怒涛のような3日間だったが、
帰り際、二人は「また来る」と言い残して
新幹線で帰って行った。
旅の間、二人の写真を撮ろうとすると
「こんな婆さんになって写真に撮られるのはいやだ」と
言われながらも、
「冥土のみやげだ。撮ってやる。」
と応じていたわけが、
どうやらその時はしばらくなさそうだ・・・
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