心の伊達市民 第一号

読めなかった漢字「鏝」と「鈿」

私が出掛ける場所の情報は新聞、雑誌、本などによることが多い。
IT時代であっても、全く知らない情報はヒントが無ければネットでも調べようがない。
そこへいくと紙に書かれた文字は「こちら」から探すのではなく「あちら」から勝手にやって来る。
これはとてもありがたいし、これからも無くなって欲しくない。





新聞に出ていた「鏝絵天細女命功績図」


ある日の新聞のエッセイに、「寄木神社」という聞き慣れない文字が見えた。
記事を読むと「漆喰」の話で、「左官が鏝で生む街中の芸術」という面白そうなことが書いてあった。
この神社に保存されているのが漆喰の「鏝絵天細女命功績図」というもので、「触れると乳の出が良くなる」と言われていたそうだ。





小さな無宮司の「寄木神社」


私が興味を持ったのは、「触れると・・・」もあるが、今まで知らなかった漢字が出ていたからである。
「鏝」を見て「うなぎ」と勘違いした。これは左官の使う「コテ」と読むと初めて知った。


次に「鏝絵」ということも初めて知った。「鏝絵天鈿女命功績図」は「こてえあめのうずめのみことこうせきず」と読むそうだ。「鈿」も初めて見た。これは金属製の簪(かんざし)のことだそうで、「うず」と読む。





狛犬は珍しい頭に皿のある「カッパ」


この漆器の絵は本殿の扉に描かれていて、名工「伊豆長八」の作で品川区指定文化財になっている。
左扉上部に天照大神、下部に天鈿女命、右扉に猿田彦命が描かれている。
境内にある『狛犬は珍しいもので、頭に皿がある「かっぱ狛犬」と呼ばれ、かっては皿の上に蝋燭を立て灯台の代りとして沖にいる船の目安にした』とHPに書いてある。





靴を脱いで上がると、ガラス戸が閉まっている。


私は珍しもの好きなので、行ったはいいが「見られない」のではバカバカしいので、行く前に品川区観光協会に問い合わせをしておいた。『鏝絵天鈿女命功績図はいつもで見られますか?』


すると翌日の午前9時過ぎに返信が来た。早い返信で驚いた。
『寄木神社の「鏝絵天鈿女命功績図」に関しましては御本殿内の内扉に施工されております。御本殿に上がる階段のところで靴を脱がれて、数段上がっていただきガラス越しに御拝観いただけます』。





ガラス越しに中を覗く。


4月5日にGoogle Map を頼りに「寄木神社」に行った。
そこは狭い路地を入ったところにある、割合に小さな宮司不在の神社だった。
観光協会から教えもらったように、ご本殿の前で靴を脱いで階段を上る。


賽銭箱の向こうのガラス越しに覗いてみたら、一番奥にその「鏝絵天鈿女命功績図」があった。
ガラスにカメラを押し付けて、何枚かの写真を撮る。でも老眼のせいか、肉眼では良く見えない。
それで終りだった。家に帰ってから写真を拡大したら、良く見えた。





家に帰ってから写真を拡大したら良く見えた。


(おまけの話)
品川観光協会に寄木神社のことを問い合わせた時に、観光協会のツイッターを見付けた。
そこには驚くような写真の投稿があった。私は「これは見に行かねばならない」と思った。


なんと川全体が上流から流れて来た桜の花弁で埋められていて、そこをボートが進んで行く画像だった。
『こんなことが起きるのか?』と驚いた。
そしてもう一度、観光協会にメールで『場所と撮影時間』を問い合わせた。





品川観光協会のツイッターに載った驚きの写真


その結果、『場所は品川橋の上から。撮影日は4月1日、時間は午後2時頃』と教えてもらった。
私は5日にその時間に合わせて品川橋に行ってみた。しかし時間になっても花弁が海に向って流れて行くだけで、写真のような現象は起きない。そこで考えた。


『これは東京湾の満潮・干潮に関係があるのではないか?』。
私の考えでは『干潮から満潮になる時に、花弁が下流の方から押し上げられて来る現象』ではないかの?
そしてネットで調べたら、私の行った4日後は干潮から満潮に変る時間は午後1時だった。





海の方から押し寄せる桜の花弁。


どうやら私の考えでは、干潮の時に花弁は上流から海に向かう。
そして干潮から満潮に切り替わると、花弁は海の方の下流から上流へ押し戻されて来る。
満潮・干潮のグラフを見ると、放物線を描いて潮の満ち干が起きている。


だから満潮が頂点に達すると流れが遅くなり、川に花筏が出来るのではないだろうか?
そして満潮から干潮に切り替わる時に、川の流れは止まり一面の花筏が出来ると考えた。





水上タクシーが来て、花筏を荒らしてしまう。


午後1時になると海から川の水が逆流して来た。それと一緒に花弁も逆流して来た。
だがあの驚くような現象が起きる場所は、品川橋ではなくもっと上流の方で起きるようだった。
川岸を歩いて上流に向かう。ドンドン上流へ行き、午後3時に流れが止まった場所は大崎だった。


しかし残念なことに、お花見の観光船が次から次へとやって来る。そして花筏をかき回して去って行く。
「これは駄目だ!」と思い、撮影は終了とした。自然現象を撮影するには「運」が必要のようだ。





観光船も来て花筏を荒らしまくる。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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