心の伊達市民 第一号
特別な話題が無いので、話は「閑話休題」となる。
マンションのデジカメクラブの友人のAさんとBさんと、3階のカフェでお茶をした。
AさんとBさんは毎日のように来ているが、私は1週間に一度は顔を出す。
2人は独居老人である。私はいつも会っているので、特に変わった話は出て来ない。
今回は私から質問攻めにした話である。
(今回の写真は葛西臨海公園のコサギです)
Aさんは2年ほど前に奥さんに先立たれて、いまは1人で生活している。
80台後半で自宅で人工透析をしているので、1週間に3度の介護を受けている。
食事はほとんど弁当か、スーパーで惣菜を買ってサトウのご飯で食べている。
Bさんは80歳になったばかりで、数年前に奥さんに先立たれた。
いまは土曜日にデイケア・センターに行っている。毎日の食事は自分で簡単なものを作って食べているが、2~3日は同じものが続く。
Aさんはいつも言っている。
『私はマンション生活で4ヶ所を転々としたが、マンションで友達が出来たのは初めてだ。デジカメクラブに入れてもらい、とても良かったと思っている』。
Bさんは人好きのするタイプなので、マンション内に多くの知り合いがいる。
そもそも私がこのマンションで初めて知り合ったのも、このBさんだった。
2人はタイプは違うが、独居老人同士で仲良くしている。
今回は私から切り出して、2人に迫り来る「死」に付いての考えを聞いてみた。
Aさんの話。『いつ死んでも心残りは無いが、あまり具体的に考えないようにしている。
介護士が月水金と来るし、土曜日は必ず息子が来るので、死んでも1日で発見される。昔は60歳で爺さんだったし、父親は60歳台で亡くなったので、自分が90歳近くまで生きているのは自分でも不思議に思っている』。
Bさんの話。『自分の父親は90歳近くまで生きた。自分も同じくらい行くのではないかと思う。オヤジはとんでない男で、外に女を作り母と離婚した。その後も自分が高校を卒業するまでは、1週間に一度は家に来て夕食を食べていた。以前は私は毎日、娘に安否確認のショートメールを送るのが義務だった。
1ヶ月の生活費を5万円渡されて、1ヶ月に1度は自宅に来て、家計簿をチェックして帰って行った。その時はもっと肉類を食べろと注意されていた。現在は1ヶ月に1度のメール報告で済むようになった』。
Aさんの息子さんはグルメで親孝行である。
毎週土曜日には必ず、家にオヤジの好きそうな食べ物を買って持って来る。
でも残念ながらAさんは段々と食欲が衰えて、冷蔵庫に入れっ放しも増えて来たようだ。大好きだった甘いものも好まなくなったそうだ。
介護の人に風呂に入れてもらい、1人で食事をし、テレビを見て早寝してしまう。独居老人の話を聞くと、とても侘しくなる。そんな時に私は、家族と生活できて幸せと感じるのである。
Bさんは倹約家で、ほとんどお金を使わない。
娘から渡される、1ヶ月の生活費である5万円も残していた。
煙草を吸うのが難点だが、『もう年だし他に楽しみも無いのだから、今さら止めることもない』と私は言ってあげている。
最近は少し羽振りが良くなったように感じたので、理由を聞いてみた。すると毎月5万円から、『いまは一挙に200万円を娘から振り込まれた』と言っていた。そして娘が来ると、今は一緒に外食もするようになった。
『良かったねー』と言ってあげたら、喜んでいた。
(おまけの話)
ここからは自分のことも書いてみようと思う。
私の父は56歳で、胃がんで死んだ。母は86歳で、ペースメーカーを入れた心臓が停止して死んだ。そうすると私は2人の平均をとって、71歳で終りと考えていた。
20年近く前に伊達市滞在中に女房の定期検診に付き合って、虻田の石田内科に行った時のことである。石田先生に『あなたもついでに、PSA検査をしたらどうですか?』と言われて、試しにやったら前立腺癌の疑いを指摘された。
東京に戻り大病院で再検査の結果、やはり前立腺癌だった。
すぐに手術をしたが、私としては「いずれ再発か転移で10年はもたないだろうから、やはり71歳かー」と感じていた。ところが、どうしたことか20年も経ってしまった。
61歳で引退し、「71歳までに、やりたいことはやり終えよう」と考えて、色々なこともやった。行きたいところにも行った。食べたいものも食べた。これで71歳で終れば、自分では大往生の予定だったのである。
いまは「お墓も買った」、「日本尊厳死協会にも入っている」、「やりたいことも無い」、「行きたいところも無い」、「食べたいものも無い」のであるから、とても困っている。せめて女房より先に逝きたいと願っている。
仕方ないので、毎日、当てもなく出歩き、写真を撮りブログに載せている。
いま一番恐れているのは、寝たきりになり、オムツの生活になることだ。
「長寿は幸せ」というのは過去の話で、今の私は身の処し方が分からない。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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