心の伊達市民 第一号
5月から土曜日の午後に、東京工芸大学が行なっている「春季公開講座」に通っている。
春秋の2回の計画で行っていたが、これもコロナの影響でしばらく中止となっていた。
それが久し振りに開講となり、早速申し込んで中野坂上のキャンパスまで行っている。
コロナ前はいつも楽しみにしていて、案内が来るとすぐに申し込んでいた。
中野坂上には「成願寺」というお寺があり、引退後はしばらくここで開かれていた仏像彫刻教室に通っていたので地の利がある。
地下鉄「大江戸線」の「中野坂上」の改札階の壁はアートだ。
仏像教室は毎週金曜日の午後からで、1年に一度はお寺の部屋を借りて「作品展」を行っていた。
しかし私にしてみるとなんだかマンネリで、新入りなのに「新風を吹き込まねば」と勝手に思った。
そして私から先生に提案して、なんとハワイで作品展を開催した。
その勢いで伊達市でも開催したし、私の辞めた後にはパリと台湾でも開催したというから驚く。
先生は私より若かったので、ハワイをキッカケに外国好きになったのかもしれない。
環状6号線沿いにある「成願寺」の巨大な仏画。
ところで公開講座の話に戻る。今回は4回シリーズで、土曜日の午後から90分授業である。
1回目の講座名は「マンガっていったい何だろう?」、2回目は「キャラクターイラストの世界」、3回目は「風刺マンガにおける表現の自由」、そして最終回が「ヨーロッパのマンガからわかること」である。
この講座では東京工芸大学の芸術学部の教授たちが、素人の高齢者相手に専門的な話を易しく話してくれる。しかも全て「無料」なのだから、誠に申し訳ないような気持になる。
「成願寺」の境内
1回目の授業の時に、マンガに付いて学問的な解説があった。
東京工芸大学で2007年に「芸術学部マンガ科」を創設するにあたり、学内で反対意見もあったようだ。
「マンガは学問か?」、「果たして生徒が応募して来るか?」などの意見があったが、それでも創設した。
結果は人気上々で、更に卒業生から人気マンガ家が出て、今では人気学科となっているようだ。
「公開講座」の案内パンフレット
授業は「マンガの定義」から始まった。
歴史的には「ポンチ絵」がマンガの始まりで、当初は役所が行なう解説的な図形だった。
だからその頃のポンチ絵は、まだ「読む」であった。
先生の解説で分かり易かったのは、「文学は水平に置いて読む」のに対して、「絵は垂直に壁に飾って見る」の違いだそうだ。その後、段々と現在のマンガのような形態となり、マンガは水平に置くが「見る」ものになって行った。
コロナ前は「5号館」で講義を行っていた。
1990年代になりマンガは絵が重要となり、ページ中にコマ割り、「吹き出し」で会話をするようになった。現在のマンガはデジタル・デバイスの普及により大きく変化して、紙からスマホになり、ページをめくるのではなくスクロールして見るようになった。
「今後のマンガは色々な媒体を使い、大きく変化するのではないか」という話だった。私はマンガは読まないが、マンガを学問的に解説されて、少し興味が沸いて来た。
6号館のロビーは広い
翌週は「キャラクターイラストの世界」の講義で、先生はマンガ家だった。
キャラクターが最初に現れたのは1923年の「ノンキナトウサン」で、その後、「サザエさん」、「鉄腕アトム」、「おそ松くん」、「ドラえもん」、「アンパンマン」と続く。
現在ではパソコンのソフトが進化して、作画はパソコンで行うようになった。
最近ではバーチャル・キャラクターが人気を博し、YOUTUBERにまでなっているそうだ。
もうこの辺りの話になると、私では付いて行けない。講座を通じて、「マンガは学問である」と分った。
公開講座の教室(6号館)
(おまけの話)
東京工芸大学は以前は「東京写真短期大学」という校名だった。
この学校は歴史が古く、1923年に創設されている。
創設者はいまは「コニカミノルタ」となっているが、カメラの「小西六写真工業」にルーツがある。
我々の世代ではこの学校は「写大」という名で有名で、現在も中野坂上キャンパスには「写大ギャラリー」があり、私は時々、そこで開催される写真展を見に行っている。
東京工芸大学は来年に創立100周年を迎える。
この大学には私は直接ではないが、色々と縁がある。
私が親しくしている台湾人に、台中在住のプロカメラマン(Kさん)がいる。
彼が若い頃に日本に留学して来て、私の会社の社員寮に住んでそこから学校に通っていた。
その頃はすでにKさんは台中でスタジオを持ち、社員も数名いる会社を経営していた。
驚くことにKさんは結婚もしている上に、社長の身で東京写真大学に留学して来たのである。
その時に写大で学んだことが、今の成功に繋がっているのだろう。人生とは不思議なものだ。
「写大ギャラリー」は5号館の階段を上った2階にある。
2人目は中高時代からの友人(Nさん)であるが、ニコン取締役を退任後、この大学の専務理事に就任した。Nさんから色々と話を聞いたが、「大学というところは伏魔殿だなー」と思った。
大学の教授というのは「就任したら死ぬまで教授」ということが日本中の大学で行われていたが、大学の増設が行なわれて生徒獲得の競争が激しくなった。経営も赤字の大学が増え続けていた時代だったので、ビジネス社会で活躍したNさんのような人材が必要とされたのだろう。
そして大改革を終えて、いまは悠々自適で趣味の世界で遊んでいる。
東京工芸大学「6号館」
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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