待ちに待った映画「PERFECT DAYS」が、やっと12月22日に公開された。
そこで初日に、早速、TOHOシネマに見に行った。この映画は今年の5月に行われた「カンヌ映画祭」で、役所広司が最優秀主演男優賞を受賞した作品である。
この作品に思い入れがあるのには、私だけの理由がある。

(渋谷駅周辺は「PERFECT DAYS」の広告で埋まっている)


「渋谷駅前」の壁の広告



その理由はこの映画が作られる計画があったのを私は知らなかったが、そのズーと前に私は1人で「PERFECT DAYS」の舞台となった渋谷の公衆トイレの取材に行って、それをブログで公開していたからだ。

しかも21年11月13日、12月9日、23年6月6日、8月23日と4回もブログに写真付きで書いている。その時は「まさか公衆トイレが映画化され、しかもカンヌ映画祭で役所広司が最優秀主演男優賞を取る」とは想像にも及ばなかった。


 「渋谷駅前」の壁の広告



映画で取り上げられたトイレは日本財団が渋谷区と協力し、「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトを立ち上げて、渋谷区内の17ヶ所のトイレを一流デザイナーに依頼して設計・建築したものである。そのクリエーターは次の人達である。

安藤忠雄、伊藤豊雄、後智仁、片山正通、隈研吾、小林純子、坂倉竹乃助、佐藤司士和、佐藤カズー、田村奈穂、NIGO、マーク・ニューソン、坂茂、藤本壮介、マイルス・ぺニントン、横文彦で、16人のクリエーターが17ヶ所のトイレを設計した。


「恵比寿駅前」トイレ(佐藤 司士和)



プロジェクトのHPによると、『トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」の文化の象徴。しかし多くの公衆トイレが暗い、汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られている状態にあります。本プロジェクトでは、渋谷区の協力を得て、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを区内17ヵ所に設置します』

『それぞれのトイレには世界で活躍する16人の建築家やデザイナーが参画、優れたデザイン・クリエイティブの力で社会課題の解決に挑戦します』とある。


 「透明トイレ」の中(坂 茂)



更に『公共トイレは長く使い続けていただくものです。「THE TOKTO TOILET」では、誰もが気持ち良くトイレを利用して頂けるよう、清掃をはじめとしたメンテナンスも重要と考えます。訪れた人々に気持ち良く使用していただき、さらに利用者自身が次の人のためを思う「おもてなし」の心の醸成を目指します』

『日本財団、渋谷区、渋谷区観光協会の三者で、メンテナンスに取り組みます。さらにトイレの維持管理のプロフェッショナルである「トイレ診断士」による診断を受けながら、メンテナンスを向上させます』とある。


 「渋谷駅前」の壁の広告



ところで映画の方の話である。
3日前からネットで予約が出来るので、20日の朝にTOHOシネマ・シャンテを予約した。
主役の平山は渋谷のトイレの清掃員である。
毎日、同じ時間に起き、同じように働いている。毎日が穏やかに過ぎて行く。

彼は木々を愛していて、その木漏れ日に目を細める。
セリフはほとんど無い。そんな平山にある時・・・。
音楽も映像も良い。年のせいか、こんな映画が好きになった。


「七号通り公園」(佐藤カズー)



しかも私の見に行ったトイレが登場するので、なんだか嬉しくなってしまった。
あそこのトイレは「写真が撮り難かったなー」とか、「入口が分かりずらかったなー」、「透明トイレは、入る時に少し恥ずかしかったなー」などと思いながら映画を見た。

映画はゆっくりと進んで行くので、私の思い出を重ねながら見ることが出来る。
久し振りに「★★★★」の映画だった。


 「鍋島松濤公園」(隈 研吾)



(おまけの話)
17ヶ所のトイレの中で特に驚かされたのが、坂茂の設計である。
坂茂が設計したのが、2ヶ所の透明トイレである。
「代々木深町小公園」と「はるのおがわコミュニティパーク」にある。

普段は個室の中が見える透明なトイレであるが、中に入り鍵を締めると不透明になるという非常にユニークな設計である。


 当初の透明トイレ状態(2021年11月)



ところが22年12月に、鍵を締めても不透明にならないという不具合が発生した。この仕組みは通常はガラスに通電していて透明になっているが、鍵を掛けると通電が解除されて不透明になる。ところが寒くなると透明・不透明を切り替える粒子が気温の低下で固まってしまうことが分かった。

そこでやむを得ず、10月中旬から5月中旬までは通電をせず、不透明のままで運用することになったようだ。


不透明になった状態を中から写す(外にいるのは私)



私は完成時にすぐに行ったので、透明・不透明を体験できた。
外で見ていると、利用者がトイレの中に入っているのが見える。
そしてその人が鍵を掛けると、不透明になる。
『面白いなー』と思い、自分でも2ヶ所で何回もやってみた。

1年半後に行った時は、不具合が表面化していて、常時・不透明で運用されていた。
そうなるとただのトイレで、全く面白味が無かった覚えがある。


不具合発生で、常時不透明状態


*ブログで取り上げた日
・21年11月13日、12月09日、23年6月06日、8月23日。
その時のブログは下記のURLから見られます。

【THE TOKYO TOILET PROJECT】・・・https://mushanavi.com/search.html?keyword=THE%20TOKYO%20TOILET


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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

コメント

  1. Shinji
    Shinji
    返信

    トイレのイメージ向上に大きく役立っていますね。

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