久し振りに「柴又帝釈天」に行ってみた。前回は1年半前だった。
ノンビリとバスを2回乗り換えて、約1時間30分も掛けて行った。
最近の私はバスが好きになった。その理由は窓から町の光景が見られる。更に良いのは何回もエスカレーターに乗り換えて、地下深くに入らないで済むからである。

京成金町線の「柴又」は葛飾区の東の端にあり、すぐ近くの江戸川の向こう側は千葉県松戸市である。我が家からは相当に遠い場所である。


京成金町線「柴又駅」



駅を出ると「男はつらいよ」のフーテンの「寅さん」像が立っている。
近くには妹の「さくら」の像もある。
寅さんの苗字は「車」である。だから氏名は「車 寅次郎」である。

妹の「さくら」の氏名は結婚して、「諏訪 櫻」となったのは意外と知らない人がいる。
寅さんの実家は柴又帝釈天商店街の中にある、「草だんご屋」の「くるまや」である。


 駅前の「寅さん」像



前回はコロナのせいで、全くと言っていいほど観光客はいなかった。
今回はかなり大勢の観光客が歩いているが、外国人観光客は全くいない。
やはり都心から遠いのと、「寅さん」はまだ外国までは知られていないのだろう。
「男はつらいよ」の映画化の前には、1966年から始まった連続テレビドラマで渥美 清主演、山田 洋二監督の「泣いてたまるか」があった。

私はこのドラマが面白く好きで、いつも見ていた覚えがある。
私の知り合いに「寅さん」みたいな人はいなかったが、映画だからいいが、実際に身近にいたら迷惑だろうなー。


 帝釈天参道



映画の寅さんの口上を少しだけ覚えていたので、詳しくはネットで調べてみた。

『わたくし、生まれも育ちも東京柴又です。渡世上故あって、親、一家持ちません。カケダシの身もちまして姓名の儀、一々声高に発します仁義失礼さんです。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します』。
うろ覚えの口上を思い出しながら、柴又帝釈天商店街の中を歩いて行く。


 草だんご「高木屋老舗」



古い町並みが残り、懐かしいような気持になる。
日本人のDNAに沁み込んだ、「心の故郷」のような気がする町だ。
能登地震があったばかりなので、東京直下型地震が起きたら、この商店街はひとたまりもないと思った。いつまでも残って欲しい商店である。

他の観光地と違い、ここで見掛ける人達は、ほとんどが後期高齢者のようだ。
自分のことは棚に上げ、他人が後期高齢者に見えるのはなぜなんだろう?


 草だんご「とらや」



柴又駅から続く300メートルの参道の突き当りに「帝釈天」がある。
「二天門」を入ると、突き当りが「帝釈堂」である。
帝釈堂に彫られた「法華経説話彫刻」は見事で、第16代世観明院日済上人の発願になるもので、大正末期から昭和9年に至る歳月を費やして完成したものである。

外から歩いても見られるが、入場券を買って廊下から見るのが良い。
規模は小さいが二天門(写真)にも彫られている。


 柴又帝釋天



二天門の左手に、白蛇の置物が並べられていた。
2匹の白蛇が首をもたげている。なんだか不気味だ。どこにも説明書きが無かったので、帰りに駅の近くにある「観光案内所」で聞いてみた。

すると資料を探し、『あれは幸運を呼ぶ白蛇で、奉納されたものです。御神水の脇にあったと思いますが、「水神」と彫られた文字塔が安置されてあります』。その後、自分でも調べてみたら、『蛇は命の再生のように見なされる脱皮という生態や、その生命力の高さが、蛇に対する畏怖の念を強め、それが蛇信仰=水信仰」となった』とあった。


気持ち悪い白蛇(帝釈天)



(おまけの話)
帝釈天に参拝し、その足で江戸川に残る「矢切の渡し」を見に行った。
「矢切の渡し」は帝釈天を通り過ぎ、土手を上ると前方に見える。
この「渡し」は細川たかしが1982年に、「矢切の渡し」という演歌で大ヒットさせた。
私はそれまでは「矢切の渡し」なんて、全く知らなかった。

この「渡し」は江戸時代初期から続く、江戸川の柴又と対岸の千葉県を結ぶ渡し船で、都内に唯一残る貴重な渡し場である。今はほとんど観光用で、週末だけの営業で片道200円で乗船することができる。


 矢切の渡し



帝釈天から少し商店街を戻り、目当ての「川千屋」に入る。
川千屋の歴史も古く、HPによれば、『柴又帝釈天、矢切の渡し、寅さん映画等でお馴染みの下町情緒溢れる柴又で、江戸時代より変わらぬ味を守り続ける川千屋の鰻。鯉料理に舌鼓を打つ。そんな粋なひと時を過ごしてみるのはいかがでしょう』とある。

席に案内されて、メニューを見る。少し値段が上がったようだ。
年をとると食べ物の好みも変るようで、あれだけ好きだった「うな重」も最近はあまり食べたくなくなった。そんなわけで川千屋のうな重も、昔ほど美味しくなかった。


川千家のうな重「梅」(4000円)



食後は柴又帝釈天商店街をブラブラと歩き、時代劇のセットのような風景を見て楽しむ。フーテンの寅さんの映画「男はつらいよ」は思った以上に評判が良く、次々とシリーズが続いた。最初の4作は「とらや」で撮影したようだが、続編の撮影の時は公平を期すために、「草だんご屋」は高木屋も使ったようだ。

私は「高木屋」に入り、草だんごを食べた。出て来た皿には2本の草だんごで、あんが多過ぎるくらいだ。店内には寅さん映画の写真が飾られていて、映画のセットのような雰囲気を出している。映画の「さくら」が出て来そうだった。


 高木屋老舗の「草だんご」2本とお茶(500円)


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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

コメント

  1. Shinji
    Shinji
    返信

    映画やドラマ、演劇、オペラ、はフィクションなのに、実際にあるように思えてしまう程に私たちの脳に刻み込まれてしまうのですね。長崎のグラバー邸に行った時も、ここが蝶々夫人の住まいだったんだ、などと思えて、いやいや、あれは創作である、と思考修正をしなくてはなりませんでした。

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