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親友と出雲大社と(7)

前回の話

 出雲大社の参拝を終えた我々は山口の親友に会いに向かった・・・

久しぶりに再開した友人は、
僕にとって数少ない親友である。

大学時代の4年間、学部こそ違ったが、
一緒のテニスサークルで活動した。
サークルはそれなりに大きかったもので、
全部で130人ほどいたメンバーを3年生のときは
僕が代表、彼が副代表として運営に一所懸命であった。

僕が問題を起こしては、
彼がいつもそれをうまく解決してくれる
いいコンビだったのだと思う。

この男は



改札口まで迎えに来てくれた友人。
やはり目はよく見えていないことがわかった。
しかし、外見からして健常者であるから、
かえって道を歩くのも危ないのではないかと思った。

居酒屋に行く道すがら、
車の通る道を渡ったり、
ちょっとした路肩の段差があったりと、

健常者からすると気にならない障害物が
彼にとっては恐怖に映るはずである。

なぜ白い杖などを持って歩かないのかと聞くと
どうもそこは彼のプライドが邪魔しているらしい。

昔から




出雲大社からJR出雲駅まで出て・・・

山陰本線から山口線の特急に乗った。

狭い山間を縫って列車は進む。
なかなか北海道にはない雰囲気だ。

何時間も列車に乗り、
夕方にはやっと目的地の新山口駅に着いた。
途中人家の集まりも少しは見たが、
ほとんど何もないところを走ってきた感じであった。

JR新山口駅は新幹線の駅である。

友人の会社はこの駅のすぐそばにあるというから
駅の近くの居酒屋でも行こうと
あらかじめ店の予約を頼んでおいた。

一応、到着時間を知らせておいたが、
彼には頃合いを見て店で待っているように言っておいた。
何しろ目がよく見えないのだから
あまりうろつかせたくないわでである。

すると、
改札口に彼の姿が見えた。
久しぶりではあったが、
様子は変わっていないようだ。

必死に改札を通る人たちを
目で追って探そうとしているのが見える。

僕はまず、カミさんに先に行かせて
僕は陰に隠れて彼の様子を見ることにした。

すると案の定、
彼にはわからなかったようで
カミさんは改札を通り抜けて
彼の後ろ側に立った。

そろそろ改札を通る人がいなくなった。
彼はオロオロしている様子だったから、
カミさんに合図をして、
後ろから驚かせろと指示した。

カミさんが友人の方を後ろから叩くと
彼はビックリした様子だった。
そこで僕は改札口をすり抜けて
また彼の肩を後ろから叩いた。

「あれー?いつきたの?」

僕は昔から彼のことを揶揄うのが好きだ。
学生時代も彼にはたくさんイタズラしてきた。
お互いにお互いのことをよく知っているから、
結構過激なことをやり合っても
笑ってすませられたのであろう。

気の置けないやつとは
僕にとってはこいつのことである。

久々に再開した我々は
近くのホテルにチェックインをしながら
居酒屋に向かった。



つづく

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犬と暮らしとカヤックと

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豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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