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親友と出雲大社と(7)

前回の話

 出雲大社の参拝を終えた我々は山口の親友に会いに向かった・・・

チェックイン後、居酒屋まで歩く途中、
道路を渡ったり、路肩の段をまたいだりと
結構危ないなと思ったが、
彼は白い杖も持っていない。

だから一見、健常者にしか見えないから
社会生活で困る場面があるのでは?
なぜ白い杖とかもって歩かないのかと聞くと
彼のプライドが見え隠れした。
そこには彼の強さがあった。
人から憐れんだり、
施しを受けるような身分ではない

そう思われたくない!
と、思っているのである。


店名物のサワーを観察する中野A

久しぶりに再開したこの頑固な友人は、
僕にとって数少ない親友、
中野Aという。

なぜAなのかというと、

当時同じサークルに中野がたくさんいて、
それぞれ中野A、中野B、中野C
という名前がつけられたことに由来する。


この中野Aとは大学時代の4年間、
学部こそ違えど
テニスサークル、それにサッカーサークルでも
一緒だった。
加えてサークル活動だけでなく、
その他の「課外活動」においても
四六時中一緒に行動をしていたものだ。

うちの実家に寝泊まりしたり、
こいつの蒲田の下宿に寝泊まりしたり、
とにかく大学4年間、
いつも一緒に過ごしていた。

我々の所属していたテニスのサークルは
学内でもそれなりに大きい方で、
1年生から4年生まで、
全部で130人ほどのメンバーがいた。

これらメンバーを3年生のときは
僕が代表、彼が副代表としてサークル運営を
切り盛りしたのだが、
何も考えずに動く僕は、
サークル内でよく問題を起こしては
代表として責任問題に問われる
ようなこともあったが、
彼はそれら問題にいつもうまく対処してくれた。

まあいいコンビだったのだと思う。

出会った当初、
山口の田舎から出てきた田舎者の彼は
東京の大学でかなりコンプレックスを
もっていたのだと思う。
そんな彼をことあるごとに
みんなでいじったものだが、
彼はその田舎者度を自分の売りにして
人気者になっていた。

当初都会の大学生の間で流行っていた
ファッション等も
彼が身につけると
なぜか似合わなくて笑えてしまう
そういう雰囲気を持ちながら、
口では田舎者を自負していた彼だが、
きっと心の中では一所懸命に
東京の大学生になろうと
努力をしていたのだと思う。

まあそれは4年間、
まったくの徒労に終わるのだが・・・。

そういえば、
中野Aは文学部国文科だったが、
同じクラスにあの二谷友里恵いた。
二谷英明(古い!)の娘である。
当初、友里恵ちゃんは
郷ひろみと付き合っているとかいう噂が
出ていた頃だったので注目されていた。

田舎者の中野Aは、
「二谷友里恵と話をしたぞ。」とか
「二谷友里恵にノートを貸してやったぞ。」とか
事あるごとに自慢していた。

そんなに自慢するなら紹介しろと
僕が言ったからか
どういう経緯だったか忘れたが、
中野Aがアレンジしたのか、
あるとき、二谷友里恵に会わせるからと
彼女やその取り巻きの
超お嬢様校上がりの連中ら6-7名の中に、
なぜか我々二人を混ぜてもらって
ある国文科のお嬢の田園調布の邸宅に
お邪魔させてもらったことがあった。

結局、肝心の二谷友里恵は
郷ひろみとの結婚がちょうど決まった
タイミングだったこともあり
この会にはこれなかったのだが、
このときの我々は場違い極まりなく
本当に居場所がなかったなあ・・・。
話が全然通じないのである。
興味の対象も世界観も全く乖離していて、
何しろ本物のお嬢の世界を垣間見た体験だった。

それ以来、都会育ちの自分自身も
田舎者の中野Aと大して変わらない
キラキラした世界には入れない
ドン臭い存在なんだなあと
はっきりと自覚したものだ。

もうかれこれ40年前の話なんだなあ・・・


つづく

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犬と暮らしとカヤックと

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豊浦町でワンコたちと暮らし、たまに海で遊ぶ日常をつづります。

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