心の伊達市民 第一号

写真で見る東京(75)・・・近場のアート

【勝どきのアート】
私はアートに造詣が深いわけではない。
暇だからウロウロしていると、東京では色々な場所にパブリック・アートが見られるのである。私の住む大江戸線「勝どき駅」で地上に出ると、3ヵ所にアートがある。

これはそこに建つ「勝どきビュータワー」という、このマンション所有のパブリック・アートらしい。公園の隅に金属の白いモニュメントがあり、そのタイトルは「記憶のシルエット」で、作者は土屋 公雄氏である。


 「記憶のシルエット」(土屋 公雄)    



作者のこの作品に付いてのコメントである。
「記憶は脳の中にあるとは限らない。古い写真、映像、木や建物などの形、味、匂い。何かのシルエットだけで、記憶が蘇ることもある。そして、そんなシルエットの積み重ねで人生はできている。そんなことを考えた」。

アーチストは凡人には分からないことを言うが、この作者の言うことはよく分かる。
抽象的で凡人には分からないコメントを好むアーチストの中にあって、この作者は私の評価は高い。


 夜の「記憶のシルエット」



昼と夜では、作品のイメージが大きく変わる。
私は作品の中に入ってみた。するとなんとも言えぬ「安らぎ」を感じた。
外部では騒音があるはずだが、中に入ると自分の世界になり騒音が聞こえなくなるから不思議だ。

記憶には無いが、「母の胎内にいる」という感じかもしれない。
中に入るなら、昼間より夜の方がなお良い。
世の中には色々なアートがあるが、中に入れる作品は貴重である



「記憶のシルエット」の近くのマンション1階の外通路の天井を見上げると、なんと「マナティ」が3匹もいる。
中に入れるアートを見た後に、次は天井に張り付いたマナティであるから驚く。

人はなかなか天井を見上げたりしないので、この下を通っても知らない人も多いと思う。作者の「栗林 隆氏」のHPを見たが英文で書かれていて、多くの作品が載っていたがマナティは出ていなかった。


「マナティ2010」(栗林 隆)



アートは普通は壁に飾るか、地面や床に置く。極端な例でも、バンクシーがビルの壁に描くくらいだ。それを天井に取り付けるとは、なんとも奇抜なアイディアである。
誰かが書いた解説を読んだら、この作品は「親子のマナティが地域や絆やふれあい、平和や環境の保全を象徴している」そうだ。

この場所の2階に上がるとそこには箱庭があり、同じマナティがいる。下のマナティを上から見たところらしい。なんとも不思議なアートである。




1階のスーパーマーケットの横に気を付けていないと見過ごすが、面白いアートがある。それは「2mのペットボトル」というタイトルのアートで、巨大なペットボトルが置いてある。その上には可愛い猫が乗っている。
初めて見た時は、「これはなんだー?」と思った。

大きなペットボトルには、本物の水も入っている。
作者は「KOSUGE1-16」というユニットだそうで、2人でアートを追及しているらしい。 


 「2mのペットボトル」(KOSUGE1-16)



この作品の説明によると、「猫除けのペットボトルの上に、猫が乗って睨みをきかしている。水と猫の存在は躍動する生命を身近に感じさせ、親し気な人の交流と幸福を招く招き猫の街の繁栄を願っている」とのことだ。文章は平易だが、意味がもうひとつ私には分かり難い。

それにしても昔は生粋の江戸っ子が隅田川下流域東岸の住民を、「あっち側の奴ら」とひと括りにして「川向こう」言っていたようだ。
これは隅田川を「大川」と呼んでいた時代に江戸っ子が蔑称で使っていた言葉で、私の住む「勝どき」は今でも「川向う」である。

それが今では人気の場所となり、私は知らなかったが「アートな町」になっていた。


 「2mのペットボトル」の上の猫



(おまけの話)【銀座のアート】
銀座4丁目の三越デパートの並びに、ネクタイ専門店「田屋」がある。1905年創業の老舗である。店の前にネクタイをした犬が立っていたので、写真を撮った。その時に誰かに肩を叩かれた。振り返ったら、マンションの友人で最近、少し認知症のXさんだった。

私『どうしたの? こんな時間に、こんなところで?』
X『銀座に用事があるので、都バスで出て来た』
私『どこまで行くの?』
X 『それが困っている。バスを降りたら、どこへ行くのか分からなくなった。思い出すまで散歩する』。

これでは私でも助けようがないので、そのまま別れたが、家に無事に帰れたかなー?


  「ネクタイをした犬」



4丁目から晴海通りを数寄屋橋方面に進むと、すぐ先に天使がいる。
ここは「天賞堂」で、1879年創業の貴金属店である。
1997年にビルをリニューアル時に、店の角に天使像を設置した。

この天使は店の角から路地の方を覗き見ている。
天賞堂のホームページを見ても、「なぜ覗き見をしているのか?』は書いてないので分からなかった。


 「覗き見の天使」



天賞堂の角を曲がると、すぐ近くにまことに小さな宝珠稲荷神社がある。
神社の入口は細い路地から入って行くと、突き当りになる。
その神社の方角を指さしているのが、1匹のチンパンジーである。
このチンパンジーは伊達市出身の彫刻家「渡辺 元佳氏」の作品で、神社の向かい側には2匹のチンパンジーがいる。

試しに「北海道伊達市出身の有名人」を検索したら、21人がヒットした。
しかしこの中に「渡辺 元佳氏」が出て来ないのは不思議だ。更にその21人で、私の知っている人はいなかった。   


 「チンパンジー」

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コメント

  1. 小さな発見(Y)

    小さな発見(Y)

    返信

    近場を徘徊するだけでこれ程の「芸術品」が発見される事は稀有であります。「記憶のシルエット」の作品の内側からの太陽の光線が頭の中の埋もれた記憶を蘇らせてくれました。なんとも芸術の奥の深さよ!

  2. Shinji

    Shinji

    返信

    ”記憶のシルエット”内部に入ると、秋田県横手市の”かまくら”、という雪で作ったシェルターに入ったらこんな感じなのでは?という連想が浮かび上がった。

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伊達季節移住のススメ

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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ジャンル
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アクセス総数
1,473,506回

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