
スペイン巡礼の旅
さて、今回のサンティアゴ巡礼路の旅は歓喜の丘(Monte do Gozo)で終わりである。
このあと残り2/3の旅はサンセバスティアン、バルセロナ、バレンシアなどを観光したので、その様子はあと数回おまけで紹介したいと思うが、ここで巡礼路というものをあらためて考えてみたいと思う。
というのは、松岡団長の四国遍路を世界遺産にするという並ならぬ熱意に突き動かされ、僕も巡礼路というものを考えてみたくなったからだ。
読者のみなさんも是非とも、より興味をもっていただければうれしい。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路

De Paulusburg - Trabajo propio, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73625432
成り立ち
バチカン市国、エルサレムとともに、サンティアゴ・デ・コンポステーラはキリスト教の三大聖地とされており、それぞれ旧市街地などが「世界文化遺産」に登録されている。
9世紀にイエスの使徒の一人であったヤコブ(ヨハネの兄弟)の遺骸が発見された場所が、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiagoはスペイン語で聖ヤコブ)であり、聖地となった。
その後カトリックの世界においての11世紀頃から本格的な巡礼地となり、巡礼者を世話する修道院も巡礼路に配置されるようになったらしい。
巡礼者の数の変化
巡礼者の統計は何に基づいているかによるだろうが、この数はサンティアゴ巡礼事務所で巡礼証明書を取得した巡礼者数のものである。
巡礼証明書は徒歩であれば100km以上歩いた者(自転車なら200km以上)が取得資格であり、今回紹介したサリア(Saria)やルーゴ(Lugo)の町などから最低でも歩いてきた人がもらえる。
この数だが、1980年代まではわずかであった巡礼者が年々数を増やし、2017年には30万人を超え2019年には過去最高の347,578人となった。(巡礼事務所資料より)
コロナ禍となった2020年には54,144人と激減したが、2021年には178,912人と回復。2022年はかなりまた増える見込み。(ガリシア州政府)
巡礼の最盛期は11-12世紀、50万人の巡礼者という記録もあるようだが、その後ルターの宗教改革や戦争などで衰退する(当然昔は巡礼目的の巡礼者であったわけで今と違うので一緒に比較するのはどうかとは思うが)。
衰退していた巡礼路を再整備
巡礼路にまた人々が戻ってきたのは1980年代ということでかなり最近のことである。
巡礼路に道標が作られて整備されたり、欧州評議会が「最初の欧州文化ルート」宣言をしたり、巡礼パスポートが発行されたことなどが理由となっているようだ。
そして1993年にはガリシア州政府が大きな投資をして巡礼者のためのインフラ整備やサポート体制の確立をしたことによって、最近の巡礼ブームが作られてきた。
これは歩く人の目的も巡礼という宗教目的よりも自然や健康づくりを目的とする観光者が増えてきたという背景もあろう。
巡礼路を観光資源にしようと画策されたわけだ。
つまり、もともと古くからあった歴史的資産を見直し、それを利用し、地域が集客目的で新たに投資をした結果、今の姿があるということになる。
四国遍路を世界遺産に
松岡団長が「四国遍路を世界遺産に」したいという理由は、「世界中から四国に集客する」ためである。
JC時代から地域貢献を考えて、その後地元には「四国遍路」という歴史的資産があることに気付かされ、サンティアゴ巡礼路を利用させてもらいながら、世界にその存在をアピールする活動をこれまで20年以上してきた一本気な男である。
その情熱と行動については本当に頭が下がるわけだが、その目的を遂げるために四国遍路としては何が課題なのだろうか。
四国遍路の課題と取り組み
四国遍路を世界遺産にしていくという松岡団長の思いは、既に四国経済連合会のひとつのテーマにもなっているようである。
この四国経済連が2019年6月にまとめた四国遍路についてのレポートは四国遍路の現状やサンティアゴ巡礼路との比較など、かなり詳細にわたって調べられ考察されていると思う。
このレポートの要旨としては、
・四国遍路人数は7-8万人/年くらいと試算できるが毎年3.3%ほど減少
・現状の遍路人数では20年後には半減する可能性もある
・日本人遍路さんは年々減少しているが外国人は増えている
・日本人訪問者はバスやマイカーが主流
・外国人訪問者は歩き遍路が主流(歩き遍路の17%くらいが外国人)
・日本人と外国人の訪問者の宿ニーズが違う
・サンティアゴ巡礼路に比べると宿代がかなり高い
・世界遺産登録には宿などの整備が不可欠
・今後はより外国人に頼らざるをえないかも
そしてまとめとして、
外国人受け入れ態勢を作っていく方向性で考え、公営巡礼宿(四国版アルベルゲ)やインフォメーションセンターを整備し、また短期間滞在のメニューを作るなど体験型・滞在型遍路に変えていくのはどうか
としている。
要するに観光促進による経済活性として、国も含めた自治体の公共投資が絶対に必要であるわけだが、その時にどこにどのように投資していくかを考えていかないといけない。
そこで四国遍路を歩いたこともない小生の考えではあるが、
88ヶ所1200kmの全ルートの中で、「体験型歩き旅」に条件が良い(景観・道・宿泊施設・住民サポートなど)ルート(大体50km〜120km・1泊から5泊くらいまで)をいくつか選定して体験メニューやアプリ(ソフト)開発含めてプロデュースし、そこにまずは投資を集中させてリピーターを作りながら、少しずつルートを増やしていく
という作戦はどうかなと思った。
サンティアゴ巡礼路でも50kmや100kmから歩く短い距離の体験ツアーが、より人気であるように、四国でも最初は短い滞在期間で中身の濃い(お接待などで)滞在ができるようにしてリピーターを獲得する作戦が理にかなっているように見える。
それで今回は何番から何番のルート、次回は・・・・という感じでいわゆる「通し打ち」(1回で全部周る)ではなく「区切り打ち」(何回かに分けて周る)で周ってもらう。
実は「歩き遍路」は「贅沢遍路」と言われ、バスやマイカー遍路に比べると格段の費用がかかる。何しろ1200kmあるのだから最低でも40日、遅めだと60日かかる行程。1泊6-7千円の宿泊費に飲食を加えて8-10千円かかると40-50万円かかるわけだ。
だからなんとか「区切り打ち」でもいいので「歩き遍路」で周ってもらうことは肝心でもある。
いずれにせよ四国遍路のような日本固有の歴史資産には、維持をしていく上でも、ハード(寺や道、宿泊所など)やソフト(お接待の文化など)にもっと国としても、その保全にお金をかけていくべきではないか。それがひいては日本人も含めた観光客を増やし、持続可能な文化資源の確保につながるはずだと思うからである。
四国遍路の来訪者(巡礼者)はコロナ禍以前でも7-8万人くらいと見られているが、今後外国人の歩き旅ニーズについては期待できるので、うまくやればきっと観光客も増やせよう。
多分コロナ禍で止まっていたであろうこの四国遍路の対策について、これから新しい展開が始まることを切に祈るのである。
俳人 黛まどかがサンティアゴ巡礼路を歩く
ついでにこちらの映画を紹介したい。
サンティアゴ巡礼路を歩く日本、ブラジル、オランダからの巡礼者たちをドキュメンタリー風にした映画。
それぞれがそれぞれの思いをもって巡礼路を歩く様子が見られる。
黛まどかが出る部分は日本語か英語になっているのでそこだけ飛ばし飛ばし見ても興味深い内容となっているのでオススメ。
そして彼女の書いた「星の旅人」という本のあとがきには
カミーノ(道)は、誰にでも拓かれています。あなたがこの道を歩いてみたいと思った日から、道は終点サンティアゴへと向かって伸びてゆきます。あなたの心が、この道の出発地なのです。どうか黄色い矢印(道標)に従って歩き継いでください。
という文があった。
ピンときたらあなたも歩いたらいかが?
参照資料
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会
サンティアゴ巡礼路公式サイト(ガリシア州政府)
巡礼事務所
新時代における遍路受入態勢のあり方(四国経済連合会レポート)
さあ、次回から数回に分けてこのあとの観光の様子と我々の後日談としよう。
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きのこ観察会にて この日は、倶知安にある「GURUGULU」というオフグリットのゲストハウスで「きのこ観察会」が行われました。 参加者は小さなお子様から大人までの15~6人。 この日筆者は、「きのこ観察会」への参加と、今回の主人公 中嶋潔氏 の取材目的で出かけて行きました。 お天気最高の野外活動日和♪ 実は筆者、潔さんの観察会には“きのこ”以外でも参加しています。 今回で4回目。 中嶋潔ワールドは、毎回飽きることなく楽しい時間を過ごせます。 何故かって? それはきっと、森愛溢れる潔さんと森にいると、とても楽しくて、平和で、幸福感が何倍にもなるから。 森がいっぱいの日本に住んでいて良かった! 地球に生まれて良かった! そんな幸せの時間を与えてくれる人だからです。 子どもも大人も惹きつける潔さんの技はひとえにお人柄が成すものです。 子どもって、そういうところを察する力に長けていますので、すぐに人気者になってしまいます。 中には、きのこ博士くん候補生のように詳しい子もいました。 毎回観察会を楽しみにしているご家族もいらっしゃるようです。 そして観察会の締めは約11種類もの“きのこ”が入ったうどんを毎回振る舞ってくれます。 実は皆、これも大の楽しみ🎶 林床への興味 実は潔さんは、あの難関資格「森林インストラクター」でもあり、「きのこアドバイザー」でもある森の人。 2001年から6年間林業に携わり、現在はニセコのリゾート会社にお勤めです。 「北大のポプラ並木が倒れたり、支笏湖周辺の森の木が軒並みなぎ倒された大きな台風が来た2004年、悲しいことにリストラに遭ってしまいました。管理する木がほとんど倒れて無くなってしまったからです。でも林業の仕事が大好きだったのでその後は民間会社の林業部門で働きました。林業に携わっていた6年間で行っていたのは、育苗・植林・伐採・管理。おもにトドマツ・アカエゾマツ・カラマツ・ミズナラ・ケヤマハンノキなどを植えていました。働き始めた頃は何も知らなかった樹木の名前も、毎日触れて観察をしているうちに、2年で倶知安周辺の樹木は全て覚えてしまいました。この地域の樹木について、ある程度把握できてきた時に、次に興味が湧いたのが、いつも樹木のそばの地面にいる、きのこたちでした。」 「興味を持ち始めた頃から直ぐに“きのこ観察会”を催すようになりました。自分自身はまだまだよくわからなかったので、黙々と独学もしつつ、『誰か詳しい人!?』と呼びかけて興味がある人や詳しい人と一緒に観察をすることで少しずつ覚えていきました。最初の頃は図鑑を森に持って行き、調べながら歩いていました。でもそれをやるとなかなか進まず多くを観察できません。実は、“きのこ”ってまだ良く分かっていないことが多いです。日本には5千〜1万種類くらいはあると言われていますが、その内、名前が付いているのは2500種類くらいです。そしてそれらのうち、一般的な図鑑に掲載されているものが800種類ほどです。名前のない不明菌と呼ばれるものの方が非常に多いことになります。実際に森を歩いていてもわからないものがたくさんあるわけです。だから、図鑑を持ち歩くのはとても非効率になります。ある日、北海道大学名誉教授の五十嵐教授の観察会の仕方を見て衝撃を受けました。森の中では一切図鑑を開かなかったのです。だから、僕も現場で図鑑を開かずに、種を言い当てることができるようになる努力をしました。きのこ用のカメラを買い、色々な角度から写真に収めてあとで調べるという方法をとりました。10年くらい続けてやっと種の見分けに信憑性が出てきたかな〜。」 にわか仕込みで覚えようとしている筆者には耳が痛い話です^^; 「また、FaceBookでは『北海道のきのこ好き』というグループを作って、常に新鮮な情報交換をしています。オンライン上の趣味のグループって、とかくイザコザが起きやすいのですが、このグループは居心地の良いグループにしたかったので、しっかりルールを守り、ネット上のマナーをわかってくれる人のみを承認するようにしています。自分がなかなか見られない“きのこ”も皆さんがシェアしてくれるのでとても勉強になります。」 常に学ぶ姿勢を止めない潔さんです、 そしてじきに、潔さんに転機がやってきます。 「ニセコのある会社から、スキー場ゴンドラの夏季営業を始めるに際し、山頂で自然体験部門を立ち上げるのでその担当者にならないかという話しが舞い込みました。好きな分野でしたので直ぐにお引き受けし、2007年から2020年に廃止されるまで担当しました。コロナ禍がきっかけでその部門はなくなってしまい、今は別のセクションにいるのですがあれは楽しい仕事でした。」 今ももちろん“きのこ”への愛は変わらず持ち続け、観察会活動はライフワークとして続けているというわけです。 「ところで、“きのこ”は確かに可愛くて面白いですが、それほどまでにのめり込んだのは何故ですか?どこにそんな魅力を感じたのでしょうか?」 「石炭期を終わらせたのは“きのこ”だという話を知っていますか?」 「え? あ…はい。一応ネイチャーガイドの端くれですので…」 「“きのこ”への興味は食べられるor食べられないだけではありません。まず、一期一会で神出鬼没なところが面白いのです。“きのこ”への興味を覚えてから20年超えてもまだまだ情報は更新し続けています。実に奥が深い。地球上の“きのこ”の登場は、酸素と二酸化炭素濃度のバランスに関係しています。地球上にきのこが登場する前、植物たちは枯れても分解されることがないので、その遺骸は地面に溜まり続け、それが石炭となって地面の中に二酸化炭素の多くを封じ込めてしまいました。そのため地球の酸素濃度はどんどん上がり続けましたが、“きのこ”を含む菌類の登場により、死んだ樹木を菌類が分解するようになり、石炭はできなくなってしまいました。その後、大気は現状の酸素濃度で安定し、土壌も変化し生き物は進化し、現生の植物が誕生しました。“きのこ”の登場は、地球上の生物や植物にとってとても大きな出来事だったのです。“きのこ”をはじめとした菌類が地球上の生命活動の重要な鍵を握っているわけです。」 なるほど〜。 もうかなり前のめりな筆者。 目がキラキラしているのを自覚しました。 もっともっとその続きを聴きたい衝動を堪えて、取材モードに戻しました。 同時にここで、潔さんが一体どんな子ども時代、青年時代を過ごしたのかということに俄然興味が湧いてきました。 潔氏 小学生〜大学生の頃 「小学生の頃は物知り博士的キャラでした笑」 「それって今と変わらないですね笑」 「そうだね。たぶん僕は父親の影響をかなり受けていると思います。父は兵庫県赤穂市生まれで海育ちだったので、海が大好きな人でした。よく釣りやキャンプへ行ったなあ。今でいうグランピングのようなキャンプも体験させてくれました。父自作の2段ベッドがテントの中にあったんです。自然の中での過ごし方の基本を習ったのは父からでした。そして、ものすごい読書家で聡明でした。物事を科学的に考えることがとても好きな人で、それを試してみるのも好きでした。手先もとても器用だったので、周りが驚くようなものを色々作っていたなあ〜笑」 お父様のことを楽しそうに話す潔さん。 “ 困った人” “ 変な人 ” という言葉が何回も出てきましたが、その言葉の裏にある尊敬と愛が込められていることも筆者には伝わっていました。 「例えばね、自宅の一角にコンクリートの建物を作って、屋上に畑を作ったこともありました。ところが階段がない。梯子で上るわけです。そして父親だけはトイレを使わず糞尿を肥料として屋上の畑に撒くわけです。周りは住宅街。当然臭う。当時、父はEM菌関連の本を読み漁って研究をしました。決して環境問題に傾倒していたというわけではなく、素朴な感情で超循環の暮らしをしたいと考え、自給自足を目指していたのだと思います。大変だったのはお袋だろうなあ〜笑」 「あ。こんなこともありました。当時大阪府に住んでいたのですが、自宅の近くに天の川という名の川が流れていて、その河川付近に遊んでいる土地があると放っておけない。開墾しちゃうんですね。特に迷惑を被る人はいないとは思いますが、まあ、今なら問題になりそうですよね…^^; とにかく、学校では学べない自由な世界があることを父が教えてくれました。」 お父様のお話を伺っていたのですが、途中から潔さん自身のお話を聴いている錯覚を起こすほど、お父様の影響を強く受けていらっしゃるなあと感じて、心の中でクスッとしてしまいました。 「中学生の頃は自転車少年でした。自転車の旅が好きで、高校の卒業記念に友達と13泊14日四国の野営旅をしたこともありました。高校時代はワンゲル部・新聞部・クイズ同好会を掛け持ちしていました。自然の中にいることも、ものを読んだり書いたりすることも当時から好きでした。北海道新聞のコラムを12年間連載したこともあります。」 しまった…。 またやってしまった…。 最近どうもうっかりとモノを書く人を取材相手に選んでしまいます。 潔さんは常に笑いながら話してくれるのですが、緊張が走った瞬間でした ^^; 「大学時代はワンゲル部一筋でした。山は本当に好きで、仏教系の大学で哲学を学んでいたのですが、卒業後は北アルプスの山小屋で夏から秋まで五年間、小屋番をしていました。」 小学生から大学生時代のお話を聴き終わり、目の前にいる潔さんを作り上げてきた道筋が見えた気がしてものすごく腑に落ちました。 キノコから森を観つづけた潔さんが成し遂げたい想いとは 「最後に、成し遂げたい想いがあったら教えていただけますか?」 筆者が投げかけた質問に、それまで、ニコニコと顔いっぱいの笑顔で話していた潔さんの顔つきが急に変わりました。 「キノコは森を観る窓だと思っています。」 そう切り出した話の続きはこうでした。 「北海道の70%は森林と言われています。ずっと森を観てきた人間として、キノコを通して北海道だからこその森の守り方・育て方・稼ぎ方などを仕組み化していきたいと考えています。ご存じですか?北海道の人工林の約50%はトドマツ林です。 そしてなんと、トドマツ林にはおそらく世界で一番キノコの種類が多く生えているのです。 しかも、トドマツ林は保護林の中には存在しない。つまり、林床の利用は自由です。 北海道にしかできない「トドマツ林限定のきのこの資格制度」を作りたいと考えています。その資格制度を作ることで、北海道の人工林に最も多いトドマツ林に生えるキノコを熟知している人を増やせば、世界で最もキノコを理解している人を増やすことになります。キノコの理解者を増やすことで、森は森のまま木々を適正に管理して守り・育てることができます。木を切って売る林業ではなく、林床のキノコを売って稼ぐ林業を成り立たせる仕組み作りをしたい。トドマツの林床に生えるキノコの中には、マツタケよりも高値で取引されるものもあるんです。そして、その仕組みを推進する立場として『トドマツ林限定のきのこマイスター』が存在する。人工林ってね、人里に近いところにあるわけです。しかも人工林には必ず林道があるし、トドマツ林には笹がない。それらもその新しい仕組み作りにはメリットになります。つまり、人が入りやすくキノコが生えやすい環境である宝の森と言えるわけです。つまり、何をやりたいのかをもう一度と言うと、”森は森のまま維持する林業”の仕組み作りのために「トドマツ林限定のきのこの資格制度」を作りたい!と考えているんです。」 土の中や倒れた木の中で、人間の目には触れない世界の中に無数に張り巡らされている菌糸たちのネットワーク。 そして、空気中に飛び出した見えない胞子たち。 地表の循環の立て役者キノコたちを通して語る潔ワールドの森愛・地球愛・人間愛にすっかり魅了され、潔さんの成し遂げたい想いを応援したくなった筆者でした。 ―中嶋 潔氏 情報― FB : https://www.facebook.com/kiyoshi.nakashima.18 FB : 「北海道のきのこ好き」 ・倶知安「風土館」にて時々講演をしています。 ・「北海道のきのこ好き」に参加すると、各種ワークショップ情報を得られます。 10/29にも倶知安「GURUGURU」にてキノコ観察会があります。
Rietty
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いま、お馬さんと密な関係になってみた!LAKE TOYA RANCH
こちらの特集版にご訪問くださり、どうもありがとうございます^^ / 今後月に2~3回ほど、編集部のライターとして、皆様のお目目にかかることになりましたRiettyです。 この場では、私が出会った「好き」や「楽しい」や「いいね!」を皆様におすそわけさせていただきたいと思っています。 いろんなモノ。 いろんなコト。 いろんなヒト。 楽しむための情報の一つとして。 どうぞ末長くお付き合いくださいね ♡ さてさて。 国道230号線を留守都村方面に向かって車を走らせた時。 この看板を見かけたことはありませんか? 私、実はず〜〜っと気になっていたのですが、ついに曲がってみました。 すると…。 まずお迎えしてくれたのはこの子。 プードルのラヴィン君です。 まだ子供なので、「お客様だ〜!」とはしゃぐ姿がとても可愛い。 北海道弁では「おだつ」感じ。 そして誘導されるように歩くと…。 たくさんのお馬さんたちがのんびりお食餌中でした。 ここは、洞爺湖にほど近い月浦町にある「LAKE TOYA RANCH」さんです。 おっとり優しいお馬さんに跨り、ホーストレッキングや引き馬などを体験できるところです。 早速、体験してみました。 乗せてくれたのはヨーロッパ系ハーフリンガー&どさんこのミックス、大食漢のマックス君。 男子ですが可愛い顔立ちです。 山岳馬なので体力があります。 まずは「よろしくね ♡」とご挨拶。 そして、マックス君の相棒はアメリカ産クウォーターホースのローラちゃん。 カウボーイが乗るお馬さんです。 でも、ここで乗っているのはとても素敵な美人インスタラクターさん♡ トレッキングに出かける前に、「進め」「止まれ」「ターン」の手綱捌きを教わりました。 とても良くトレーニングをされているお馬さんたちなので、的確なアドバイスのもと、少しの練習と、「仲良くなりたい!」という気持ちがあればすぐに乗れるようになれます。 さあ! いざ! トレッキングに出発〜! 緊張と興奮でワクワク&ドキドキ☆ 親切なインストラクターさんは、ほとんど後ろを見た状態で爽やかに優しく指示をくれます。 上り坂は前傾して。 下り坂は後ろに反り気味に。 軸を保とうとするので、インナーマッスルが鍛えられそうです。 太腿の内側も締まりそう。 なかなかの運動量です。 二次的効果を密かに期待してしまいます。 途中、雪が降り出しました。 グリーンシーズンも良いけれど、白い雪原や山道を歩くのは本当に気持ちがいい ♡ お馬さんが一緒にいると、見慣れたはずの洞爺湖の景色が非日常なものに変わります。 お馬さんとの密なトレッキング。 元気に迎えてくれるラヴィンちゃんと、穏やかなお馬さんたちと、親切なスタッフさんたちに優しい時間をいただきました。 もちろんワイルド&イケメン社長 高橋洋一さんも、はにかみながら歓迎してくれます ^^ / 最後に地元密着耳寄り情報!!(地域外の皆様にはごめんなさい) 絶対にお得!! 絶対におすすめ!! 見逃さないでね♪♪ 帰りは高橋社長とラヴィン君が見送ってくれました。 レイクトーヤランチ情報 電話 0142-73-2455 住所 虻田郡洞爺湖町月浦44番地(カーナビ住所検索はうまくいきませんので、レイクトーヤランチと入れて検索してください) アクセス 洞爺湖温泉街より車で5分 E.mail toya@jphorseriding.com ※記事の内容は取材時の情報に基づいています(取材2021年) ※シェア、リンク等大歓迎です!
Rietty
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