タリズマン・マスター
悪夢を祓う
獏は夢を食べると信じられた霊獣で、「本草網目啓蒙」に「獏象」とあるように、鼻が象の形をした犀眼・牛尾の架空の動物です。
動物園にいるマレーバク等とは違うのさ…。
「獏」の字は中世から悪夢祓いに用いられていて、後小松天皇が夢に宝船を見たので、その絵を描かしめ、自ら「獏」の字を記したという…。正月2日の夜、宝船の絵を枕の下に敷いて寝て吉夢を得る事を祈るまじないは、室町時代から行われ出したようです。
江戸時代には宝船売りがこの絵の木版を売り歩いたが、帆の部分に獏の字のあるバージョンもあったらしい…。
獏が何故悪夢を食うか…については、とある人物は、「唐六典」に「莫奇」という夢を食べる神が出ており、この莫奇と、邪気を祓う霊獣の獏が音通するので、後世、獏が悪夢を食うという俗説が生まれたとしている(「動物妖怪奇譚」)。
悪夢を祓うには、”獏にあげます”を3回言うんだそうです。ただ、この獏の唱え言は朝方に東に向かって発するのですが、それは東が太陽の登る方位、生命発現・発展の方位で、魔や厄を祓う力があると信じられています。
他の方法としては、”早起きして川に何かを流す”というのもあります。古代日本人は、川は海に通じ、海は冥界に通じていると信じていた…。
そこで、祓うべき穢れや魔物を川に流す事で冥界に送ったのさ…。悪夢を見た時の夢流しも同じ信仰から来ていますが、ちょっと現代なら不法投棄なっちゃいますかね…?
”臨月天光”を3度呼ぶという方法もあります。「閑窓瑣談」に出る悪夢除けのまじないで、臨月天光は悪夢をもたらす鬼神の名前らしいの…。
そこで、悪夢を見せた鬼神の正体を、名を唱える事で見破り、悪夢を吉夢に転換するという方法もあるそうです。
私の経験上、私は一つも効き目あった事ないのですが…。(笑)
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