
心の伊達市民 第一号
裏磐梯の紅葉(3)
最終日の3日目は「午前4時40分の出発」と、前夜の内に言われていた。
なにしろ午後8時に寝てしまうのだから、目覚ましも不要でズーと前から起きている私である。Xさんが4時20分にトイレに行って戻って来て言った。
『オーナーが「雨の為、出発を1時間遅らせます」と言っていた』とこのことだった。

午前5時40分の雨の日のペンションの朝。
午後5時40分に外に出ると、まだ雨は降っていた。
車に乗ると他の客が言っていた。『秋元湖の日の出は大丈夫かな?』
それで私は秋元湖という場所に行くのだと知った。
ところが車は、(後で知ったのだが)中津川渓谷へ向かっていた。
しかし途中で車はUターンをした。行く目的地を変えたらしい。

秋元湖キャンプ場から見た、雲の上から出た日の出。
これも後でオーナーに聞いたのだが、『その日の天候、時間等で、事前に行く場所は決めていない』ということだった。このカメラマンは裏磐梯に住んで22年になるそうで、撮影スポットに関しては誰よりも詳しいようだ。事実、今回の撮影に参加している人で、初参加は我々2人だけだった。
他の人に聞いてみた。『このペンションに来たのは何回目ですか?』。
その答えに驚いた。『数え切れない。夏以外の季節にも何回も来ている』と言った。多分、このペンションのオーナーのガイドが気に入っているのだろう。

他のグループには高齢女性が多かった(秋元湖)
私は少々、このオーナーに不満がある。
写真は確かにプロなのだろうが、ペンション経営はサービス業である。
人柄は悪くないのだが、サービス精神に欠けている。
毎朝、車に乗ったら「今日のスケジュール」くらいは発表すべきだ。
いくら常連客ばかりといっても、我々のような初参加者もいる。
その人達には最低限の説明はしてくれないと困る。我々が帰る時にも、玄関に送り出してもくれなかった。

中津川渓谷に架かる「中津川橋」
車は秋元湖キャンプ場に着いた。暑い雲が空を覆い、日の出の撮影は無理そうだ。遠くの山の上から太陽が顔を出すはずであるが、山の上は厚い雲がある。
段々と空が明るくなり日の出は終ってしまったが、山の上の雲の上から太陽が顔を出した。これでも『日の出』と言うのだろうか? まだまだ頑張る4人を置いて、私たちは車に戻った。
ペンションの常連になるような人達は私とは違い、かなりしつこくチャンスを狙っているのだと感じた。

中津川橋の上から見た「中津川渓谷」の紅葉はまだだった。
秋元湖を出て、今朝の最初に途中まで行った「中津川渓谷」に向かった。
中津川に架かる陸橋の先で車を停めて、そこから陸橋まで歩いて戻り撮影となった。橋の中央から見下ろす渓谷の眺めは素晴らしい。
これで紅葉をしていたら最高の写真になると思ったが、残念だがここでも紅葉は無かったのである。
そして少々、ガッカリしながらペンションに戻り朝食となった。

中津川渓谷の雑木林も紅葉はまだ。
食事は奥さんの手作りで、大変に美味しい。2回の夕食とも、おかずに和風と洋風の両方が出て来る。
和風の料理を食べ終っても、次が出て来ない。私は『これで終りじゃないか?』と言ったら、Xさんは『ナイフ・フォークがあるから、まだ出て来る』と言った。
1日目は「豚肉のソテー」、2日目は「ビーフシチュー」だった。
食後に用事があり食堂に行ったら、カメラマンが皿洗いをしているのが見えた。「亭主は辛いなー」と思った時だった。

ペンションの入口から見た駐車場の紅葉。
(おまけの話)
ペンションのオーナーが他のペンションのガイドと話をしているのが聞こえた。
A『なんだか毎年、紅葉が遅れているなー』
B『それに地球温暖化の影響なのか、紅葉が綺麗でなくなった』
A『10年くらい前には8月が暑くて、9月に寒くなると一気に紅葉が進んだなー』
B『10月でも暑いんじゃ、紅葉が始まると赤くならないで茶色に枯れてしまいそうだ』
A『今年は全国的に紅葉が綺麗じゃないらしいぞ』

国民健康増進施設「ラビスパ」(入浴550円)
午前10時に清算をして、ペンションを後にした。
そのまま帰るのでは勿体ないので、『露天風呂に入り、美味しいランチを食べて帰る』という計画にした。
Xさんがネットで調べてくれた「ラビスパ」という天然かけ流し露天風呂に行った。
ペンションで狭い家庭用風呂に入っていた私は、露天風呂で英気を養った。
そして会津若松に出て、Xさんが出発前に予約してくれた懐石料理屋「鶴ヶ岡茶楼」に行った。

会津若松の老舗料亭「鶴ヶ岡茶楼」
予約の電話では『3300円以上でないと、予約は受けられません』と言われたそうだ。店はかなり格式がありそうで、和室でテーブル席である。
まだ注文をしていないのに、料理が運ばれて来た。これが3300円の料理らしい。田舎にしてはかなりレベルの高い内容で、料理には満足したのである。
帰路の東北自動車道で見えた夕陽はとても綺麗で、『これが裏磐梯だった良かったのにー!』と、少し残念な「裏磐梯の秋」の旅だった。
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帰路の東北自動車道で金網越に見た夕陽。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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心も体も幸せになるお菓子「こりんご」
今まで何度もお土産としていただき、ずっと行きたかったお店にようやく行けました。 初めてこちらのお菓子を口にした時のあの幸福感が忘れられません。 材料を厳選され、デパートなどで売られているどんな高級高価な焼き菓子よりも感動を覚えました。 ↑りんご色の看板が目印です。 その時は、袋に付けられた材料表示を見て一応納得しました。 でも、それだけならば高級高価なお菓子以上に美味しい理由の説明ができません。 その謎をずっと知りたいと思っていました。 ↑どれもこれも本当に幸せの味でした。 そのお店は駅前の「やきがし こりんご」さん。 響きが柔らかいひらがなの店名にしたいと考えていたときに、ご自宅のお庭にあった小さな実をつけるりんごの木を見て閃いたのだそうです。 2014年にオープンしたお店は、オーナーでありお菓子製作者の山木麗子さんがお一人で切り盛りしていらっしゃいます。 「営業日は木・金の二日間だけですが、月曜日~水曜日まで3日間焼いています。」 と話しておられた麗子さん。 それ、納得です。 並ぶのは小さなお菓子なので、ぱっと見た感じは少なく見えますが、なんと20種類以上ならんでいます。 筆者も経験者として作業工程が分かるだけに、朝から晩まで休む間もなく動き回る麗子さんの姿が目に浮かぶ様でした。 それなのにとてもお安い。 都心部や観光地ならば、きっと2倍~3倍のお値段だと思います。 でも、見た目も味もクオリティーはとても高いです。 麗子さんとお話をしていて、「何故、高級菓子店のものよりも美味しいのか?」という謎がようやく解けました。 それは「母の愛」でした。 ↑ヨーヨーをモチーフにした電笠も可愛い。 決して毒々しくない赤いりんご色の使い方に麗子さんのセンスを感じます。 「卵は平飼い、小麦は国産、ショートニング・マーガリンは使いません。一部使っているベーキングパウダーはアルミニウムフリー。 “こりんご”のお菓子は、お母さんが子どもに安心して食べさせてあげられる“おやつ”として存在したいと思っています。 体に良いものに徹底的に拘ろうとするととんでもなく高いものになってしまいます。子どもの“おやつ”ではなくなってしまう。だから、せめて体に悪いものは使わない というところには拘っています。」 ものすごく納得。 麗子さんのお菓子作りは、母が子を想う気持ちで作られていたのでした。 初めて食べた時あんなに幸せになった理由がようやくわかりました。 広島ご出身で大阪育ちの麗子さんはお話もとても面白い! 子育ての話。 お菓子作りの話。 経営の話。 ついつい取材を忘れて話し込んでしまった筆者です。 仕事のお昼休みに飛んでくるという常連さんたちは、きっとそんな麗子さんの魅力にも引き寄せられているのだと思います。 実はこの日、今シーズン最後のレモンパイを買って帰りました。 キャラメリゼされたパイが本当に本当においしかった~! 秋に販売されるという壮瞥りんごパイが今から楽しみです。 「お店のコンセプトは、見て可愛い。食べておいしい。」とおっしゃっていましたが、正にその通りのお店でした。 美しいオーナー麗子さんですが、写真はパスでした。 楽しいトークと、おいしいおやつ。 小さな小さなお店ですが、大きな大きな幸せを提供してくれます。 店舗情報 「やきがし こりんご」 住所 伊達市山下町362番地 電話 080-1885-4703 営業 木・金 11:00~16:00 ただし、7月第3週目は休業 夏休みもあるので、7~8月はFBで要確認↓↓ https://www.facebook.com/ringo.koringo ※ 記事の内容は取材時の情報に基づいています。営業日やメニューは変更になる場合があります(取材2021年6月)
Rietty
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“窯の前の最期” を夢見て〜パン職人 武田 浩一氏の歩んだ道〜
今回の主人公は、『boulangerie ibox 弄月店』の店長でパン職人の 武田 浩一さんです。 浩一さんは山口県出身の55歳。 見かけも感性もとても若々しいお方です。 2023年4月OPENされた『boulangerie ibox 弄月店』は国道37号線の道路沿いにあります。 『社会福祉法人タラプ』を母体にしたこちらのお店は、構想2~3年を経て誕生しました。 そこに店長兼パン職人として抜擢されたのが浩一さんでした。 浩一さんは『ibox』に入社して12年、そしてパン職人としては30年のキャリアをお持ちです。 イラストレーターを目指していた若かりし頃のおはなし 「実は、若い頃はイラストレーターを目指していました。」 と、取材は唐突なお話から始まりました。 「え?フリーのイラストレーターですか!? 若い頃からパン職人を目指していたのではなかったのですね!」 「はい。僕は幼稚園の頃から内気で、新聞の折り込み広告の裏が白い紙を見つけては、絵ばかり描いている子でした。山口県の高校を出てから、18歳で東京の美術系の専門学校に入りました。友達と切磋琢磨をし、新しいものは何か?今は何を求められているのか?を常に探求しながら、プロへの道を模索していました。コンテストにも頻繁に応募していました。入選したりもして、そこそこに評価をしていただきましたが、それだけでは食べてはいけないよな…と、中途半端な自分に限界を感じ始めていたのが24歳頃でした。」 「未練はありませんか?」 「昔の仲間が活躍しているのを見ると、“もう少し頑張ってやっていればよかったかな…”とパン職人に転向したことを少し悔やむ瞬間もあります。いまでも家では時々絵を描きますし、そうそう!ここの店の看板の絵も、幟の絵も、必要に迫られて描きました笑 当時の絵はほとんど処分してしまいました。断ち切るためにね。でもね、正直後悔しています笑」 「もったいない!とっておけばこのお店に飾れたのに!」 「笑 そうですね。あの頃は『アンディ・ウォーホル』『バスキア』『キースヘリング』など、ニューヨークで活躍していたストリートアーティストに影響されていました。 なんていうか、ポップアートの世界って80年代のサブカルチャー的な音楽とも繋がっている。そういうものに刺激を受けながら、「いま、一番新しいものはなんだ!」と、プロのアーティストを目指す友人たちと語ったり、試したりするのが楽しかったですね。」 パン職人として立つと決心したこと イラストレーターの道を諦めようと考えていた浩一さん。 ある日、パン職人の募集広告に目が止まりました。 「いきなりパンですか?」 「はい。パンと絵との間に共通点を感じました。絵は白い紙にゼロからモノを作り出す作業です。そしてパンも同じく何もない作業台に粉を乗せるところからモノを作り出す作業です。どちらも『ゼロから作る』というところが共通していました。」 「なるほど〜。だから抵抗なくこの世界に入れたわけですね。」 パン職人としては2年おきくらいに店を変え、その店の良いところを学んでこられました。 例えば、東京の自由が丘では、全国展開をしているパン屋で働いたそうです。 「様々な形態で店を出している会社でしたが、僕がいたところは粉から作る店だったのがラッキーでした。そこには10年いました。その後、大好きな湘南地域の鎌倉・葉山・藤沢・逗子などの有名店でパン作りの技と歴史を学びました。鎌倉ではチーフを任されていました。」 「湘南が大好きだった浩一さんが何故、北海道にやって来たのですか?」 「たまたま山口の実家に一時帰省していた時、自由が丘のパン屋でお世話になった人に声を掛けられたのです。『いい話があるよ』って。それがiboxのパン職人を募集しているという話でした。その人は伊達市出身の人でした。」 縁とは不思議なものです。 山口県出身の湘南好きな人が、最初にパン修行をしたところで出会った人に誘われて、今は北海道の伊達市にいるのですから。 『boulangerie ibox 弄月店』店長としての浩一さんがが目指す店とは iboxのパンは、今まで修行して来たパン屋のベスト版的なパンだと言い切った浩一さん。 「いろいろな嗜好の方に美味しいと感じていただけるようにバラエティーに富んだラインナップになっています。でも強いこだわりは『本物であること』。例えば、クロワッサンならばフランスの伝統的な技法とレシピで作っていますし、バケットもベースはメソポタミア時代から続くフランスの伝統を大切にした作り方ですし、フォカッチャならばイタリアの伝統的なレシピと技法で作っています。伝統と歴史を大切に、決して色褪せない本物を追求しつつも、やはり地域性も大切にしなければいけないと考えています。それぞれの伝統を重んじながら、どれだけ地域仕様にアレンジできるかが勝負どころです。そして、美味しいということを一番大切にしたい。」 思いがけず壮大なお話が飛び出し、すっかりのめり込んでしまった筆者でしたが、究極の答えにストンと納得してしまいました。 ものすごくシンプルで真理であると思いました。 「材料にこだわる」「地元食材を使っている」「健康にこだわる」「添加物は使わない」というお話は今まで色々なところで伺ってきました。 当然、この言葉の背後には「だから美味しい」と続くのだと思いますし、素晴らしい理念だと思っています。 ところが 『美味しいということを一番大切にしたい』 という答えを、ストレートに伝えてくれた飲食店さんは意外と少なかったことに気づきました。 よく考えれば当たり前の台詞に、目から鱗の気持ちになった筆者でした。 伝統と歴史を重んじる浩一さんの姿勢は 『長年受け継がれて来ているものは美味しいからだ』 という実感と自信の表れなのでしょう。 「boulangerie ibox 弄月店」はね、 街の中で人の集まる中心にiboxがあるといいなと思っています。 だから、月一で『ふくろう市』というタイトルで イベントも開催しています。 店の知名度をもう少し上げたいですし。 それとね、 パンも美味しいけれど珈琲もめちゃくちゃ拘っていますよ! 恵庭の「珈琲きゃろっと」という店の物なのですが、 豆はもちろんのこと、マシンのセッティングもすごいこだわりようです。」 確かに、マシンの珈琲でこれだけ美味しいものは正直経験したことがありません。 本当に美味しい! 「それと、弄月店ができる前、だて道の駅に出店したことも大きかったです。あそこは食材が実に豊富に揃っているので選ぶのが楽しい。基本は地産地消です。でも『美味しいこと』にはこだわるので、地元以外のものも取り入れます。」 浩一さんが迎えたい最期とは 「どんなお爺ちゃんになりたいですか?」 と質問してみました。 「お爺ちゃんになれば、たぶんここは退職をしているから、その時は自宅のパン屋で仕事をしながら死にたいな。ある日、パンを焼いていたらね、タイマーが鳴るんです。でも僕は動かない。そのことに気づいた弟子が覗き込むと僕は死んでいる。最後に焼いたパンを取り出し、弟子たちがみんなでそのパンを食べる。みんなでってところが大事。そんなストーリーが僕の中では出来上がっています。」 泣きそうになりました。 その姿が映像で浮かんだからです。 そして、イラストレーターの道に今でも未練を感じていると語っていた浩一さんはもうそこには居ませんでした。 最期はパン職人として死にたいと語りました。 良かった…。 心からそう思いました。 取材の間中、絵本を捲るような物語をお聴きし、歩んでこられたその道を振り返りながらも、しっかりと最期を見ているお姿とパンが重なりました。 浩一さんが捏ねた全てのパンを味わってみたくなった筆者です。 ―boulangerie ibox 弄月店 情報― 〒052-0013 住 所 伊達市弄月町59-35 定休日 月曜日(不定休あり) 電 話 0142-82-8310 E.mail takeda.kouichi@tarap.org
Rietty
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