私は特に宗教心があるわけではないが、お墓を買った関係で築地本願寺が菩提寺となった。築地本願寺では毎月16日を浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の「しんらんさまの日」と称して、参拝者には午前7時からの読経の後に朝粥とアンパンが振る舞われる。


私は築地本願寺は家から近いので、陽気の良い時には早朝から参拝している。
その時は同じマンションに住む、いつもの83歳のバアチャンも一緒である。でもバアチャンはこの寺の信者じゃない。



築地本願寺


朝6時32分始発の都バスで、築地6丁目で降りる。そこから本願寺までは徒歩3分ほどである。
入口でお経の本を借りる。そして最前列の真ん中の席に座る。これが決まりだ。
午前7時丁度になると、20人くらいの坊さんが出て来て、お経を読む。
私は借りた経本を目で追いながら、小さな声でお経を読む。



築地本願寺本堂


40分くらいで朝の読経が終ると法話があり、それが終ると別室に案内されて、そこで朝粥を頂く。
参加者は20人ほどで、年寄りばかりである。バアチャン以外は、みんな信者だと思う。
中には月1回の朝粥を食べたくて来ている人もいるかもしれない。(私のように・・・)


この日、たった1人参加の白人女性は、観光気分で来ていたのだろうと思う。
参加者は席に座り、湯飲み茶碗にお茶を注いで、偉い坊さんの着席を待つ。



浄土真宗本願寺派のお焼香のしかた


我々に向かい合うようにして一番前のテーブルに座るのが築地本願寺の偉い坊さんと、この日に法話をした坊さんである。係の坊さんの「食事に感謝の言葉」に続き、参加者も感謝の言葉を唱和する。
食べる時には話をしてはいけないようで、誰も声を発せず静かに朝粥を食べている。
最近は朝粥の水分が少なくなったように感じる。また量も増えているので、少食の年寄りには参る。



お経の貸出本


なにしろ精進料理であるから、おかずは「梅干し1個」、「沢庵の細切り、少々」、「塩昆布、少々」だけなので、よほど考えて食べないとおかずが足りなくなる。


坊さんはおかずの少ない朝粥を食べ馴れているので、食べるのが早い。
偉い坊さんが食べ終ると、係の坊さんはまた「食事に感謝」の言葉で締め括る。
我々も慌てて食べないと、偉い坊さんは席を立ってしまう。



朝粥セット


食事を終えると、出口でアンパンを1個、渡される。
ここでバアチャンはなぜか「2個下さい」と言って、2個のアンパンをもらって帰る。
バアチャンは信者ではないが、身分証明書も無いから誰からも咎められることはない。
「なぜアンパンを渡されるのか?」。その理由を知りたいが、未だに聞けずにいる私だ。



食後に頂くアンパン



アンパンをもらうと、バアチャンと一緒に寺院に併設されている昔風の喫茶店に向かう。
そこでモーニング・セットを注文するのも決まりだ。
コーヒー、ゆで卵、トースト、バター、ジャムが付いて、490円である。


これはいつもバアチャンが払ってくれるが、信者でないことを気にして私に気を使っているらしい。
そして30分くらい話をしてから、また都バスに乗って帰って来る。月に1回くらいは良いものだ。



アンパンに付いている「しんらんの日」の説明書き



(おまけの話)
朝粥の後に、同じマンションに住む83歳のバアチャンとお茶をした時の話である。
このバアチャンはかなりの我が儘者で、言いたいことは何でも言ってしまう。
「配慮する」とか、「遠慮する」ということは元々、無い人のようである。
だから83歳にもなっても、なお元気でいられるのかもしれない。



東京駅丸の内側の夜景


さて、その時の話である。
バアチャンは友人と東京駅で待ち合わせて、入場券を買って駅構内のレストランで食事をした。
食事を終り、買い物もして入った入口から出ようとしたら、自動改札のドアが開かない。
駅員が飛んで来てバアチャンの切符を見て、「入場券は2時間を過ぎると無効です。もう1回140円を支払って下さい」と言ったそうだ。



東京駅丸の内南口


ここでバアチャンは怒った。
「東京駅は駅構内にレストランや売店を沢山作り、(どうぞ来て下さい)と宣伝しながら、私が来たら2時間までとは何事だ!、食事をして買い物をすれば、2時間じゃ足りない。しかも入場券に2時間までとは書いて無い!」。駅員は慇懃に「これは規則です」と言うばかり。


バアチャンはその怒りの持って行き場が無く、私に怒っていた。
でも、バアチャンの言うことに一理ある。



ネットで入場券の画像を調べたら、「発売時刻から2時間以内有効」と書いてあった。 現在の入場券の料金は140円。







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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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