心の伊達市民 第一号
「ドンキにはなぜペンギンがいるのか」という、変なタイトルの本があるのをなにかで見た。どんな内容かは全く想像もつかなかったが、図書館の蔵書を検索したら見付かった。そこですぐに予約したら、誰も予約をしていないので翌日に受け取れた。
序章を読んで分かった。これは安売りチェーン店の「ドン・キホーテ」を取り上げて、その内情を本にしていたのである。
「ドンキ」は「ドン・キホーテ」のことで、「ペンギン」は店のマスコットだった。
創業社長はドンキを始める前に、安売り店「泥棒市場」を経営していた。
彼が取材に答えて言っていたのは、『なにしろ目立ちたかった』ということだった。
ドンキが1号店を開いたのは1989年の府中店で、同じ年に小金井公園店もオープンしている。
小金井公園店は以前の我が家から車で5分ほどの場所で、開店前に反対運動が起きていたのを見たことがある。その理由は店の駐車場が五日市街道から住宅地へ入る細い道だったので、「住環境が破壊される」と住民が決起したのであった。
私がドンキに行くことは、ほとんど無い。今までにも2回くらいしか入ったことがない。いつも「なんて下品で、派手な店なんだろう」と思って、前を通っていただけだ。
「ペンギン」であるが、ペンギンがドンキのマスコットであることも知らなかった。
1998年に生み出された「ドンキのペンギン」は、名前を「ドンペン」、誕生日「9月8日」、性別「男の子」、身長98センチ・体重98キロ・スリーサイズは「全て98センチ」、「ナイトキャップをかぶっている」だそうだ。
ドン・キホーテの店の特徴は、商品を雑多に並べて山積みした販売方法である。
これをドンキでは「ジャングル」と称しているが、スーパーやコンビニの陳列方法とは違い、目的の商品のある場所にすぐには行けない。店の中で迷子になって、思い掛けない商品と出会うことを期待した圧縮陳列という手法だそうだ。
整理整頓された店では、お客は目的の場所にまっすぐ行って、買い物が終ると店を出てしまう。ドンキではそうはならないで、多くの客が衝動買いをするそうだ。
これがドンキ側の狙いである。
ドンキの店舗拡大の特徴は、なんと言っても「居ぬき」だそうである。
新規に店舗設計をせず、閉店した店の内装もある程度生かして、それをドンキらしい店にしてしまうのだ。これなら出店費用も安く済む。代表例は石和温泉の「秘宝館」の居ぬきである。よくまあこんな怪しいところを、居ぬきで借りたもんだと驚く。
次に私が見に行った「歌舞伎町」の店である。ここは元は大和銀行だったのである。
こうして数え上げると、色々な前歴の店を居ぬきで借りている。
「したたか」でもあるが、迷路のような店づくりだから出来ることで、スーパーなどでは真似が出来ない。
ドン・キホーテも店の数が増えて来たので、それ以上の発展の為に今までとスタイルを変えた店も出し始めた。それが「ピカソ」、「お菓子ドンキ」、「お酒ドンキ」、「プラチナ・ドンキ」、「MEGAドンキ」、「情熱職人ドンキ」、「ソラ・ドンキ」などと手当たり次第の名前で展開している。
ドンキの経営方針は「権限移譲」だそうで、だから各店は店長がその地区にあった商品を仕入れるので、チェーン店でありながら色々な面で統一されていないのが特徴だそうだ。
今回のブログの為に、代表的な都内の店を廻ってみた。そして実際に店内にも入った。
どちらかというと几帳面な私はドンキの商品陳列を見て、整理整頓をしたくなってしまったのである。「泥棒市場」から出発した社長は、海外まで店舗を展開するようになり、社長自身も「こんなになるとは!」驚いているのではないかと思う。
事業は「職種」、「運」、「時」、「人」、「金」であると、つくづく感じた本だった。私には商売人のセンスが無かったので、製造業で良かったのかもしれない。
(おまけの話)
安売りと言えば、私の考える代表選手は「百均」(100円ショップ)だろうと思う。
そのまた代表格は「ダイソー」である。ところがダイソーが銀座に店を出したのには驚いた。
グローバル旗艦店として店名は、「ダイソー・マロニエゲート銀座店」である。
その場所は「プランタン銀座」があった場所で、プランタン閉店後には1階から4階までユニクロが入っている。そして6階に2022年4月にダイソーがオープンしたのである。
最近の銀座は「高級」というイメージは無く、それは昔話となったしまったようだ。
「百均ショップ」には、「なぜこれが100円なの?」と思う商品が山ほどある。
現役の時に製造業を経営していた私には、全く理解不能の商品が並んでいる。
商品には原価がある。それには材料費、加工費(人件費)、運送費、経費、利益が含まれる。
「百均ショップ」はメーカーではないので、仕入れをする。
それに経費と利益を乗せて販売している。店舗を借りて、店内装飾を施し、人を雇い、電気・水道代も支払う。そうなると、仕入れ値は売値の60%~70%ではないだろうか?
100円で売られる商品は、メーカーが60円で納入しているだろう。
その値段では、「材料費にもならない」と私が思う商品も棚に並んでいる。
多くの品物は海外の安い人件費の国からの輸入だと思うが、そこには商社も介在しているだろう。
世の中には私の理解を越えることは多くあるが、これほど理解を越えるものは他に無い。でもありがたく、今日も「百均ショップ」に行って、メモ帳を買うつもりだ。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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