心の伊達市民 第一号

シルバーパスで青梅まで(3)

青梅に住む同級生に今回の私の「バスの旅」の話を連絡したら、思い掛けない返事があった。『あなたが青梅に来る日は私の誕生日です。一緒にお昼ご飯を食べましょう』。

これには少し困った。なぜなら青梅に午前中に到着するには、バスの時刻表によると「花小金井駅」を午前9時35分発に乗らなければ行けないのである。
それを逆算すると、なんと家を午前7時40分には出なければならない。
3日目のスタート地点は西武線「花小金井駅北口」である。朝7時30分に家を出た。


 「西武新宿駅」


しかし同級生の提案なので、「ランチを一緒にする」ことを受けることにした。
そして青梅からはそう遠くない豊田に住むY君にも事情を説明し、『青梅に来ないか?』と誘った。彼は気持ち良く『OK』と返信をくれて、『食事処には私の車で行きましょう』と言ってくれた。みんな暇を持て余しているようだ。
それでも「持つべきは友だ」と思ったのであった。


「青梅駅・車庫」行き都バス(花小金井駅)


花小金井北口発の都バスは定刻の9時35分に出発した。この時の乗客は私を含めて3人だった。バスは旧青梅街道を進む。前回、「うどん」を食べた「平作」の前を通り過ぎた。その先の西武線の線路を渡りバスは進んで行くと、その先の信号を左折すると私の会社のあった場所に行ける。久し振りに窓から見る風景に、懐かしさがこみ上げて来る。


私の好きだった「うどん屋・平作」が見えた。


バスはチョコチョコと停留所で止まるが、庶民の足なので乗り降りする人がかなりいる。もう花小金井駅で乗った乗客は私だけになった。
箱根ヶ崎に差し掛かり、亡くなった同級生のことを思い出した。
私がメンバーになっていたゴルフ場に行く時は、この信号を右折して彼の店の前を通過したのである。バスはそのまま進み国道16号線を越えると、JR八高線の線路を渡る。


「芋窪」とは、いかにも田舎風の名前のバス停


もうこの辺まで来ると「青梅圏」に入る。
道が広くなり、道路沿いにチェーン店の飲食店が増えて来る。
ところがバスは途中で右折した。すると急に街並みが田舎風になって来た。

ドンドンと田舎に入って行くような感じがした。そしてバスは「JR青梅駅」前の終点で止まった。そこには出迎えのSさんの姿が見えた。バカバカしい長いバスの旅だった。


  都バスは「JR八高線」の踏切を渡る


今回のバスの旅は3回に分けて行ったが、「果たして1日で青梅まで行けるか?」を調べてみた。これを調べるのは結構、面倒な作業となる。
先ず交通機関のサイトで「新島橋~青梅駅」を検索してみた。

すると『ご指定の条件では検索出来ませんでした』と表示が出てしまう。
そこで最初の「新島橋」の始発に乗り「築地」で降りる。そこから「四谷駅」への時間を調べる。これを順繰りに3日目の最終乗車地点の「花小金井駅北口」まで続けるのである。


 郊外に行くと、電柱と電線が目立つ。


その結果であるが、午前6時32分に自宅前を出発すると、「青梅駅」に12時33分に到着することが分かった。所要時間は6時間01分であった。
次に「勝どき駅」から「青梅駅」までを電車で行くと、どのくらいの時間で行けるかを調べてみた。すると午前6時38分の電車に乗ると、「青梅駅」に午前8時21分に到着する。

その所要時間は1時間43分であった。バスで行くと4時間18分も余計にかかるのであった。運賃は電車で行くと「1086円」で、バスの場合は通常料金で「1883円」だが、シルバーパスを使えるので運賃は「ゼロ」だった。まあこんなバカなことは、気力・体力からも今回が最後だろう。


青梅街道を右折すると、正面に「JR青梅駅」が見えた。


(おまけの話)
青梅駅に出迎えに出てくれたSさんには、事前に「昼飯は美味しい日本蕎麦」をリクエストしておいた。八王子からわざわざ来てくれたYさんの車で、奥多摩方面に向かう。

Sさんが『今日のガイドは俺に任せておけ』というので、黙って彼に従う。
御岳が近付いたところで、街道沿いの「ぎん鈴」という名の「音威子府蕎麦」を食べた。この店の歴史は100年だそうだが、特別に店構えに風格は感じられなかった。


 「ぎん鈴」の「音威子府蕎麦」


蕎麦を運んで来た女将が言った。『もうこの店も終りになる。後を継いでくれる人がいないから、「幻のソバ」になる』
私は『それは勿体ない。今では都会を離れて田舎で自営をしたい人が増えているから、誰か知り合いにネットで希望者を募集してもらえば大丈夫』と話した。

この日はSさんの誕生日だった。
私は女房から預かった、彼女の手作りの小銭入れやメガネケースをプレゼントした。
彼は後から私の家に電話して来て、私の女房に話していた。『日本には1億3000万人も人がいるが、私の誕生祝をプレゼントしてくれたのは奥さんだけです』。
昔は大型店舗の店長をしていただけあって、お世辞が上手だ。


  「白丸ダム」は放流していなかった。


日本蕎麦を食べた後は奥多摩観光である。
多摩川の上流にある白丸ダムが『最近の大雨で放流しているから、それを見に行こう』となった。しかしなぜかこの日は放流していなかった。
次は奥多摩の誇る酒蔵メーカー「澤乃井」の経営している、多摩川沿いのテラスである。

ここで私は多摩川の写真を撮り、次の目的地に向かった。
そこは青梅線の「河辺駅」近くの喫茶店で、Sさんの贔屓の店らしい。
その店で美味しいコーヒーを飲み、河辺駅から青梅特快に乗って乗換え無しで東京駅まで行った。帰りは早かった!


 「澤乃井」の多摩川沿いのテラスは涼し気だが、風が無く暑かった。

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コメント

    Shinji

    Shinji

    東京都といえど奥多摩まで行くと緑豊かで、素晴らしいですね。音威子府蕎麦、はなんと読むのでしょうか?次の経営者、きっと見つかります!
    バスと電車の便利さ(時間に関してのみ)の差がよくわかりました。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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