映画好きの私に、5月27日に嬉しいニュースが飛び込んで来た。
第76回カンヌ国際映画祭で日独合作、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の長編映画「PERFECT DAYS」が主演男優賞を受賞したのである。その時にはまだ日本での公開が決っていなかった。配給会社が主演男優賞を受賞するような作品とは考えず、買い付けをしなかったのかもしれない。


 映画「PERFECT DAYS」



私がこのニュースで特別に嬉しかったのには理由がある。
この作品の舞台となったのは、渋谷区の公衆トイレである。
2020年のことだが「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトがあり、日本財団が渋谷区の17ヵ所の公衆トイレを世界で活躍する16人のクリエーターに依頼して、個性豊かなトイレが作られた。


「深町小公園」の透明トイレ(2023年5月30日)



その時に私はそれ等のトイレを見て廻ったことがあり、2020年11月13日に私はブログに投稿している。まだ見ていない方は、下記のURLからご覧下さい。
まさか私がブログで取り上げた公衆トイレが、カンヌ国際映画祭で役所広司が主演男優賞を受賞するとは驚きだ!

【透明公衆トイレにビックリ】・・・・https://mushanavi.com/author/jiyujin/blog2/entry-6658.html


「はるのおがわコミュニティパーク」の透明トイレ(2023年5月30日)



17ヵ所の内2ヶ所が透明トイレで、デザインしたのは建築家の坂 茂氏である。
彼は次のように語っている。『公衆トイレ、特に公園にあるトイレは、入る時、2つの心配なことがあります。1つは中が綺麗かどうか、もう1つは中に誰も隠れていないかどうか』

『新しい技術で作られた鍵を締めると不透明になるガラスで外壁を作ることで、トイレに入る前に中が綺麗かどうか、誰もいないか確認でき、その2つの心配をチェックすることが出来ます。そして夜には、美しい行灯のように公園を照らします』。


左から「身障者用」、「女性用」、「男性用」(2023年5月30日)



ネットでこの映画の予告編をみたら、私は2年半前に取材に行ったトイレが登場していた。そこで主演男優賞の受賞を記念して、私はもう一度、渋谷の透明トイレに行ってみた。

場所は千代田線の「代々木公園駅」を出たところにある、「深町小公園」と、その少し先にある「はるのおがわコミュニティ・パーク」の2ヶ所である。目指す透明トイレは、公園の入口の片隅にひっそりと変らずにあった。


トイレ内はとても清潔だった(2023年5月30日)



しかし2020年に私が取材に行った時の少し後に、「トイレに人が入って鍵を掛けても不透明にならない」という事故が起きてしまった。そのために、残念だが現在は不透明のままで運用をしている。

トイレに入口には貼紙があり、『このトイレは現在、常時不透明な状態としておりますが、通常通りご利用いただけます』と書いてあった。こんな素晴らしいアイデアのトイレなのに、気温が低くなると作動しなくなるとは残念だ。私には技術的に解決できない問題とは思えず、なんとかして欲しい。


 通常の状態は透明(2020年11月)



映画のストーリーは大筋では『主人公の平山は渋谷でトイレ清掃員として働いている。彼は日々の生活には満足している。休みの日には買って来た古本を読み、昔から好きな音楽を聴く。人生は風に吹かれる木のようで、木の好きな平山はフィルム・カメラを持って出掛け、木々の写真を撮っている。ある時、思い掛けない再会があり、それをキッカケに彼の過去が少しずつ明らかになる』。

肝心の映画の公開だが、現在のところドイツでは12月21日の公開が決っているが、日本はもっと早くして欲しい。


人が中に入って鍵を掛けると不透明に(2020年11月)



(おまけの話)
この透明トイレは開始して間もなく、中に入ってもガラスが不透明にならないという事故が起きた。その事情をホームページで、次のようにお詫びしている。

『代々木深町小公園トイレおよびはるのおがわコミュニティパークトイレにおける ガラス壁の不具合につきまして 2022 年 12 月 13 日に、代々木深町小公園トイレ(渋谷区富ヶ谷一丁目 54 番 1 号)およ びはるのおがわコミュニティパークトイレ(渋谷区代々木五丁目 68 番 1 号)にてガラスが 不透明になるまで時間を要する不具合が発生しました』


人が中に入って鍵を掛ける前(2020年11月)



『これらのトイレのガラス壁は、通常は通電させることで透明な状態を保っており、鍵を閉 めると通電が解除されて不透明になる仕様ですが、今回の不具合は、ガラス壁内の透明・不 透明化を作り出す粒子が気温の低下により固まることから、不透明化に時間を要し、』

『通常利 用に支障をきたしてしまったもので、お詫び申し上げます。 昨冬も同様の事象が発生しており、対策として、粒子が固まらないよう、利用者がいない 時には自動で通電と解除を繰り返す機器を設置しました』 


お知らせ「現在は不透明」(2023年5月30日)



『一部報道で言及された「数分おき に透明・不透明が繰り返される」という事象は、この措置によるものですが、利用者からの不安の声を受け、2022年12月14日14時頃より常時、不透明な状態として運用をしてい ます。 今後同様のことが発生しないよう、検証を進め、再発防止に努めてまいります』

『このトイレの特徴である透明・不透明の機能がしばらくは体験いただけないことは残念ですが、通常の公共トイレとしてのご利用に問題がないことは確認しております。皆さまに安心してご利用いただけるよう、THE TOKYO TOILET のメンバー一同尽力い たします』。


 私が透明トイレの外へ出て、タイマーで自分を撮影した(2023年5月30日)


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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

コメント

  1. Shinji
    Shinji
    返信

    Perfect Days は私も一日も早く見たいものです。
    渋谷の透明トイレ、アイデアは抜群ですが、信頼できないテクノロジーに頼ったアイデアなので、長続きしない、という残念な例です。よくあるじゃないですか、池や噴水を作ったけど防水工事が不全で下の階に水漏れし、池や噴水の水を止めて干からびた後にその場しのぎの石や植物でカヴァーするという類。渋谷のトイレはそうならずに、テクノロジー改善して、信頼できる機能になるますように!

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