
心の伊達市民 第一号
役所広司がカンヌ国際映画祭で主演男優賞を取った映画、「PERFECT DAYS」の公開が待ち遠しい。渋谷の公衆トイレが舞台の映画だが、私はそのトイレを2020年11月と2021年12月に写真を撮りに行っている。
このトイレは日本財団の資金で「暗い」、「汚い」、「怖い」などのイメージから入りづらい公衆トイレを、デザイン・クリエーティブの力を活用して「誰でもが快適に使用できる」を目的に、渋谷区に17ヵ所の斬新なトイレを設置したのである。
2020年に始まったプロジェクトは途中でコロナの影響を受けて中断し、2023年3月に完了した。今年の6月6日のブログでも「透明トイレの不具合で透明ではなくなった」ので、確認に行った話を書いた。
私は17ヵ所のトイレの内、今までに斬新と思われる7ヶ所を見に行っている。
17ヵ所のトイレの完成写真を見ると、それほど魅力的なデザインのものばかりではないので、今回は私が見たい3ヵ所のトイレに絞り見に行った。
映画「PERFECT DAYS」の粗筋だが、『渋谷でトイレ清掃員として働く主役の平山は、淡々と過ぎて行く毎日に満足している。同じように過ぎて行く毎日でも、いつも新鮮な喜びに満ちている。彼が好きな音楽を聞き、古本を読み、持ち歩いているフィルム式カメラで自然を撮影する。
ある時、町で思い掛けない再会があった。そこから平山の過去が少しづつ明らかになって行く』。粗筋を読んで、とても面白そうだと感じた。一日も早い公開が望まれる。
さて私のトイレ探検の旅である。
今までに見に行ったトイレは2020年と2021年の「恵比寿駅西口トイレ」、「松濤鍋島公園トイレ」、「笹塚緑道トイレ」、「代々木深町小公園トイレ」、「はるのおがわコミュニティ・パークトイレ」、「宮下公園トイレ」、「代々木八幡トイレ」、「恵比寿公園トイレ」の8ヵ所である。
今回の訪問する候補は「広尾東公園トイレ」、「東3丁目トイレ」、「7号通りトイレ」の3ヵ所である。
【広尾東公園トイレ】(広尾)デザイン/後 智仁
広尾の高級住宅街には、「広尾ガーデンヒルズ」という場所がある。
後 智仁は『人はみんな違うという意味で、同じであるという思いを表現するトイレを作りたいと思いました。
安全、安心、清潔はもちろん、全ての人に優しいトイレにしたい。パブリックアートのように生活の中にありながら、人に常に何かを問い掛けて来るような存在のトイレを作りたいと思った』と書いている。
小さな公園に設置されたトイレは2室で、どちらも同じ多目的用だった。
【東3丁目トイレ】(恵比寿)デザイン/田村 奈穂
JR恵比寿駅から歩いて5分ほどのところに、そのトイレはあった。
田村 奈穂は『年齢や性アイデンティティ、国籍や主教、肌の色に関係なく、誰にでも訪れる生理現象を満たす場所、トイレ。
けれど個人のニーズというものが無限に多様である。個人の空間を再定義して3つの空間をデザインしました』と書いている。
真っ赤なトイレは遠くからでも目立つ。歩道際にあるのが、少し引っ掛かる。
【7号通りトイレ】(幡ヶ谷)デザイン/佐藤カズー
新宿駅から京王新線に乗り、2駅目で降りる。そこから数分歩いたところに「7号通りトイレ」がある。
佐藤カズーは『欧米人はトイレでは60%がレバーを足で踏んで流し、50%がトイレットペーパーでドアを開き、40%がお尻でドアを閉め、30%が可能な限り肘を使い手の接触を避けている』ことを知った。
そして彼はここに音声で全てを行うトイレを完成させたのである。トイレの扉を開けて入り、「扉を閉めて」、「音楽を流して」、「ウオッシュレットを流して」、「乾燥して」、「水を流して」など20くらいの指示に従ってくれる。でも誰もいないトイレの中で、声を出して指示するのも少し恥ずかしかった。
(おまけの話)
【広尾東公園トイレ】(2)
このトイレのデザイナーは『人に常に何かを問い掛けて来るような存在のトイレを作りたい』と書いていたが、トイレの部屋は広いので、男性用もあると良かったと感じた。
建物の裏側には大きなパネルが貼り付けてあり、暗くなると光の模様が出現するそうだ。それがなにかを問い掛けているのかもしれなかったが、私は昼間に行ったので、何も問い掛けられているようには感じなかった。
【東3丁目トイレ】(2)
このトイレは遠くからでも、色が派手だからすぐ分かる。
でも歩道に接しているので、使用後にドアを開けると歩道から丸見えになる。
トイレが男性用、女性用、多目的用と、3種類あるのはとても良い。
最近、流行りの「LGBTQ」では、全ての人が同じトイレを使うようになる。
混雑時に男性が「大」の時の後ろに並ぶ女性は、嫌じゃないのだろうか?
【7号通りトイレ】(2)
多目的トイレの使い方が、初めて使う人にはとても難しい。
入口の大きなボタンを押すと、ドアが開く。普通は中に入ると、誰でも「閉める」を押すだろう。それをしてはダメなのである。
マイクに向かって「ハイ、トイレ」と言わねばならない。
すると通知音が鳴るので、その後、「ドアを閉めて」とか、「水を流して」と声で指示する。しかし色々と何度もやってみたが、反応が無かった。どうやら故障しているようだった。透明トイレもそうだが、アイディアは素晴らしいが複雑なものは公衆トイレには向かないのでは?
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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景色がごちそう☆ “ モントーヤ “ ですごす ゆったり時間
温泉街から国道230号線を車で走ると、洞爺湖の上、畑の真ん中に突如現れる黒いコンテナ。 直線道路なので、気になりながらも通り過ぎ、農機具の倉庫かな?一体なんだろう?と気に留めていた昨年。 そんな、筆者のような読者の方もきっといらっしゃったことと思います。 そして今年、どうやらOPENしたらしい!との情報を得て、謎を解くべく取材をさせていただきました。 ↑この束石がポツネンとあるだけの国道からの入り口 ちょっぴり勇気がいる入り口からコンテナを目指して奥へ向かうと、そこには遮るものがほとんどない空間。 畑だと思っていたこの土地は、実は畑ではありませんでした。 周りを見渡して感動しました。 ぐるっと300度くらい見渡せます。 しかも、羊蹄山・尻別岳・ニセコ連邦・昆布岳・有珠山などなどが一望でした。 尻別岳 羊蹄山 取材に訪れたことをうっかりと忘れ、うっとりとゆったりモードにスイッチが入りそうになってしまったほどの眺望です。 「危ない 危ない」と、気を取り直して玄関に向かうと、思わず開けたくなる可愛らしい赤いドアがありました。 ↑入り口にメニューがあるのは安心します ↑ドアを開けると可愛いくて不思議でユニークなディスプレイ ↑厨房で忙しそうないずみさん こちらは、2022年5月にオープンしたカフェ&キャンプサイト “ モントーヤ “です。 札幌から6年前に移住して来られた オーナー 井上啓二さんと奥様 いずみさんが営むお店です。 実はお会いして驚いたことがありました。 ご縁というのは不思議なものだとも思いました。 ↑大きな窓からは遠くの山がよく見えます 奥様のいずみさんは2年前、筆者が企画したワークショップに参加してくださった4名様のうちのお一人だということ。 オーナーの啓二さんは、筆者がどうにも気になって気になって、何度も探しに行った洞爺湖畔の幻の珈琲ソフトクリーム屋さんのオーナーさんだったということ(数ヶ月で満足して閉店)。 そうだったんだ! そうだったんだ! このような形でお会いできるとは! と、敷地に入った最初から少々興奮気味の筆者…^^; 店内は、外からは想像できないくらい落ち着いていて、どこか懐かしい雰囲気の調度品が並んでいます。 ジャズが心地よく流れ、レコードジャケットやコレクションの古いカメラが並びます。 ↑筆者好みのアーティストとレコードジャケット ↑昭和感漂うレトロなコーナー。 「東京に居た頃は服飾デザインの仕事をしていました。いわゆるDCブランドの服です。札幌に戻ってからは、もともと好きだった馬の仕事に携わりました。馬の競りのためのプロモーションビデオを制作したり、牧場のWebを制作したりする仕事です。札幌競馬があるときは、競馬場で売店も営みます。だからまあ、そちらの仕事が本業かな。」 ↑こちらはオーナーの本業。代表取締役としての会社「inox」のwebページ なるほど…。 馬に関わる映像のお仕事と“ モントーヤ “の関連がいまひとつ見えませんでしたが、飲食業にはすでに携わっていらっしゃったわけです。 そして、奥様とのご縁も馬が取り持ったとか♡ ↑コンテナは雨よけにもなり、イベントなどのショップにもご利用いただけます。 1本だけ残したドロノキ(ヤマナラシかも)は、シンボルツリーになっています 「この5000平米の土地は、僕が買う前は何十年も手付かずだったそうです。太くなった木も草も伸び放題のジャングル状態。崩れ落ちた家もそのままで荒れ放題。呆然としてしまうような荒地となっていました。水道も通っていませんでしたので、大掛かりな工事になりました。途方に暮れるほどの手間を掛け、足掛け4年がかりで開墾していきました。」 「そこまで苦労して…。この場所の何にそんなに惹かれたのですか?」 「景色です。どこを見ても山があるこの景色を見ながら珈琲が飲みたかった。ただそれだけです。」 それまで、クールな面持ちで話をされていたオーナーの目が、ふっと力が抜けて優しくなった瞬間でした。 この景色を見ながら一杯の珈琲(お店の珈琲は札幌の有名焙煎ショップ「斉藤珈琲」の豆使用)が飲みたいというそれだけで、4年間も開墾をしてしまう井上夫妻がなんとも素敵です。 「でも、そもそも何故札幌から移住して来られたのですか?」 「きっかけはスイスを訪れたことでした。もう本当にスイスが素晴らし過ぎて、人生観が変わりました。ほんと、絶対に行ったほうがいい!」 この時のオーナーの目はキラキラに輝いていました。 そのご様子だけで、どれほどスイスが素晴らしかったのかが分かりました。 「帰国後、札幌に住まなくても今の仕事はできるよね?と夫婦で話すようになりました。その時の場所の候補は、北海道の都会ではない景色の良いところ、もしくは南阿蘇でした。 そうして洞爺湖畔に居場所を見つけ、その2年後、周りの山々が見渡せるこの場所が気に入り購入しました。」 それから、足掛け4年の開墾の日々が始まったのでした。 店舗は、コンテナ7つを繋げて造られています。 大きな窓の店内はオーナー自らがデザインされたもので、お気に入りの調度品は、山を楽しむためのレイアウトになっています。 「ところでメニューを見せていただけますか?」 とお願いし、見せていただいたのがこちら。なんと、絵本でした。可愛い〜♡ ↑画像はありませんが、珈琲おいしくチーズケーキが絶品です! ↑次回はこちらを食べてみたい! ↑生パスタも美味しそう〜♡ そういえば、入り口にも店内にも絵本が飾られていました。 てっきり、いずみさんのご趣味かと思いきや…。 なんと、「僕のアイディアです」と。 この時のオーナーはちょっとハニかんだ笑顔でした。 ↑思い切り照れたお顔で振り返ってくださったショット ところで、“ モントーヤ “ の “モン“ とは、フランス語で “私の”という意味だそうです。 つまり” 私の洞爺”。 それでも湖畔ではなく、300度にわたり遠くに山を望めるここを選んだのは、「ここで珈琲が飲みたかったから」。 ここがオーナーにとっての「私の洞爺」なのですね。 「洞爺湖も有珠山もいい。でも、ここから眺める羊蹄山も洞爺湖町のランドマークであって欲しいのです。阻害するものが何もない畑のど真ん中で、この景色を楽しみに来ていただきたいです。」 ↑キャンプサイトご利用の場合は店舗の玄関フード内のトイレが共用利用できます 今後は、プライベートキャンプサイトも整備して行くそうです。 ただし、利用できるのはオーナーの友達か、友達の紹介限定だそうです。 優しく尖った カフェ&キャンプサイト“ モントーヤ “。 広大な土地にポツンとコンテナは目立ちますが、素敵な隠れ家を見つけました。 ―モントーヤ情報―虻田郡洞爺湖町成香19営業日時はInstagramまたはHPをご確認ください。Instagramhttps://instagram.com/montoya_108?igshid=YmMyMTA2M2Y=HPhttp://montoya.jp/*イベントのご利用も可能です。HPのお問合せフォームよりご相談ください。
Rietty
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