心の伊達市民 第一号

サクマ式ドロップ ス


最近のニュースで「サクマドロップ」で有名な、佐久間製菓が廃業すると知った。
正式には「サクマ式ドロップス」と言うそうだが、誰も「式」なんて付けて言っていなかった。この会社は明治41年の創業で、なんと114年もの歴史があった。

廃業するのは来年の1月だそうだが、時代はドロップを要求しなくなったのであろう。
私の子供の頃はどこの家にも、あの楕円形のドロップの缶があった。
上に付いている小さな蓋が開け難かったのをよく覚えている。


池袋のロマンス通り「熟女キャバクラ」、「オカマ始めました」



「サクマドロップ」をネットで調べたら、本社は池袋だった。
「三ノ輪橋」でコロッケパンを買った後に都電「荒川線」で家に帰ると、「大塚駅前」下車なので池袋は隣駅だ。そう思い付いたのには訳がある。

昔の落語家に柳亭痴楽という人がいた。
彼の十八番に山手線の駅名を駄洒落で繋げる「痴楽綴り方狂室」というのがあった。
そこに登場するのが「大塚なびっくり池袋」なので、隣駅だと思い出したわけである。
そんなことから池袋まで行って、佐久間製菓の本社を見てみようと思い立ったのである。自分でも「バカバカしい」とは思った。


 佐久間製菓本社の「ショーウィンドー」



池袋駅西口を出て右の方向に進んで驚いた。フードデリバリーの若者たちが集団でいた。この辺りは飲食店が多いので、オーダーが入るのを待つには効率が良いのだろう。
更に先に進むと、なんだか怪しい雰囲気になって来た。

そもそも通りの名前からして「ロマンス通り」なのである。
怪しい店が並んでいる。風俗店が多いように感じる。まだ昼間だから良かったが、夜はとても危険そうな場所だ。
真面目なドロップメーカーがこの通りにあるとは思えず、少し線路方向に行ってみた。


ガラス越しに撮影した宣伝画像



するとすぐの角に立派なビルの佐久間製菓が見付かった。
正面入口の左のショーウィンドーには、大量のサクマ式ドロップの缶が並べられていた。久し振りに見る懐かしいサクマドロップの缶が、ガラス越しに山積みになって陳列されている。

私はカメラを構えてドロップの缶を撮影した。
通り掛かった人も私の撮影を見て、スマホを取り出して撮影していた。


ショーウィンドーに綺麗に並べられたドロップ缶



会社は外から見る限り静かでなにも動きはないし、人の出入りも無い。
直売所も無いようだし、それ以上は何も起きないので駅に戻ったのである。
近年は伝統ある企業の廃業が続いているように感じる。

経営者の「高齢化」、「製品が時代に合わなくなった」、「時代の変化による改革も出来ず」に来てしまったこともあるだろう。全てを失う前に廃業せざるを得なかった経営者は、先祖に対して「申し訳ない」という気持ちであろうことは察することが出来る。そんな「佐久間製菓」の本社取材だった。


ドロップの缶の上に僅かに見える開け難かった蓋。



(おまけの話)
ネットで佐久間製菓のホームページを見たら、本社は池袋であるが工場は八王子だった。そこで先日の「八王子ラーメン」の取材を頼んだ、八王子近くに住む同級生のYさんにまた取材を依頼した。
気の良いYさんは私の依頼した翌日に佐久間製菓八王子工場に行ってくれて、その様子を写真付きで送ってくれた。

「持つべきものは友」と昔から言われているが、またブログのネタでお世話になってしまった。これを何で返すべきか迷うが、コロナ下では会うことも出来ないので、しばらくは「おあずけ」である。


 佐久間製菓八王子工場(Yさん提供)



これから先はYさんからの報告である。
『佐久間製菓八王子工場は、伝統ある老舗製菓の生産部門として威厳のある佇まいの小さな工場であります。住宅地の中にあり、約600坪ほどの敷地の中に中小企業の細やかな工場の雰囲気であります』

『さくまのドロップとして有名ではありますが、工場はこじんまりとして質素そのものです。近年は「メイド・イン・八王子」のキャッチフレーズを掲げ、地元を発信する商品の開発を手がけてきた同社』。


古びた「佐久間製菓株式会社」の表札



『「八王子パッションフルーツ生産組合」とコラボし、八王子産パッションフルーツを使って開発した「八王子キャンディ」に加え、9月には「みつばちファーム」(あきる野市)が八王子市内で採集した蜂蜜を使った「八王子はちみつのど飴」も販売しており、脱「ドロップ」への方向も模索していたようです。八王子キャンデーとして地元ではフアンも多かったのに残念です』。

『サクマ式ドロップスは、それまですべてが英国産だったドロップを初めて国産化しました。目印である赤い缶の中には8つの味が入っており、114年にわたり子供たちに愛されて来ました。映画「火垂るの墓」では、主人公の妹が空になったドロップの缶に水を入れて飲むシーンでも知られています』。


佐久間製菓八王子工場  



『私がメルカリで「サクマ式ドロップス」と検索したところ、2缶で3000円前後の出品を複数確認しました。単純計算で1缶当たり約1500円です。メーカー希望小売価格は150円(実売価格は100円前後)。最大10倍の価格で出品されていることになります。地元のイオン菓子店を覗いたら現在品切れで、近日中に入荷の予定と言われました』。

『いまさら遅いと思うが人気商品となっています。私は小学校の頃の思い出として、缶の蓋を開けられずに爪を痛めたことを覚えているし、出てくる飴の色で味が変わるのが嬉しかったです。赤は、イチゴ。黄色は、ミカン。白は、レモン。だったかな?』


 社屋の上の立派な社名「佐久間製菓」  



三多摩格差を言い続けているYさんが、メールの最後に格差拡大を嘆いて知らせて来た。『八王子銘菓の紀伊国屋閉店、京王プラザホテル多摩が33年の歴史を閉じる、八王子の銭湯「福の湯」66年目で閉鎖、ムラウチホビーが48年で閉鎖、八王子市資料館が閉鎖、サマーランド・アトラクションが36年目で閉鎖など、八王子市近郊だけでも多くの昔から頑張って来た施設がここへ来て閉鎖の憂き目を負うています。東京都心へ集中する傾向が増して来ているのが残念であります』。

Yさん、でもこれは多摩格差ではないですよ! 都心でも老舗が倒産したり、銀座通りの一等地から裏通りに引っ込んだりしています。時代の要求しているものに、ただ合わなくなっただけでは?


多摩御陵参道の紅葉が進んでいる。

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コメント

  1. 山本英次

    山本英次

    返信

    最終ページのイチョウ並木は、多摩御陵への入り口をみたもので、大正天皇の御陵造営を記念して昭和4年(1929年)に植えられたものです。
    甲州街道追分交差点付近から高尾駅前にかけて763本のイチョウが植えられて、昨日は3年ぶりに八王子イチョウ祭りが開かれて多くの市民でにぎわいました。
    三多摩支局の新米記者の記事を掲載していただき感謝してます。1本のブログを仕上げるののは多くの取材を必要とし、それをまとめ上げる力が必要ですね!
    毎日場所を変え、話題を変え、写真も変えて掲載する力はとても年齢には思えないものを感じてます。読書、映画鑑賞、近隣への徘徊とぼける暇のないパワーに敬服してます。

  2. Shinji

    Shinji

    返信

    佐久間ドロップといえば、昭和30年代にヒットした商品でしょうか。私も、缶の蓋を開けられず苦労しました。今思うと、子供が簡単に開けられないように、意図的にそうしたのかもしれません。廃業に至ったのは、時代にあった新商品の開発をしなかった経営の例でしょうか。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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