心の伊達市民 第一号
秩父の氷柱を見に行く
2月13日の天気予報では、「東京23区では、夜から朝までに8センチの積雪」と報じていた。
『本当かな?』と思いつつ、『また外れるのでは?』と思っていた。
そこでハズレに賭けて、「大雪間違いなし」の秩父へ行こうと思い立った。
14日の朝起きて窓の外を見たら、予想通り全く雪は降っていないし積もってもいなかった。
氷柱会場までの道は雪が積っていた。
午前7時過ぎに家を出て、勝どき→月島→池袋→秩父の経路で、3時間も掛けて秩父に行った。
西武鉄道秩父線で飯能辺りまで来ても、大雪どころか屋根にうっすらとした程度にしか雪が無く全くの期待外れだった。前回は家族で長瀞に行って以来の秩父だった。
その時に女房がお土産に買った「韃靼蕎麦ふりかけ」が彼女は大変に気に入っていて、『秩父に行くなら買って来て』と頼まれていた。
あしのくぼ氷柱」の会場入口から見た光景
私の今回の目的は「芦ノ久保の氷柱」を見に行くことだった。
足ノ久保駅は終点の西武秩父駅の2つ手前であるが、この日はわざわざ2つ先の駅まで行った。
駅に隣接している建物に入ろうとしたら、貼り紙があり、「14日、15日はメンテナンスの為に休業します」とあった。
私は焦った。わざわざ「韃靼蕎麦ふりかけ」を買うために、ここまで来たんだー!
そばの観光案内所で「他に買えるところはないか?」と聞こうとしたら、ここは定休日だった。
ツキの無い時は、こういうもんだ。
仕方ないので、2駅を戻り「芦ノ久保駅」で降りた。私以外に降りた人はいなかった。
駅を出ると「あしのくぼ氷柱」の幟がはためいていた。
幟に誘われて歩いて行くと入場券売り場があり、「本日の見学は終了」と張り紙があり、その先はロープが張ってあった。
「えー! ここも駄目?」と、私はまた焦った。
「雪が無い」、「韃靼蕎麦ふりかけが買えない」、「氷柱が見られない」では、なにしに秩父まで来たのか? 自分でも情けなくなり、どうしていいか分からなくなった。
張られたロープの先を見たら、雪の上に真新しい足跡が続いているのが見えた。
ズーと先を見たら、高齢の夫婦らしき2人連れが歩いているのが見えた。
もしかして係員かもしれないと思い、私はロープを潜り先に進む。
追い付いてみたら彼らは地元の見物客のようだった。
オヤジの方は「近づくな!」みたいな雰囲気を出しているので、怖いので静かに後に続いた。
2センチほど積った雪道を10分ほど歩くと、氷柱の会場に出た。あの夫婦者以外に誰もいない。
会場は素晴らしい景観で、人工的に作られた氷柱がそそり立っている。
ところどころにスプリンクラーがあり、氷柱に水を掛けている。
氷は青白いが上の方は昨夜の雪が積っていて白く濁っている。
入場制限の細い木の柱の上にカメラを置いて、氷柱を背景に自分の写真を撮った。
夫婦者は先に帰って行ったので、私はそれからゆっくりと写真を撮った。
2月11日からの3連休の後の雪の月曜日に、わざわざ来る日もいないのだろう。
だからチケット売り場も休みだったのかもしれない。
入場料は400円だそうだが、お金を入れる箱も置いていないので「今日は無料」と自分で決めた。
帰り道は雪道の上り坂だったので、休み休み戻って行ったのであった。
(おまけの話)
氷柱を見終って駅に向かった。時間はまだ11時だった。
このまま帰るのも早過ぎるので、駅近くに観光案内所があったので立ち寄ってみた。
私 『この近くで、見るべき場所は無いですか?』
係員 『この近くには無いですが、隣駅の横瀬駅から歩いて20分くらいのところに武甲山を背景に「寺坂の棚田」があります』
棚田と武甲山という組み合わせの写真は良さそうだと思い、また電車に乗って横瀬駅に行く。
この路線は1時間に2本しか電車が来ないが、丁度、運良く電車が来た。
「寺坂の棚田」と武甲山(煙突の煙が邪魔)
駅を出る時に改札口にいた駅長に聞いた。
私 『寺坂の棚田を見に行きたいのですが、タクシーは無いのですか?』
駅長『この駅にタクシーは無い。呼べば来るが時間が掛かるから、歩いても行けますよ』
・・・ということで、歩いて棚田まで行った。
棚田は開けた丘陵の途中で、正面に武甲山が見えた。
良い風景だが、武甲山の前の三菱セメントの煙突が邪魔だった。
武甲山はセメントの原料の掘り出しで、すっかり山の形が変ってしまっている。
ここが秩父セメントの発祥の地なのである。
うっすらと積った雪が棚田の模様を浮き立てせている
棚田のコンクリートの道を進み腰掛ける場所を見付け、持参したお茶とカステラを楽しんだ。
その時に丁度、正午になったらしく、有線放送が正午を知らせる音楽を流した。
その曲は童謡の「ふるさと」で、思い掛けない場所で1人静かにメロディーに聞き入った。
しばらくしてから駅に向かった。改札口で特急電車が入って来るのが見えた。
駅長に『あれに乗ります!』と私が叫んだら、駅長が特急電車の車掌に大声で知らせてくれた。
私が滑り込んで乗った車両には、乗客は私1人だけだった。
東急料金は910円だったが、一両を独り占めで池袋まで十分に電車の旅を堪能できた。
私の乗った車両は私1人だけ(西武鉄道が気の毒だった)
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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