心の伊達市民 第一号

もう一度、晴海埠頭へ 

我が家からもそう遠くない晴海埠頭は、2022年2月20日で閉鎖となった。
ところが閉鎖したから「終り」と思っていたら、一時的に開放するという情報を得た。


ネットで調べたら、『晴海ターミナルに付きましては2月20日をもって閉鎖し、ターミナル館内及び外構部に付いては立ち入り禁止としておりましたが、ターミナルの解体前にご来場を希望する多くの声を頂きましたので、この度、3月19日~21日に限定して外構部を開放することといたしました』とあった。
粋な計らいだ。



元東京オリンピック選手村


そこで私は21日の午前中にカメラを持って、晴海埠頭に出掛けて行った。
行く途中に東京オリンピックの時の選手村として使われたマンション群があるので、そこも散策してみた。
金網が張ってあり中には入れないが、現在は分譲した購入者に引き渡すための内装工事をしている。
東京オリンピックの時には入れなかった区画に行ってみた。朝潮運河沿いの道を進むと、その先に消防署がある。



右側の朝潮運河沿いを進む(左側が元オリンピック選手村)


その先は残念ながら通行止めとなっていたが、そこからでも晴海埠頭の客船ターミナルの建物が見えた。
もと来た道を戻り、バス通り沿いに進むと晴海埠頭となる。
三角形の屋根が特徴の客船ターミナルが見えて来る。


この路線の都バスの終点は「晴海埠頭」で、中年女性がバスから続々と降りて来た。
彼女達は埠頭には行かないので、どうやらオリンピック村でなにかの作業をする人達のようだ。



突き当りの「東京水上警察署」から見える晴海客船ターミナル。


客船ターミナルは閉鎖中なので、オープンしている外構部のクルーズ船が着岸するバースに行ってみた。
東京国際クルーズターミナルがレインボーブリッジの手前に完成する前は、ここに外国のクルーズ船が入港していた。私が鉄の階段を2階に上がると、珍しい大型帆船の「日本丸」が停泊していた。
この船は2代目の日本丸で、1984年に竣工した大型帆船である。



解体される三角屋根が特徴の「晴海客船ターミナル」


そこを通り過ぎて階段を降りて、1階の先端にある池のところに行ってみた。
大勢のカメラマンが「最後の見納め」として来ていて、写真を撮っている。
この場所は前が開けていて、お台場からレインボーブリッジ、竹芝桟橋、浜離宮までが見える。


池の中には四角の風で動くモニュメントがあり、それが夕陽で水面に映って綺麗だった。
今はもう池の水も替えていないので、水面に浮かんだ水鳥の羽で綺麗には映らない。それでも来た人達は満足そうだった。



大型帆船「日本丸」が接岸していた。


私は同じマンションに住むIさんが「メダカ」を飼っているのを知っている。
彼は晴海埠頭の閉鎖前は、この池でメダカの餌になる「ミジンコ」を採取していた。


それが埠頭の閉鎖により、エサを採取する場所が無くなってしまい嘆いているのも知っていた。
その後は遠くの釣り餌屋まで、メダカの餌を買いに行っていたのである。
私は埠頭の先端に行った時にそれを思い出して、Iさんにその場から電話してあげた。



大型帆船「日本丸」(NIPPON MARU)


その日の午後にIさんから下記のメールが入った。
『電話で貴重な情報をありがとう御座いました。早速、沢山の「ミジンコ」を採取して来ました。とりあえず1週間分のメダカの生餌と、あとは大事に増殖用(親用として)に廻す予定です。それにしても晴海埠頭は大勢のアマチュアカメラマンでいっぱいでした。邪魔にならないように、「ミジンコ」を採取するのがやっとでした』。


私からの情報でIさんが喜んでくれたのは良かったが、Iさんが「ミジンコ」を増やすことも出来ると知って、私はその方が驚いた。



池の中のモニュメントが水面に映る。


(おまけの話)
以前に晴海埠頭の建物の取り壊しが決まった時に、私は家から歩いて行けるので、最後の記念に写真を撮りに行ったことがあった。それをFACE BOOKに載せたら、ニューヨーク時代の同僚のT子さんから思い掛けない書き込みがあった。


『おはよう御座います。今朝は朝からとっても良い気分です。なぜならあなたが晴海のターミナルに注目下さったから・・・。なぜならあの建物は主人の3歳、年上の義兄、竹山実の設計したものだからです。日本ではあまり注目されていませんでしたが、「海外の方が認められている」と、前の奥さん(デンマーク人)がよく言っていましたっけ・・。



埠頭の先端に行くと、お台場から浜離宮までが目の前に広がる。


もう少し言って良いなら、渋谷の109ビルのデザインも彼の仕事です。建築物は年月が経つと古くなって取り壊されるのは仕方ないことですが、あなたのように、設計者の名前を知らなくても建物そのものに注目してくれた人がいてくれたら、義兄も喜んでいてくれると思います。


私も取り壊される前に見に行きたいと思っていました。彼の作品は109のようにアールのデザインが多いのです。我が家もデザインして建てたのですが、家族構成が変って壊してしまったのですが、いま考えたら「原型を残してリフォームすれば良かった」なあと思いましたね。ありがとう御座いました』。



埠頭の先端の広場の幾何学模様が美しい。


T子さんからのメールで、思い掛けない関係を知った。
私は何も知らずに、ただ取り壊してしまうのなら、その前に写真に残しておこうと思っただけなのである。
それはT子さんの親戚の人の作品だったとは驚くと同時に、「良いことをした」と感じたのである。


建築家は羨ましい。私の現役時代の仕事は工場の設備の関係だったので、誰にも知られることが無かった。
女房の従弟もロサンゼルスで建築家をしていたが、ロサンゼルス市庁舎を設計したと聞いて、とても羨ましかった。次に生まれることがあったら、一般の人にも名前を知られる職業に就きたい。



「ゆりかもめ」が池に水浴びに来ていた。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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