心の伊達市民 第一号
最近になり、「人生は辛いなー、儚いなー」と感じるようになった。
親しくしていた友人が次々と亡くなり、段々と友人が少なくなって来ている。
ロシアとウクライナの戦争は終らないし、テレビで戦争を見せられる。
中国が理不尽な行動を見せるし、北朝鮮は国民が飢えているのにICBMを発射する。
トルコの大地震では、4万人を越える死者が出ている。
長生きすると良いニュースは少なく、悪いことばかりが起きているように感じてしまう。
少し前のブログで、出先に女房からメールが届いた話を書いた。
『あなたのお姉さんのご主人(Sさん)が急に亡くなった』という内容だった。
彼とは昨年の12月にホテル・ニューオータニの「久兵衛」で、高級寿司をご馳走になった時に一緒だった。
その少し前に彼は帝国ホテルのスープの缶詰を25万円も買ってしまい、そのお裾分けを頂いたこともある。でも完全なボケではなく、私はSさんの勘違い程度と思っていた。
私も同じような経験がある。現役の時の話だが、千葉県のゴルフ場に得意先のゴルフコンペに行った。ゴルフクラブを車から降ろしてフロントに行くと、『そのコンペは明日です』と言われた経験があるので、彼も勘違いしたのだと思っていた。勘違いとボケの違いがよく分からない。
まだ他にもある。ある時、熱海で取引先の「新年会」があった。
私は熱海駅で降りたはいいが、どこのホテルか案内書を家に置いてきてしまった。
女房は留守だし、どうしようもなく、熱海駅で知り合いが降りて来るのを待ったことがあった。
『葬儀は家族葬で行うので心配は不要』と連絡があったので、なにかしようと考えた。
Sさんとは高山祭の時に、彼の出身地の別宅で1週間も2人だけで過ごしたこともあった。葬儀も行わないならと思い、仏壇に必要だろうから私の彫った小さな仏像をプレゼントすることにした。
この仏像は15年くらい前に、私が中野坂上の「成願寺」で行われていた仏像教室で習った時の仏像である。最近は家族葬が増えているので、葬儀関係業界も「経営が大変だろうなー」と、変な心配をしてしまった。
「仏像が趣味」と言うと、多くの人は「仏像を見る趣味」だと思う。
私が『いや違います。仏像を彫るのです』と言うと、ほとんどの人が驚く。
それは私と仏像彫刻が全く似合わないからのようだ。
「食わず嫌い」という言葉があるが、私も始める前はそう思っていた。
しかし始めてみたら、意外に私に合っていた。なんでも「食ってから嫌いになった方が良い」と思った瞬間だった。
プレゼントの仏像を選ぶために、押し入れの奥にしまっておいた仏像の箱を取り出した。厳重に紙と保護ビニールで包まれた仏像を、家族と一緒に出しながら組み立てた。
かなり数が多く、しかも仏像本体と台座と光背に分かれて包まれているので、組み合わせが分からない。
仏像を台座の上に乗せてみたら大きさが合わないなど、当時は分かっていたのに、いまとなっては分からない。思いがけず「思い出」に浸る時間となった。
しかも仏像の名前が分からないものが、いくつもあった。姉にプレゼントするにも、仏像の名前が分からなくては困る。
そこで以前に習っていた仏像彫刻教室の先生に、LINEで写真を送って教えてもらうことにした。
すぐに先生から返信があり、『昨年11月の展示会にお出で頂き有難う御座いました。さて、上段左は奈良薬師寺の日光菩薩、右は阿弥陀如来で、下段は聖観世音菩薩です』と知らせてくれた。仏像は見ているだけで、心が休まる。
それが自分で彫った仏像となるとなおさらである。
おまけの話)
引退後に時間を持て余した私は、「なにかやることはないか?」と色々と探した。
飽きっぽい性格なので、入会料が高いとすぐ辞めたくなった時に困ると思っていた。
そんな時に出会ったのが、中野坂上で仏像彫刻教室を開いていたE先生だった。
この教室は入会料も取らないし、教室に行った時だけ授業料を払うという、全く私向きの教室だった。いざ始めてみたら、これが面白い。精神集中も必要だし、家でも続きを出来る。
最初は立体は難しいので、片面だけのお地蔵さまが教材だった。
それが出来るようになると立体のお地蔵さまに進み、台座と光背も作った。
自分に合っていたのか教材だけでは物足りなくなり、出先で見た仏像以外のものにも挑戦した。
教室のあるお寺の境内になる「羅漢像」も彫った。日比谷にある「ゴジラ」も彫った。
浜町公園にある「弁慶の勧進帳」も彫った。
彫るだけでは満足できなくなり、例年は成願寺で行っていた作品発表会をハワイで行ったこともある。これは私が先生に提案した、『マンネリですねー。ハワイでやりませんか?』と言ったのが実現してしまったのである。
私が夏の間を伊達市に滞在していた時に知り合った「大雄寺」の奥村住職に相談して、東京から生徒達を呼んで大雄寺で仏像展を開いたこともあった。その後、現在のマンションに越して来て、家で仏像彫刻をやる場所が無くなり教室を辞めた。
でも先生との関係は、12年経った今でも途切れずに続いている。ありがたいことである。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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