心の伊達市民 第一号

お月見散歩


10月10日は私の父の命日である。「いま生きていれば、110歳だ」と、変なことを考えた。浜離宮恩賜庭園のホームページに「浜離宮でお月見散歩~将軍のお庭で栗名月を愛でる」と出ていて、開催期間は10月5日から10日までであった。

開催初日に行こうと思い天気予報を見たら、なんとこの期間の6日間はズーと雨だった。こんなことは、10月には珍しい。


ライトアップされた「三百年の松」



私の記憶では10月10日は「特異日」で、雨が降ることはほとんど無い。
そもそも10月はあまり雨が降らないし、父の命日に雨が降った記憶が無いのである。
でも折角、浜離宮がイベントを考えたのだし、家からも近いので家族で行こうと考えた。ところが女房が風邪気味で、彼女は『我が家を代表して見て来て』と言ったので仕方なく1人で見に行った。


庭園内に作られた「お月見だんご」の屋台はお客がいない



マンション前から東京BRTに乗り、新橋で降りてから浜離宮まで10分ほど歩く。
小雨交じりの中でサラリーマンが足早に駅に向かっているが、私が行くのは逆方向である。公園の入口でシニア料金(150円)で入園券を買う。

すると係のオバサンが『生まれは昭和なん年ですか?』と聞いた。
「見れば分かるだろ!」と言いたいところを我慢して、「若く見られた」と善意に解釈する。


 「燕の御茶屋」の白壁に「燕」



庭園内は通路の両側に小さな行灯が置かれていて、足元を照らしてくれる。
普段と違い、決められた場所以外には行けない。
またところどころに係員が立っていて、安全の為に決められた場所以外に行かないように監視している。

肝心の見学者だが、ほとんど来ていない。
私が行ったのは午後5時半頃で、既に庭園内は暗くなっていた。


 「鷹の御茶屋」の障子の「将軍」



庭園内に入りすぐ左側にある「三百年の松」が、ほのかにライトアップされていた。
メイン会場の「潮入の池」の方に歩いて行く。池の手前の右側は「燕の御茶屋」で、白壁に「燕」の影絵が映し出されていた。

その先の「鷹の御茶屋」の障子には「将軍」の影絵が映し出されていた。
この影絵はなかなか風情があって良い。


お伝い橋から「中島の御茶屋」へ



次に「お伝い橋」を渡り、「中島の御茶屋」を横目で見ながら、また別のお伝い橋を渡る。池には水中ライトで、水面に映り込む月影「水月」を表現している。
この先はかなり暗い。芝生広場には「栗名月」を望む場所が用意されているが、この雨では月は見えない。

「栗名月」とは初めて知る言葉だが、「中秋の名月から約1ヶ月後の満月の直前の夜の月」だそうだ。そこには係員が待機していたが、私が通ってもなにも言わない。


池の反対側から「中島の御茶屋」を見る



池の反対側から「中島の御茶屋」の写真を撮る。振り向くと、私の住むマンションが松の木越しに見える。
雨が降っているので、カメラのレンズに水滴が付かないように気を付ける。
それにしても寒い。気温は15度くらいらしかった。

定期観光船の船着き場方面は立ち入り禁止なので、池を一周する感じで「鷹の御茶屋」の横を通り出口に向かった。「月も出ていない」、「雨が降っている」、「見学者はいない」の「3ない」で、これでは家族代表で見に行った意味が無かった。


水中らアンプが水面に映り込む月影「水月」を表現している



(おまけの話)
帰りはどうするか考えた。
往路と同じく新橋まで歩き、そこから東京BRTに乗るか?
しかし東京BRTは1時間に3~4本の運行なので、新橋に着いた時にBRTが出たばかりだと15分は待たねばならない。

新橋まで歩いて10分、待ち時間を15分、東京BRTで「勝どき」まで12~3分と計算すると、少なくとも30分は掛る。


 「築地大橋」が見えて来た



それなら歩いて家まで行くとすれば、30分は掛からない。
しかも久し振りに「夜の築地大橋」を歩いて渡る機会に恵まれる。
そこで浜離宮の横の遊歩道を歩いて行った。

この道路は仮設のもので、都道2号線の築地市場跡地のトンネル工事の為に作られた。
本当は東京オリンピックの開催前に完成するはずが、いまだに工事中である。
これは小池都知事が『豊洲市場は安全だが、安心ではない』と迷言を吐いた影響である。


  隅田川を下る屋形船



時々、勝どき方面から通勤の人なのか、暗い中を自転車がやって来る。
築地大橋が見えて来た。淡いブルーでライトアップされていて美しい。
橋の下をお座敷型の屋形船が通過して行く。

目の前のマンション群が明りが灯って、都会の光景を見せている。
お月見は出来なかったが、都会の夜景は雨でも見られて「お月見」に負けず美しかった。


 雨の中を「築地大橋」を歩いて渡る人はいない

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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