心の伊達市民 第一号
なにで見たか忘れたが、1月7日の午前11時に鉄砲洲稲荷神社で「寒禊」があると知った。神社の境内に入ると、大きな緑色の丸いプールが置いてあった。
そこへ道路に停まっていた給水車からホースを引っ張り、プールの中に水を入れていた。この光景を見て、「やはり寒禊をやるんだ」と安心した。
神社の世話役と関係者の高齢者が集まって、なにか説明を始めた。
私は部外者なので、少し離れて見ているだけだった。
世話役が『今回は初めての人が多いので、段取りを間違えないように!』と言っているのが聞こえた。
次に緑色の大きなビニールシートを持って来て、プールの上に乗せて紐で縛った。
私は「あれー!」とは思ったが、これは神事なので、ビニールシートを外すところから始まるのだと思った。
ところが世話役が『では明日の10時に集合をお願いします』と言って、解散となってしまった。私はなにがなんだか分からずに、近くにいた関係者に聞いてみた。
『明日は何時からですか?』
関係者の爺さんが『明日の禊は10時半だ』と言ったのである。
私は帰ってから鉄砲洲稲荷神社のホームページを開いてみたら、『第67回寒中水浴大会(寒禊) 本年は神社関係者のみ。一般参加は不可』と書いてあった。「一般参加」の意味が判らない。禊の参加なのか、見物も不可なのかが分からない。
パソコンを見ている私に、女房が聞いた。
女房『どうだった?』
私は『今日は準備で、本番は明日だった』
女房『しっかり調べてから行かないからよ!』
その通りだが、こうなったら準備段階を見た手前、翌日の10時30分に行ってみることにした。
(おまけの話)
勝どき駅前から都バス(東15)に乗って、「鉄砲洲」で降りたら午前10時07分だった。
バス停からでも境内からのお囃子の音が聞こえる。
境内に入ったら、左手の神楽殿で獅子舞をやっていた。
真ん中のプールは覆いが外されていたが、水の中に150キロの氷塊が2つ置いてあった。周りには法被姿の氏子や、禊に参加するらしい男達が既に褌姿で腕組みをして待っている。
神殿に向って両側には招待客が座るパイプ椅子が並べてある。
右手の椅子には、既に山本区長が座っていた。
始める前に関係者の記念撮影があった。
それも色々なグループがあるので、何組もの撮影になる。
延々と記念撮影をした後に、今回の禊の責任者である「弥生会」の代表が段取りを説明する。その後、来賓の挨拶に進み、やっと禊が始まるようだ。
そして禊の指導者の男が出て来て、禊のやり方を説明していた。
その後、一斉に境内から外へ出て行った。私のいる場所からは、なにをしているのか見えない。しばらくして全員が境内に入って来て、指導者の後に続いて禊の文章をリズムカルに唱える。
『朝夕に神の御前でみそぎして すめらが御代につかえまつらん イーエッ。 エーイッ。 遠つ神国の修めし大八洲 天地共にとはに栄えむ エーイ。 ホ。
天津神国津神たちみそなはせ おもいたけびて我が為す業を エーイッ。 サ。』
この禊の文を2度繰り返し、エッサ エッサと船の櫓を漕ぐような動作を繰り返す。
これで体が暖かくなって来るのだろう。いわば準備体操のようなものである。
その後、指導者の合図で、全員が水の中に入った。体の胸の下辺りまで沈む。
そしてまた指導者に続いて禊の呪文を唱和する。
更に水の中でもエッサ、エッサと掛け声をかけて、船漕ぎ動作をする。
指導者の掛け声で、みんなが立ち上がった。そしてまた呪文だ。
それが終りみんなは水から出るのかと思ったら、また体を沈めたのである。
これで「終り」と思った水中の人は、ガッカリかもしれない。
そして合図でまた立ち上がり、水の外へ出た。
出て来た女性が私の傍にいた近親者に話していた。『大丈夫だった』
ところが、これで終りではなかった。
指導者の合図で、また全員が水の中に入ったのである。
同じようなことを繰り返したが、今回は水中に沈むのは1回だけだった。
全員が外へ出たところで、また船漕ぎ体操で体を温める。
そして神殿に向って「二拍一礼」をし、これを合わせて「ありがとう御座いました」と言った。これで禊の神事は終りだったが、誰も寒くて震えている人はいなかった。
さすがにもの好きな私でも「やってみたい」とは思わなかった。
参加者は都内の他の神社から来ている人もいたが、これで神社間の結束が強くなっただろう。今回が67回目の寒禊だそうだが、参加者は殆どが50歳以上のように見えた。
中には「80歳以上では?」と思われる人がいて、私は心臓麻痺を起こさないか心配だった。若者の参加が無いので、この神事がいつまで続けられるか心細くなった。
軟な最近の若者が大勢参加して、良い伝統を守り、強い日本にして欲しい。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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