心の伊達市民 第一号
【ナターシャ・グジーのコンサート】
マンションに初めて住んで、ビックリしていることがある。
それは不動産の折込広告で、購入を持ち掛けるのではなく自宅売却の案内である。
最近は競争が激しいのか、「売主からは手数料を取らない」と知らせて来ている。
ある時、大手ではないある不動産仲介会社から、「お客様謝恩コンサート」のお知らせがあった。私はこの不動産会社のお客になったことは無いが、「先着順」と書いてあったので申し込んでみた。
するとしばらくして、選ばれるとは思っていなかったコンサートのチケットが送られて来た。出演はウクライナの歌姫「ナターシャ・グジー」という女性だった。
チケットに同封されていた「ナターシャ・グジー」のプロフィールを見ると、次のようなものだった。
『ウクライナ生まれ。1986年チェルノブイリ原発の爆発事故で原発からわずか3.5キロで被爆。ウクライナの民族楽器パンドゥーラの音色の魅せられ、8歳より学ぶ。2000年より日本での本格的な活動開始。ウクライナの歌姫と言われている。ウクライナの教科書にも取り上げられている』とあった。
コンサート会場は浜離宮朝日ホールで、1月14日の午後2時からだった。
会場までは歩いて行った。築地大橋を渡ると、都道2号線の工事がまだ続いている。
工事中の壁の横を歩くと、私の影が地面に映る。壁から反射した光が、私の陰に斜めの線を描く。
天気の良い日にここを通ると、いつも私の影の写真を撮ってしまう。
なんとかアート写真を撮りたいと思っているからだ。
コンサートの会場は朝日新聞社の建物の中にある、「浜離宮朝日(小ホール)」だった。客席の定員は398席という小さめのホールである。
このホールは有料で一般に貸し出しているようで、ホームページを見たら1日の賃料は33万円だった。
ナターシャ・グジーの出演料は不明だが、これならその不動産会社でも借りて謝恩コンサートが開けると思った。午後2時開演で自由席なので、早目に行ってナターシャの顔が良く見えるように一番前の席に座った。
開始時間となり、不動産会社の女性役員が登場して挨拶をした。
そしてナターシャ・グジーが登場した。私からは5メートルの距離で、初めてウクライナ人を見た。彼女は43歳だそうで清楚でスタイルも良く、もの凄い美人である。
ウクライナ人がみんな美人ということはないだろうが、色白で背が高い。
最初に1曲「キエフの鳥の歌」を弾き語りをしてから、自己紹介をした。もう20年も日本に住んでいるので、日本語は全く問題ない。
彼女の声は透き通り、天使の声のようだ。
アンコールを入れて11曲を披露したが、その中に2曲の日本の歌も入れていた。
使う楽器は民族楽器の「バンドゥーラ」というもので、見た目はハープとギターを一緒にして小さくした感じだ。弦の数は驚くほど多く、63本もある。
ギターのように弦を押さえて音階を変えることもない。
楽器の旋律は寂しげで、彼女の歌は語りかけるように、時には叫ぶようで心に染み入り自然と涙が溢れて来た。
最近は騒々しい歌を聞かされている私には、新鮮でとても良い感動の2時間だった。
予定では1時間半だったが、それを30分もオーバーした。
「ウクライナに栄光あれ!!」(Слава Україні! )
【ナターシャ・グジーのyoutube】・・・・https://www.youtube.com/watch?v=3gyOAi7oPOw
(おまけの話)
【聖オルバン教会】
ロシアとウクライナの戦争の終息が見通せない状況だ。私は判官びいきで、ウクライナを応援している。
そんな時に「1月7日に港区の聖公会の聖オルバン教会で、在日ウクライナ人によるクリスマス・ミサが行われた」というニュースを見た。
ウクライナやロシアの聖公会では、旧暦のユリウス暦で12月25日にあたる1月7日がクリスマスだそうだ。
ロシアのプーチン大統領は信者が礼拝に参加出来るように36時間の停戦を命じ、ウクライナ側にも同調を呼びかけたが、侵攻を受けるウクライナは応じなかった。
聖オルバン教会は東京タワーのすぐ近くにあると知り、どんな教会かと思い見に行ってみた。
ホームページでは「聖公会はローマ・カトリックとプロテスタントの諸要素を包容し、かつ一方に偏らない独自性を維持して来ました」とある。どうやらカトリックとプロテスタントの中間のようだ。
ロシアとウクライナには聖公会と正教会が共にある。プーチン大統領は正教会の信者である。ウクライナ正教会は2018年に本家のロシア正教会から独立した。
日本での正教会はお茶の水にある「ニコライ堂」である。
ニュースでは詳しくは分からないが、「ウクライナ正教会の信者がニコライ堂ではなく、聖公会の聖オルバン教会でミサを行ったということは、ウクライナとロシアの戦争が日本での在日ウクライナ人のクリスマスにも影響しているようだ。
「アクセス」で確認すると、東京タワーから歩いて5分くらいの場所に目指す教会がある。地図を頼りに進むと教会へ入る路地の右角には、ロシア料理店「ヴォルガ(Volga」があるはずだった。私が大学生の頃に初めてボルシチを食べたのは、忘れもしないこの店「ヴォルガ」だった。
ところが前を通ったら残念ながら閉店となり、現在は「花屋」になっていた。
そのすぐ先に看板が出ていて、「聖オルバン教会」と「聖アンデレ教会」と書いてあった。どうやら同じ敷地内に2つの教会があるようだ。
右手には古い木造の倉庫のような建物があり、これが「聖オルバン教会」だった。
少し先の小さな子供の遊び場で白人夫人がこちらを見ていたので、信者でもない私は教会の中には入れなかった。
その遊び場の先に進むと右側に立派な教会があり、それは「聖アンデレ教会」だった。
この2つの教会の関係は、私には分からない。誰も見ていないので、そっと木造のドアを開けてみた。
そこは礼拝堂で、誰もいなかったので中へ入ってみたら、天井からキリスト像が下がり立派な礼拝堂だった。同じ敷地内でこれほど差があると、信者は「どう思うのだろう?」と、余計なことを心配した。またチャンスがあれば行ってみたい。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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