心の伊達市民 第一号

夏草や、兵どもが夢のあと

ブログ閉鎖中の話題(2017年7月28日)


年をとると暑さ、寒さに弱くなる。
夏が近付くと、「今年の夏は去年より暑いなー」と思い、冬が近付くと「今年の冬は去年より寒いなー」と言っている私だ。これはなんの根拠も無く、皮膚感覚が鈍り、ただ愚痴っているだけのことなのである。


私達夫婦が通算20数ヶ月もお世話になったコテージ「桜の家」の当時の写真。 左側に私の車、その隣が専用乗用カート、そしてゴルフ場オーナーのKさんの車が見える。 コテージの裏には私達専用のジープが停めてあった。


ただ梅雨が始まると、いつも北海道伊達市を思い出す。
数年前までは毎年、梅雨が始まる頃に茨城県大洗港からカーフェリーに乗って北海道苫小牧港へ着き、高速道を走って伊達市に入った。
そしてトーヤレイクヒルGCのコテージを借りて、東京が涼しくなる頃か、伊達市が寒くなるまでの3~4ヶ月間を滞在していた。


ゴルフコースは36ホールもあった。(後ろに見えるのは有珠山) 左側は私の女房、右側は町のゴルフ上級者の女性(Iさん)。


今年で伊達市に行かなくなって6年目になると思うが、これは私の都合ではなく、ゴルフ場の都合である。その事情は「それまでのゴルフ場経営者が中国資本に経営権を売却してしまい、新しい中国人経営者がゴルフコースとコテージの営業を止めた」からである。
だから私達は夏の間に行く場所を失ってしまったのである。残念だが、仕方ない。


ゴルフ場の上から見た洞爺湖と、山の上に見えるサミットが行われたウィンザー・ホテル。


その8年間は大よそ25ヶ月間の滞在で伊達市に大変にお世話になったし、多くの友人が出来たし、楽しかった思い出だけが残っている。
一方でかなりお金もかかったので、伊達市の経済にも大いに貢献したのではないかと秘かに思っている。
その伊達市の友人の中の1人にXさんがいる。
彼は私の紹介で、しばらく前からベトナムとビジネスをやるようになった。


桜の家の目の前は「新山コース」の9番ホールだった。 秋になると、この林でキノコの「らくよう」が採れた。


そのXさんからメールが届いた。
「橋本さんにつないでいただいたご縁のおかげでベトナムにも友人ができ、仕事で一人ホーチミンへ行っても淋しくありません。(笑) バイクではDUCさんに何処につかまるのか?と質問しましたら私の膝を指示されなかなか難しい姿勢でした。(汗)」


Xさんが送ってくれた写真。 ゴルフ場の入り口は芝も刈ってあり、整備されているようだ。


「仕事面でもエスハイ社に紹介いただいたM社という会社と継続的にOEM取引をしていまして、コストも削減できたいへん満足しています。これも橋本さんに繋いでいただいた賜物であります」。

Xさんからのこんなメールは私にとって、とても嬉しい。
世間から邪魔者扱いされている高齢者が「少しは世の中の為に役立っている」と実感できたからである。
ささやかながら、ベトナムと日本の架け橋になれたことが望外の喜びである。


私達が住んでいた「桜の家」の周りも芝が刈られている。(Xさん撮影)


私はもう引退して14年も経つので、精神的にも肉体的にもかなり枯れて来ている。お金に執着する気持ちも失せてしまい、今はもうほとんど骨董品の領域に入っている。
骨董品というものは貴重なのだが、壊れやすい。だから扱いを丁寧にして欲しい。今の唯一の望みと言えば、「ピンピン、コロリ」なのだから、なんとも情けない。


たまには使っているのだろうか?(Xさん撮影) 思っていたほどには荒れていなかった。


(おまけの話)
メールをくれたXさんに、私からお願いをした。
そのお願いは「私達が夏の間、住んでいたコテージである(桜の家)の写真を撮って送ってくれ」。
Xさんは忙しい中を町から離れたゴルフ場まで行って、写真を撮って送ってくれた。
その写真の数々を見て驚き、また懐かしかった。


新山コース9番ホール(Yさんが撮影して送ってくれた写真) 左奥にグリーンらしきものが見える。 このアスファルト道路の左側辺りにコテージ「桜の家」がある。


ゴルフ場を買収した中国資本はゴルフコースは放置したままだが、「桜の家」は使っているようでその周りだけ芝刈りがなされている。
ボロボロになり朽ち果てたコテージになっているかと思っていたが、 そうでなくて良かった。
あのコテージに通算で20数か月は住んだのであるから、私の思い出が詰まっている。


新山コース6番ホール。        6番グリーン  (Yさん撮影) Yさんから「最近はクマが出ると聞いたので、他のホールには行けませんでした。また10数年後には山林になるでしょう」とメールが来た。



Xさんは「ゴルフコースは雑草が生い茂り、鬱蒼としていて撮影は無理でした」と書いて来た。
どのくらい鬱蒼となっているのか知りたかったが、Xさんには「もう一度」と頼み難難いのでYさんに撮影を頼んだ。その写真を見て私は驚いた。コースはただの荒れ地に戻っていた。

私の頭に浮かんだのは、松尾芭蕉が「奥の細道」で詠んだ句である「夏草や兵どもが夢のあと」であった。悲しかったが、これが現実である。でも2人とも、とても親切で感謝に堪えない。
町からゴルフ場までは急いでも、車で20分は掛かるのだから・・・・。



新山コース9番ホール。手前がグリーンで、残り150ヤード。 カート道路は舗装がしてあるので、以前と変らない。 この右側にコテージ「桜の家」がある。 (Yさん撮影)

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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