心の伊達市民 第一号
最近になって、やたらと「しゅうかつ」ということばを聞くようになった。
これを最初に聞いた時は「就活」のことかと思ったが、全く違う話だった。
就活は「就職活動」の略であるが、終活はどうかと考えても熟語が無い。
「終末活動」でネットで検索したが、そういう熟語は無かった。
人は誰でも死ぬ。100%死ぬ。過去に死ななかった人はいない。
そこで最近は残った人に迷惑が掛からないように、終活をする人が増えた。
「友人のYさん」
友人達と作っていて、1ヶ月に1回の割合で私が都心を案内する会がある。
1月の計画を知らせたら返信メールがあり、終活の話が書いてあった。
『年末に孫に手伝ってもらいながら、自室の本や資料やらを全て処分しました。目の前がすっきりし、終活の一歩を踏み出すことが出来ました』
『これから1年間を掛けて衣類やバッグや撮り溜めた写真を整理するつもりです。思い出に浸っていると、終活が進みません』とあった。
確かにYさんの言う通りで、「思い出」を整理するのだから難しい。
「友人のOさん」
Oさんもメンバーなので返信メールがあり、不参加の知らせだった。
その理由がなんと「終活」だったのには、驚いた。
『終活の一環で山の家の売却仲介を不動産会社に頼んだら、購入希望者が即現れて今月仮契約になり少々慌てています』
『不用品の整理、不具合箇所の直し、枯れ木の伐採とやらなければならないことが結構あります。3月末の引き渡しにしていますが、雪の中でどれだけ出来るか心配です』とあった。友人達は終活を始めたようだ。
「友人のFさん」
彼はマンションで知り合った友人だが、1年近くも入院していた。
体の具合の悪い奥さんがいて、彼女の面倒を見られなくなり施設に預けていた。
その奥さんが亡くなった。サラリーマンだったFさんは、家庭のことは全て奥さん任せだった。だから何も分からず、しばらくは困っていた。
相続処理を終えたが、妻の遺品には全く手を付けていない。自分の衣類もどこにあるのか分からず手が付けられず、いつも同じものを着ている。私が『終活は考えないの?』と聞いたら、『なるようにしかならない』と答えて、相変わらず何もしないで、同じものを着ている。
「石原慎太郎」
作家で東京都知事だった「石原慎太郎」が亡くなり、彼の終活が明らかになった。
彼は生前から『完璧に死んでみせる』と言っていたそうだ。
そして息子たちに2つの願いを託していた。1つ目は「遺骨は海にまく」、2つ目は「癌の痛みだけは感じないようにして欲しい」だった。
そして驚いたのは自分と妻の死後の出版を条件で、「私」という本の原稿を用意していたことだった。その本には「愛人と婚外子」がいることも書かれていた。
慎太郎が亡くなった1ヶ月後に、奥さんも亡くなった。
「考えない人」
意外と終活を考えない友人もいる。「考えたくない」のかもしれない。
なんでもテキパキと決めて、死ぬ時のことまで決めておくのが嫌なのかもしれない。
私は自分の親が56歳という若さで亡くなったので、その時になにも分からず困った覚えがある。
だから「残った人達に迷惑を掛けないように」と考えるのだが、それが本当に正しいやり方なのだろうか?
Fさんのように『なるようにしかならない』というのも、そうかもしれない。
最後に「私の終活」である。
私は12年前に終活を終えている。そのキッカケはマンションに越すことから始まった。
マンションとなると自分の寝室はあるが、趣味の個室は無くなる。
そこで引っ越す時に持参するものを決めて、大幅に持ち物を廃棄した。
背広は2着だけ残し、アルバムは1冊から3~4枚の写真を保存、本は捨てる、会社時代の書類と1年間使わなかったものは廃棄、運転免許証の返納などを行った。
そして築地本願寺に墓を買い、日本尊厳死協会に入会した。ほぼ終活は終えていると思う。全て準備が出来たのに、困ったことに、なかなかお迎えが来ないのである。
(おまけの話)
昔から初夢で見ると「縁起の良いもの」に、順番を付けて「一富士二鷹三茄子」と言った。これ等は徳川家康が好んだものと言われている。
「一富士」は富士山で、これは誰でも認めるだろう。
最近では外国人が日本に観光に来て、弾丸登山で富士山に登ることが問題となっている。また頂上付近では、渋滞が起きるほど登山者が増えてしまった。
我が家からいつも富士山が見えるが、私は今までに頂上まで登ったことがない。
「二鷹」は徳川家康が、「鷹狩」が好きだったからだそうだ。
1月3日には「鷹狩」の伝統文化維持のために努力している「諏訪流放鷹術保存会」の鷹匠達が、浜離宮恩賜庭園で「放鷹術」の披露を行った。
大勢の見物人が集まり過ぎたせいか、神経質な鷹は満足な動きが取れなかった。
「三茄子」はどうにも、よく分からない。なぜ茄子なんかが、3番目なのか?
ネットで調べたら、徳川家康は初物の「茄子」が好きだった」という説がある。
富士は「不死」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という説もある。
一方で「怖いもの」にも順番がある。それは「地震・雷・火事・オヤジ」である。
地震が怖いのは、元旦の能登地震で証明済みである。
雷は最近は避雷針があるので、あまり怖くない。
火事は怖い。これも能登地震で「朝市」一帯が燃えてしまった。
オヤジは昔は怖かったのだろうが、最近のオヤジは全く怖くない。
かなりの家庭でも、オヤジはペットより下である。
だから私の考える順番はオヤジは番外となり、「地震・戦争・火事・雷」となる。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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