心の伊達市民 第一号

バアチャンのお雛様の行方 

ブログ閉鎖中の話題(2017年3月3日)

同じマンションに住む83歳のバアチャンが、愚痴を言うために遊びに来た。
「またか!」と思ったが、年寄りのことだからこれも仕方がない。
そして言った。「実家の弟が家を建て直した時に、私の子供時代のお雛さまを私の断りも無く勝手に処分してしまった」。


バスは東京湾横断道路の「海ほたる」でトイレ休憩となった。



「それはいけませんねー」と私は言ったが、80年近くも前のお雛様で、押入れの奥にしまいっ放しだったのだから、弟の行動も分る。
その処分したお雛様は弟が千葉県の勝浦市に寄贈したので、毎年盛大に行われる「ビッグひな祭り」で飾られていると言う。


途中で鴨川に立ち寄る。房総はもう春だった。



そんな話から飛躍して、私が提案した。「では、そのお雛様を見に行こう」・・・と。
そしてまたバス旅行に申し込んだのである。これで2月は3回目のツアー旅行である。
今回は午前7時に私の家族とバアチャンの4人で、東京駅丸ビル前に集合した。
集合場所に行ったら、安くて強行軍のツアーなのに、43人の参加でバスは満席だった。


勝浦市芸術文化交流センターの入り口から続くお雛さまの飾り方、色々。



「勝浦ビッグひな祭り」は全国の不要になったお雛さまを寄贈してもらい、それを町興しに使うという非常にユニークな企画で、それが大当りして今では観光客が大勢やって来る。私もその中の1人なのだが、 その時期は町中にお雛さまが飾られている。
特に有名で、この企画の出発点となった遠見岬(とみさき)神社が人気である。


見慣れたお雛さまの飾り方ではなく、竹の節を切って飾ってある三人官女。



神社の石段に、なんと1800体のお雛さまを飾ってあるというのは圧巻だそうだ。
勝浦の町に入ったら、添乗員が「今日は天気は悪くないのですが、この町では今朝ほど小雨が降り遠見岬神社はお雛さまを飾らなかったので、見学先を変更して勝浦市芸術文化交流センターに行きます」と言ったので、参加者からは大ブーイングが出た。


昭和初期の内裏雛と三人官女。



戸外に並べたお雛さまは、「毎朝、飾る。そして毎夕、取り込む」と聞いて驚いた。
それはそうだろう。お雛さまが雨に濡れたり夜露に濡れたら、1回で終りである。
そしてバスは不満タラタラな乗客を乗せて、勝浦市芸術文化交流センターに着いた。
気落ちしながら、通路に飾られたお雛さまを見ながら先に進む。


8000体のお雛さまには圧倒される。これは全て全国の家庭から寄贈された



かなりの数の寄贈されたお雛さまが続くが、全然、楽しくない。
ガッカリしながら歩いて行って、最後の大きなホールに入った途端に驚愕である。
突然、目の前にもの凄い数のお雛さまが現れた。その数は8000体だと説明員が言った。

8000体のお雛さまに圧倒されて、声も出ない。人形というのは独特の雰囲気があり怖い。あまりの数の多さにバアチャンのお雛さまを探すなどという気も無くなった。
久し振りに感動した旅だった。


これからはお雛さまは売れない時代が続くのだろうと分かった。



(おまけの話)
今回のバス旅行は格安パックなので、早朝から晩まで企画が一杯である。
私は「勝浦ビックひな祭り」だけを見ればそれで満足なのだが、団体旅行は自分勝手は許されないのである。
希望もしていない頼朝桜なんて訳も分からない桜を見に行かされたが、これは河津桜を移植したもので、行った時期も遅く殆ど桜は残っていなかった。


頼朝桜(これは河津桜である)



昼は「浜焼き食べ放題」が付いているのだが、もう私の年齢では食べ放題は無理だ。
ひな祭りを見た後にはいま人気急上昇中の「濃溝の滝」にも行った。
でもここの素晴らしい光景が見られるのは早朝と夕刻なので、午後から帰り道に寄るなどというヤワでいい加減な態度では駄目なのである。


「浜焼き」。私はサザエ4個、牡蠣3個しか食べなかった。



しかも今回の旅では、私の隣の席にはお連れの83歳のバアチャンが座っている。
このバアチャンはマンションで1人住いなので、話し相手がいない。
そこで「この時とばかりに」、私に以前に聞いた話を繰り返し話し掛けて来る。
私は「少しは黙っていて!」と言いたいのだが、いずれ自分もそうなると思い我慢する。

今回のバス旅行は盛り沢山で強行軍の上に、隣のバアチャンの話を聞かねばならなかったので、家に戻った時は疲れ果ててしまい早寝をした。


「濃溝(のうみぞ)の滝」。滝とは呼べないほどの段差である。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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