心の伊達市民 第一号

逆さ銀杏」を見に行く 


テレビのチャンネルを廻したら、たまたまNHKBS放送で「巨樹百景 神様の木に会う」をやっていた。
その時に出ていた巨樹は麻布の善福寺にあり、樹齢750年を越える銀杏の木だった。
この木は「逆さ銀杏」と呼ばれていて、国の天然記念物にもなっているそうなので見に行ってみようと思った。

「逆さ銀杏」の名のいわれは、「多くの気根が垂れ下がっているため、枝が逆さに生えているように見える」ことから来ている。
善福寺は大江戸線の「麻布十番駅」から、歩いて行ける場所にあるようだ。


大江戸線「麻布十番」駅



私は初めての場所に行く時は、家で地図をプリントして持参する。
『スマホの「グーグルナビ」を使えばいいじゃないか』と言われそうだが、あまり好きではない。色々と理由はあるが、「画面が小さくてよく見えない」、「スタートで方向を間違えると、なにがなんだか分からなくなる」が大きな理由だ。

『逆さ銀杏』のいわれも調べてみた。
すると『浄土真宗の親鸞聖人が地面に刺した杖が根付いたもの』という伝説がある。
神社などの多くに、いま考えると「ありえない」というような伝説があるが、それも面白い。


 善福寺の手前には寺が6軒もある寺町である。



麻布十番は六本木ヒルズから坂を下ったところにある。
ここへ越して来る前に「どこに引っ越しをしようか?」と考えていた時に、麻布十番のマンションも見に行ったことがある。

商店街が面白く以前はよく行ったものであるが、最近は少し足が遠のいていた。
今回は商店街には入らずに、南に下り「二の橋」の方向へ歩いて行く。
駅から150メートルくらいのローソンの先を右に曲がる。その角から300メートルも歩けば到着する。


「善福寺」はこの辺りで一番大きい。



少し進むと両側にお寺が現れる。善福寺に行くまでに6軒もあり、寺町となっている。
麻布には各国大使館が多いのは知っていたが、寺も多いとは知らなかった。
6軒の寺は「光善寺」、「金蔵寺」、「善光寺」、「新光寺」、「善通寺」、「善正寺」である。
お寺の規模も色々で、やはり敷地の大きいお寺は納骨堂もあり豊かそうに見える。


 「初代アメリカ公使館」があった記念碑  



突き当りが「善福寺」で、他の寺とは格が違うような構えである。
境内に入るとすぐに、「初代アメリカ公使館」の記念碑が日本語と英語で書かれていた。アメリカ人らしきグループが来ていて、記念碑を見ていた。

本堂に向って左側が墓地となっていて、そこに「逆さ銀杏」があった。
この銀杏の木は「親鸞聖人」がこの場所に、杖を立てたら根付いたものだと書いてある。宗教というのは面白い。日本中の寺や神社に「本当ー?」というような言い伝えがある。


 「祖師聖人御杖銀杏樹」(逆さ銀杏)



「逆さ銀杏」は巨木であるが冬で葉が無いせいか、枯れかかっているような感じに見える。周りを鉄柵で囲ってあるので、一回りしてみた。
裏側に廻ったら幹が避けていて、黒く焼け焦げがある。
これは第二次世界大戦の時に、アメリカ軍の東京大空襲で焼けた跡だそうだ。

よくも生き残ったと思う。やはり親鸞聖人の祈りが通じたか?
上から垂れ下がった「気根」が気持ち悪い。
「逆さ銀杏」を見てから、もう1本、麻布十番に近い路地を左に入り、「善福寺」の裏手の4軒の寺を見て廻ってから家に帰った。


大きな「気根」が垂れ下がっている。



「麻布」に行ったので家に帰って来てから、麻布という街の成り立ちを調べてみた。
『麻布地域は江戸の街ができるはるか以前から、由緒ある神社仏閣が集まっていたエリアです。当時はまだ日本の中心が奈良や京都だった時代。東国の中でも麻布地域は海を見下す南向きの高台で神仏を祀るにのに相応しいと判断されていたそうです』

『その後、江戸幕府が誕生して江戸の街が拡大するにつれ、高台の部分には武家屋敷が、低地の部分は商人や職人が住むようになりました。現在あるお寺は1000年以上続く由緒あるものと、その後にできたものが混在しています。麻布の高級マンションは武家屋敷の跡地に建っているものがほとんどです』。


 東京大空襲で焼けた跡が残っている。



(おまけの話)
本編で「宗教」に関する話を書いたので、(おまけの話)でも宗教である。
かなり以前のことだがオウム真理教の上祐史浩という男がいて、ジャーナリストの質問に「あー言えば、じょうゆう」と言われたことがあった。連日のようにテレビに登場したから、私の世代の人達なら、よく覚えていると思う。

その男が旧統一教会の事件に関して、インタビューを受けた内容を読んだ。
とても示唆に富んでいて、「なるほどー」と思った。
この先は私が「なるほどなー」、と思ったインタビュー内容からの一部の抜粋である。


  「善福寺」の本堂



『いまの時代、病気や貧困などの現世の苦しみは、宗教に頼らずとも、医療技術の進歩や社会福祉制度の整備で対処できるようになりました。さらに長寿化しているので、宗教の売りの「死後の来世の幸福」よりも、「長い老後の不安と備え」の方に関心が移って行く』

『お金も来世のために宗教に献金ではなく、老後に備えるようになる。人は長くなった老後の備えに関心が移り、来世の幸福を説く宗教には関心が遠のき、お金を出さなくなりました』。


 道路1本裏の「賢崇寺」と「大法寺」



『だからこれからの宗教は、長寿時代のニーズに対応する必要があると思います。長く辛い老後を送らなくですむ利益を与えるような宗教的な知恵が必要だと思います。宗教団体が「財産目当てに献金した信者の老後は、教団が全て面倒を見る」というのであれば、』

『多額の献金は老後の年金代わりになるから、批判は和らぐかもしれない。本来の宗教は信者仲間の生活共同体の側面がありますから』。
これを読んで「宗教は長寿と相反する」という、なんとも不思議な気がしたのである。


 こちらの道には4軒の寺があった「長傳寺」と「徳正寺」  

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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