
kayaker
前回のあらすじ
人に会うのが嫌いな僕だったが、友人が紹介したい人がいるというので会うことにした。
ところがこのオッサンがちょっとヤバイ人で、自分のことを「宇宙人」だと言うのだった。
机に置かれたコーヒーは湯気を立てていた。
オッサンはカップを持って口に近づけ、熱そうに一口すするとカップを置いた。
「実はちょっと前に仕事で、ある会社に初めて行ったときのことなんです」
僕もコーヒーをすすりながら「はい。はい」と真面目に話を聞くことにした。
するとオッサンが続けた。
「その会社は南七条にある雑居ビルの5階だったんですけどね。エレベーターを降りると正面に無人の受付カウンターがあったんです」
そのあたりだったらススキノの南の方で、あまり柄が良くない場所だなと思いながら僕は頷いた。
「無人カウンターには電話が1台置かれてましてね。会社の中は見えないように正面は壁になっているんですが、その壁にはなんか見たこともない文字が並んでいたんですよ」
「え? 見たこともない文字ですか」と僕はそれが何なのか少し興味を持ち始めた。
オッサンはまたコーヒーを少しすすり、カップを置くと、また話を続けた。
「ええ。見たこともない文字です。なんかモンゴル文字みたいな、ハングル文字のようなのですが、ちょっと私にはわかりませんでした。私はその時ちょっと違和感を持ったのですが、目の前の電話の受話器を手に取ったんです。そしたら……」
「そしたら?」僕は少し身を乗り出した。友人は普通にコーヒーを飲んでいる。
「そうしたらいきなり奥から人が手を広げて出てきて、私の方に向かって歩いてきたんです」
「人が……ですか」
僕は話の展開がわからず戸惑ったが、要は内線電話をかけようとしたら知らない人が突然出てきたのだと理解した。
「ええ。そうなんです。その人初めて会う人だったんですが、とても懐かしそうに私のことを抱きしめてきたので私はビックリしました」
「初めて会う人ですよね?」僕は聞いた。
「ええ。初めて会う人でした。年頃は私と同じくらい。彼は『やっと会えたね』と私のことを抱きしめながら、肩をポンポンと叩くのでした。私はわけわからず、ただびっくりするばかりで何も言えませんでした」
「初めて会う人に抱きつかれたんですか。それでどうされたんですか?」
「それからすぐに会社の中に案内されました。小さな会議室で私はその人にいろいろなことを聞かされました。初めて聞く話ばかりでした。しかしそこで私は自分がXX星(星の名前は忘れた)からきた宇宙人だったと知ったんです」
(続く)次回4/6予定
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