心の伊達市民 第一号

銀座でアート

最近の私はアートづいているが、「アートとはなにか?」の定義を知らなかった。
アートを日本語に訳すると「芸術」である。
では「芸術とはなにか?」となると、また分からなくなる。

新明解国語辞典によると、芸術とは「一定の素材・様式を使って、社会の現実、理想とその矛盾、人生の哀歓などを美的に表現にまで高めて描き出す人間の活動と、その作品、文学、彫刻、音楽、演劇などのこと」とある。



エルメス・ビルの壁一面に描かれた「レ・パルコ」のデザイン。


こんな難しい解説をされたら、ますます分からなくなってしまう。
では「デザインは芸術(アート)か?」となると、これが違うらしい。
「アートは創造主の気持ちを満たし、デザインは顧客のニーズを満たすもの」と解説されると、これは良く分る。

丸ビルの窓に巨大な絵画を貼り付けてあるが、それは横尾忠則の作品である。
彼は有名で人気のあるイラストレーターだったが、ある時から画家に転向した。
顧客のニーズに応えるのではなく、自分の思いを絵に描きたかったのだろうと今になって理解した。



店の入口の角を曲がると、左手に会場入り口がある。


出だしから硬い話になってしまったが、実は有名ブランドの「エルメス」から案内が来たからである。
案内メールには『銀座メゾンエルメス フォーラムでは、ジュリオ・ル・パルクの日本での初個展となる「Les Couleurs en Jeu ル・パルクの色 遊びと企て」が始まりました。1928年、アルゼンチンに生まれたル・パルクは、1958年にフランスへの移住以降、同地を拠点に制作を続けるアーティストです』



9階の会場の作品。


『展示は、ファサードやウィンドウ・ディスプレイ、エレベーターにもおよび、20周年を迎えるメゾンエルメスのビル全体を使いながら、ル・パルクが目指す鑑賞者との開かれた出会いに挑みます。色を通じて希求された彼の試みや企て、また遊びの要素を通じて、92歳となる現在も精力的に制作を続けるル・パルクとの出会いをお楽しみください。皆様のご来場をお待ちしております』とあった。



8階と9階は吹き抜けになっている(9階からみたところ)


私はエルメスの顧客ではないし、エルメスの商品も持っていないし買ったこともない。
またジュリオ・レ・パルクという名前も初めて知った。
私は8月初めにエルメスで行われた「無料映画」を見に行っただけで、その時の予約情報が残っていて、私にも今回の案内が来たらしい。

少し前から数寄屋橋交差点近くのエルメス・ビルの側面に巨大な虹色の壁画が現れて、「なんだろう?」と思っていたのだが、案内メールでそれが今回の個展のジュリオ・ル・パルクの作品だと知った。



みんな似たような作品だった。


今回は特に予約も不要なので、平日の午前中に見に行ってみた。
建物横の入口で検温、消毒をして、エレベーターで9階に上がる。
そこが会場で、虹色の作品が大量に飾られている。

作品展のタイトルは「遊びと企て」だそうで、解説書によると『芸術が限られた人々のみで享受されることや、鑑賞者が受動的な立場にとどまることに疑問を投げかけ、視覚的遊びやゲームの要素を用いることで、誰もが芸術に参加して欲しい』とある。



吹き抜けを利用した作品(8階)


作品展は8階と9階を使っていて、その間は吹き抜けとなっている。
階段を降りて8階に行くと、動画があった。虹色の造形が変化するのだが、なぜか見入ってしまう。
最近の展覧会は「撮影OK」のところが増えた。エルメスでもOKだった。

有料の展覧会は撮影不可であるが、なぜか無料のところはOKである。
その理由は私なりに想像したのだが、「撮影OK」にすると売店の画集や絵葉書が売れなくなるからではないか?



見る位置により変るデザイン。


(おまけの話)
アメリカに住む親戚の人に、「欧米でアートとは何か?」を質問してみた。
彼はロサンゼルスに住む建築家なので芸術には詳しく、アートに関する解説をメールで送信してくれた。
でも私には少し難し過ぎた。

その文中で有名大学のUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)と、USC(南カリフォルニア大学)の芸術学部の教科を参考に知らせてくれた。



ワシントン靴店の「だまし絵」


それによると、UCLAの芸術学部には絵画、写真、彫刻、陶芸、舞台芸術、ビデオなどがあるようだ。
またダンスもあると言う。一方でUSCにはUCLAには無い木版画、演劇、映画芸術もあるそうだ。

こうなるとアートは日本語の「芸術」には収まり切らない。
彼の解説でも、『芸術と言うと、普通一般的な価値観を思い浮かべますが、アートというともっと広い領域の表現を示しているようです』とあった。



ショーウィンドー自体が芸術になっている(ROLEX)


ウォーキングの時に気にしてみると、東京にはパブリック・アートが沢山ある。
私の身近な銀座界隈にも多いので、エルメスの帰りにブラブラしながらその写真を撮ってみた。
銀座4丁目の交差点の角の4ヶ所に「ギンザのノハラ」という作品がある。

これはただの雑草を植えてある1ヵ所が1坪くらいの小さな4つの公園だが、4坪ともなると土地代だけで4億円以上はするだろう。ブランド店のショーウィンドーもアートだが、銀座の人工自然もアートなのだろうか?



銀座4丁目交差点の「ギンザのノハラ」


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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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