心の伊達市民 第一号

老後をどう過ごすか?

【定年入門】
図書館で「定年入門」という本を借りて来た。
副題に「イキイキしなくちゃダメですか」とあり、私にはその意味がよく分かる。
内容は定年の無い著者が、定年となった色々な人達を取材した話である。
まず「定年」という言葉だが、以前は「停年」と言っていたが、いつの間にか「定年」になっていた。

私の子供の頃は定年が55歳で、多くの人は60歳までに亡くなっていたように覚えている。それが定年が60歳になり再雇用があり63歳くらいまで働いても、まだ残りが相当ある時代になった。


 「定年入門」★★


そこで定年後を考えないといけなくなったのである。
この本の著者はサラリーマンではないので、定年が無い。
その視点から定年になった人達を取材しているので、面白いし可笑しい。

定年制度は先進国では日本だけのようで、これは法律でもなんでもない。
年齢差別だと訴えた裁判があったが、昭和43年に最高裁判所は「合憲」の判決を出している。




著者が取材した人には色々な経歴の人がいるが、会社を定年で辞めた人、再雇用で辞めた人、定年前に辞めた人などがいる。
『なぜ定年があるの?』と著者が聞くと、みんな『だって定年だから』と答え、話が噛み合わない。

『学校と同じ』という人もいた。『小学校は6年、中学校と高等学校は3年づつ、大学は4年、定年は60歳。これは決まりなんだ』と言う。
どうやら定年は超法規的な決まりで、誰も疑問を持っていないようだ。

『定年になったら暇が出来るから、色々とやりたい』というが、具体的にやるたいことを持っている人は少ない。




定年になって2週間くらいは大丈夫だが、それを過ぎると「どうしていいか分からない」ようになる。そこで図書館に行く、スポーツジムに行く、写真撮影をする、水彩画を描く、陶芸教室に入る、大学の公開講座に行く、農業をやる、朝からファミリーレストランに行く、旧道を歩くなど様々なことをするようになる。

ただ収入が無くなるので、金の掛かることは出来ない。しかし多くの引退オヤジは、やってみて割合早く止めている。
本当に好きなことではなく時間つぶしだったので、長続きしないのである。




自分のことも書かないと不公平になるので、少し書いてみた。
私は61歳で引退した。会社を経営していたので、定年ではなく「引退」である。
飽きっぽい性格もあるのだが、経営のしんどさを40年くらい我慢して続けて来たが『もう限界』と感じたのである。

引退後は外国好きだったので、ずいぶんと色々な国に出掛けて車を運転して回った。
ある時、たまたま友人の誘いに乗って立ち寄った北海道伊達市が気に入って、9年間も夏の間は滞在するようになった。それが滞在先のゴルフ場が中国資本に売却されて行く場が無くなり、その後は自宅で過すようになった。




そして自宅を売却して、現在の中央区のマンションに越して来たのである。
幸いに初めての都会生活なので珍しいことが多く、暇を持て余すこともなく現在に至っている。引っ越しに合わせて運転免許証を返納し、昼飯の面倒を女房に掛けないように、必ず毎日出掛けている。

本にあるような生活とは少し違うが、ベトナムとの関係も続いていて「暇を楽しんでいる」ことでは同じである。今は熱心に取り組んでいる趣味も無く、健康だけを願い歩く毎日である。




私の周りは経営者だった人が多く定年は無いので、定年ではなく「引退」である。
でも引退する前に、自らアチラの世界に行ってしまった友人は4人もいる。
自分が61歳で引退したので、お節介にも元気な友人達にも引退を勧めた。
そして4人が賛同して引退し、今では良かったと言っている。

いまは毎日、「むしゃなび」にブログを投稿しているが、これが趣味かもしれない。
あと何年続けられるか分からないが、今の気持ちは「もう十分に生きた。人生からもう引退したい」と思っている。




(おまけの話)
マンションというところは「隣はなにをする人ぞ?」という感じで、全くどんな人か分からない。職業も分からないし、表札を出さないので名前も分からない。
私はここへ越して来た時は、両隣に手土産を持って挨拶に行った。
だからエレベーターで会えば、挨拶くらいはする関係だった。

ところが左隣は入れ替わって挨拶にも来ないので、どんな人達か分からい。
いつも置配の荷物が届いているので、なにか事業をやっているのではないかと思う。




私は越して来てすぐに管理組合の理事の選出が立候補制だったので、訳も分からず立候補した。そして副理事長になり、マンションの経費削減に取り組んだ。
お陰でその時に知り合った人や、それに連なる人達と知り合いになれた。

しかし全員が元サラリーマンだった人達なので、話が嚙み合わない時がある。
中には85歳を過ぎているのに、昔の会社の話しかしない人もいる。
困ったものだが、少しボケてもいるので話を合わせている。




彼らに現役時代の話を聞くと、嬉しそうに話をする。
もう今では関係ないと思うのだが、「うちの会社」と言う。いつまでも会社人間なのである。熱心に取り組んでいる趣味も無く、毎日をだらだらと過ごしている。

でも80歳も過ぎたのだから「定年入門」の本の副題にあるように、「イキイキしなくちゃダメですか」と思う。「だらだら」とはしても「他人に迷惑を掛けず、そして静かに去って行く」のがいまの私の願いだ。


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コメント

    Living Will(Y)

    Living Will(Y)

    定年後を何時の間にか長く過ごしてしまった。納得の行く定年後を過ごしてきた。今日は掛かりつけ医の定期検診日であり、「心の伊達市民 第一号」さんに勧められた「尊厳死」の申し込み書へ掛かりつけ医の署名をいただくつもりであります。
    終活への一歩を踏み出しました。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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