心の伊達市民 第一号
昨年の10月のある日のことである。
マンションの友人のMさんから、ショートメールが入った。
『12月21日~23日で、昨年一緒に行った裏磐梯のペンション「バディ」を2名で予約しました。完全凍結前の湖沼撮影が狙いです。予定をお願いします』。
私は『え~!」と驚いた。Mさんはいつもことだが、私の都合も聞かずに勝手に決めている。『橋本さんは暇人だから行くはずだ』と、決めてかかっているのだろう。
最初にこのメールを見た時は私は10月のことだと思い、『23日は「8020」の表彰式があるので、1泊なら行ける』と返事を出した。でもそのすぐ後に、「完全凍結前の湖沼撮影」とあったことに気が付いて、メールを見直した。
そして12月のことと分かり、『間違えました。12月なら行けます』と再度、メールを送信しておいた。
でも2ヵ月も先のことなら、私に事前に計画を話しても良さそうなものだが・・・・。
最近の私はこんな「早とちり」が増えたように自覚している。
・・・というわけで、12月21日になったのである。
午前6時にマンション前で待ち合わせて、すぐに彼のボルボで出発となった。
首都高速道路から東北自動車道に入り、郡山から磐越自動車道に入って猪苗代磐梯高原ICで降りた。ここで白鳥の撮影をするのが目的のようだ。
私はMさんにお任せなので、予定はよく分からない。
Mさんは猪苗代観光協会に電話して、「猪苗代湖で白鳥のいる場所」を聞いていた。
その結果、「現在は志田浜にいる」と分かり、そこへ向かった。
志田浜に行ってみたら、凄い数の白鳥と鴨が岸辺の近くで遊んでいた。
餌付けがされているらしく、人やイヌさえも恐れない。
近所の人が犬の散歩で来ていたが、犬が近付いても白鳥は逃げない。
晴れた真っ青な空に白鳥が飛んでいる。
右手には会津磐梯山が雪を被って、そびえ立っている。
まだ時間が早いのか、観光客は誰もいない。空気は澄んでいる。深呼吸をする。
気持ちの良いひと時を過ごした後に、ペンション「buddy」に向かう。
ペンションは猪苗代湖から1時間弱だった。
2年前の秋に私はMさんに連れられてこのペンションに来ているので、今回は2度目である。午後3時から、ペンションの企画である撮影に出掛けた。
車は10人乗りのワゴン車で、かなり狭いが初対面なのか誰も話をしない。
宿泊客は8人で、夫婦者2組、1人参加が2人に我々である。
車は20分ほど走り、川の流れる橋の手前で止まった。
そして橋の上から、岩に積った雪の川を撮影するのである。
私はあまり気乗りがしなかったが、みんなに付いて橋の上まで行ってみた。
でも「川が流れている」だけで、これが写真的に面白いとは思えなかった。
適当に何枚か撮影して、私だけすぐに車に戻ってみなを待った。
みんなは熱心で、なかなか戻って来なかった。後で知ったのだが、この橋の名前は「東商橋」だった。
午後5時にペンションに戻り、旅慣れたMさんは『すぐに風呂に行こう』と言った。
私は風呂の大きさを知っているので、『Mさんが出たら、「利用中」の札を出しっ放しにしておいてくれ。私がすぐに行く』と言っておいた。風呂場は狭く、風呂桶も小さく洗い場は1人でも狭い。
私がMさんの後に入って出て来たら、夫婦者の奥さんが入口で待っていた。
他人のジジイが2人も入った後の風呂に入るのに抵抗は無いのかなー?
午後8時に夕食となり、オーナーの奥さんの手料理が出されたが、とても美味しかった。
(おまけの話)
同行のMさんのことである。彼は私より10歳若い。
大手電機会社のサラリーマンで中国に駐在した経験もある。
あまりサラリーマンには向いていなかったようで、55歳の定年で退職してしまった。
私とMさんが知り合ったのは私がこのマンションに越して来てからで、図々しくもデジカメクラブを立ち上げた時からである。
旅に出ると長時間を一緒に過ごすので、お互いの家庭の違いがよく分かって面白い。
彼はすぐに入会してくれて親しくなった。
その後、私が管理組合の副理事長の時に、翌年の理事になることをお願いした。
彼は理事となりタワーマンションの安全管理を学び、遂にはマンション管理の個人事業を始めたのである。
私はMさんに『個人では信用が無いので、法人登録をした方がお客が増える』とアドバイスしたら、その後は色々な会社との付き合いも増えて、今ではタワーマンションの防災の権威となっている。
その仕事の為か、彼はスマホの扱いが凄いと思う。
仕事関係だけでなく、趣味の写真撮影、趣味の料理、過去に行った場所、その地の美味しい店、見るべき場所などを全てスマホに保存してある。私が『そんな大量のデータがスマホに入るの?』と聞いたら、『全てはクラウドに保存してあるから、スマホが壊れたり、紛失してもデータは保存されている』と言う。
彼のスマホを見せてもらったら、外国に行った時のデータも世界地図の上に旗が立っている。『人間の記憶力は限りがあるので、データは頭でなくクラウドに入れ、考える時に頭を使う』と言っていた。
なんだか私には良く分からないが、私は彼を「スマホマン」と呼ぶことにした。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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