心の伊達市民 第一号

写真で見る東京(66)・・・中野坂上

中野坂上にある「東京工芸大学」の公開講座に行った。
この講座は春秋の2回で、それぞれ4回づつ土曜日の午後に開催されている。
私はもう10年くらいは、都合のつく限り通っている。

大江戸線の「中野坂上」で降りて、そこでランチをする。
そこから約10分くらいで東京工芸大であるが、私は必ず途中にある「成願寺」に立ち寄る。


 「成願寺」の塀の巨大な達磨の絵



成願寺の前を通ると、竹の塀の上に巨大な達磨のイラストが描かれているのが見える。
大きさは縦5メートル、横11メートルもある。この絵は滋賀県東円寺の住職である、藤木道明師により平成8年に描かれたものだそうだ。

資料によると『成願寺の本山は福井県永平寺と横浜市總持寺で、いまから650年前に中野長者の鈴木九郎が小田原大雄山最乗寺の五世春屋宗能禅師の教えのもと出家し開創した、観音様ゆかりの寺』だそうだ。


 成願寺の本堂



私がこのお寺に立ち寄るのには理由がある。
61歳で引退した私は、女房から『なにか家で出来る趣味を持ったらどう?』と言われた。もともとアウトドア派の私は家にいることが少なく、家にいたらやることがない。

そこで色々と探した結果、このお寺で仏像彫刻教室が開かれていることを知ったのである。そしてすぐに入会し、月に2回ほど小金井から成願寺に通うようになったのである。


 ユーモラスな羅漢像(成願寺)



仏像彫刻を始めてみたら、これはかなり自分に合っていると感じた。
先生から渡される教材だけではすぐに完成してしまい、次の教室の日まで間が持てない。
そこで成願寺にある羅漢像を写真に撮り、それを彫るようになった。  
まだ未熟な内から勝手に仏像を彫って持参する私に、先生は少し戸惑っていた。

下の羅漢像を見ると、実物とかなり顔が違っている。仏像彫刻で難しいのは、なんといっても「顔」なのである。私の作品は丸顔過ぎるし、額が狭い。


 私の初期の彫刻「羅漢像」



お寺の境内には羅漢像が16体置かれている。
羅漢というのは「尊敬を 受けるに値する聖者」という意味の尊称で、本来は仏陀自体を意味する。狭義には「悟りに至ったもの、出家者の最高位の聖者」を意味する。
十六羅漢はお釈迦様が亡くなった時、「仏教を頼む」遺言された16人の弟子たちである。


 羅漢が3体



成願寺に置かれた羅漢像にも、色々な形、顔がある。
笑っている羅漢、怒っている羅漢、掃除をしている羅漢、書物を読んでいる羅漢、拍子木を打っている羅漢などがあり面白い。
極端なのは「寝ている羅漢」で、これは全ての煩悩が消え、全ての苦が無くなった状態で、最も悟りを開いている高度な状態だそうだ。

私は現役の時は寺なんかに行かなかったし、仏像なんてまるで興味が無かった。
それが仏像彫刻を始めたことで、いまでは非常に仏像に興味を持つようになった。


 寝ている羅漢像



仏像教室に行かなくなって、もう13年が経った。
辞めた理由は「もういい」ではない。マンションに越して来たために、彫刻をする場所が無くなったのである。以前の家では私専用の八畳間の和室があり、そこに大きなテーブルを置いて、いつでも彫刻が出来るようになっていた。

家でやる趣味というものは、少しの時間があってもすぐ出来ないと駄目である。
気が向いたら押し入れから道具を出し、終ったら掃除をしてまた押し入れにしまうのでは面倒になる。でももう刃物を扱うのも危険な年齢になってしまったので、仏像彫刻は諦めている。


掃除をする羅漢像



(おまけの話)
成願寺を出て、東京工芸大学に向かった。お寺から約5分の近さである。
東京工芸大学の歴史は古く、1923年に小西写真専門学校として設立された。
この「小西」は昔の「小西六写真工業」で、カメラのコニカである。
1950年に東京写真短期大学と校名を変えたが、写真に詳しい人はその校名から「写大」として覚えている。

午後1時30分から講義が始まるので、その前に2階の「写大ギャラリー」を見ることにした。展示されていた写真は1901年生まれで、写大卒業生でもあった故人の阿波根昌鴻氏の「人間の住んでいる島」で、1955年ころの米軍に対する非暴力の土地闘争の記録だった。


 「写大ギャラリー」(東京工芸大学)



1階の廊下の片隅で、面白い看板を見付けた。
そこには「ピ逃げ、代理出席は不正行為です!」とり、下にピ逃げの説明があった。

「ピ逃げとは学生証を機械にかざして出席を登録したら、すぐに退出する行為。出席登録が正常に確認できたときピッと音がするから』と書いてあった。
私の学生時代と違って、いまは学生証で出席をセンサーで確認するんだなー。


  面白い注意看板があった



この日の講義のテーマは「空間デザイン」だった。
先生はこの学校の卒業生で、現在はデザイン会社を経営している人だった。
先生はマイクを使っているが声が小さくて、最近耳が遠くなった私にはあまり聞き取れない。補聴器を持ってくれば良かったと思ったが、もう遅い。

聴講生は高齢者が多く、全員で80名くらいいた。話は難しくて、中には寝ている人もいた。90分の授業だが、途中で10分の休憩がある。
年内にあと1回の授業があるので、次回は補聴器を忘れないようにしよう。


 公開講座の教室

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コメント

    Shinji

    Shinji

     初期の彫刻「羅漢像」、とてもいいですね。飾らない、”純”な、そして優しさとヒューマニティーが溢れていると感じました。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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