心の伊達市民 第一号

写真で見る東京(95)・儀装馬車が行く

世界の各国大使が日本に着任すると、必ず信任状捧呈式という儀式が皇居で行われる。
そこで天皇陛下に「信任状」を捧呈するのである。
各国大使は東京駅から皇居まで出迎えがある。その時は自動車か儀装馬車かを選べる。
ほとんどの大使夫妻は「儀装馬車」を希望するそうだ。

4月17日に2つの国の大使が着任して、儀装馬車で皇居に向かうと宮内庁のHPで発表があった。この発表はたった2日前なので、なかなか目につきにくい。



急な発表なので、最近は見逃すことばかりだ。以前はもっと早くから発表していたのだが・・・。今回は前日に何気なくチェックしたら出ていたので、他の予定をキャンセルして写真撮影に向かった。時間は東京駅から午前10時過ぎに1回目の出迎えで、30分おいて2回目の国の大使を出迎える。

しかし、残念ながら「どこの国の大使か?」の発表は無い。
私の調べた限りでは1回目はアメリカの実業家で、元ポルトガル大使のジョージ・グラス氏ではないかと思った。


 続いて儀装馬車が見えて来た。



私は信任状捧呈式の予定を事前に知りたいので、「外務省ホームページ新着情報」に登録している。しかし残念ながら、今回の信任状捧呈式の予定の知らせは無かった。

翌日になり新着情報が送信されて来て、その中に信任状捧呈式の結果のお知らせが出ていた。それによると新任大使はアメリカ大使ではなく、「カザフスタン共和国」と「トルコ共和国」の大使であった。
なぜ事前に知らせないのだろうか? テロを恐れているのかもしれない。


東京駅中央口の横に並ぶ儀仗隊



広場の左側には早くから黒塗りの車が停まり、その国の大使館関係者が待っているのが見える。この日は予定より10分ほど早く、儀装馬車列がやって来た。
広場はロープで囲われて、一般人はロープの外から見るようになっている。

馬が驚くので、フレッシュ撮影は禁止である。
儀装馬車列の大使夫妻が乗る馬車だけが、東京駅南口の「貴賓玄関口」に入った。


 大使夫妻を乗せた儀装馬車列が東京駅を出発する



しばらくして、大使夫妻を乗せて儀装馬車群は動き出した。
東京駅前の広場を静かに皇居に向かって、行幸通りを進んで行く。
聞こえるのは、馬の蹄の音だけだ。せわしない時代にあって、なんとも優雅な光景である。

儀装馬車に付いて調べてみたら、『儀装馬車には1号から4号まであり、明治の終りから昭和の初めに製造された。儀装馬車4号は外国からの特命全権大使が新任に当たり、天皇陛下に信任状を奉納する儀式の際に、大使送迎に使用している。送迎に馬車を使用している国は、世界的に見ても英国やスペインなど数カ国である』。


東京駅前広場を進む儀装馬車列



1日に2回の信任状捧呈式があるので、30分後にはまた東京駅に迎えに来る。
馬車列の経路であるが、次のようになっている。
(往路)東京駅→行幸通り→和田倉門交差点→皇居外苑→皇居正面→宮殿南車寄せ
(復路)宮殿南車寄せ→皇居正面→皇居外苑→和田倉門交差点→行幸通り→東京駅

信任状捧呈式の内容は分からないが、割合に簡単なようだ。
東京駅を出て行った馬車列が、30分もしない内に戻って来るからだ。


 式典後に大使夫妻を乗せた儀装馬車列が和田倉門を進む



今回、使われた儀装馬車4号の概要は次のようになっている。
『大正2年に国内で製造。船底型割帆、漆塗で車体胴は海老茶色、重量1098 Kg、全長4.51m、幅1.9m、高さ2.2m、2頭曳の座敔式、4人乗り』。
馬車列が来る前にロープの外で私が待っていたら、外国人観光客を案内しているガイドの日本人女性に質問された。

ガイド『なにかあるのですか?』
私  『間もなく皇居から儀装馬車列が来るのです』
ガイド『それは見る価値がありますか?』
私  『滅多に見られないので、絶対、見た方が良いです』
彼女は案内している観光客に私からの説明を教えていた。馬車列が来た時には、彼らは大喜びだった。そして終った時にはお礼を言われたのである。


大使夫妻を東京駅で降ろして、皇居に向かう儀装馬車列     



(おまけの話)
信任状捧呈式は毎回1日2回、行われる。
午前10時過ぎと10時30分過ぎに、儀装馬車列は東京駅にやって来る。
新任大使を東京駅に送ると、馬車列は一度、皇居に戻って行く。

私は「戻りの馬車に次の新任大使を乗せれば、もう一度来なくて済む」と考えるが、それはしない。合理的であっても、マナーに反するのだろうか?
下の写真を見て「変だな?」と気が付いた人は、神経が細かい。
答えは「右端に白い軽トラックが写っている」である。(静止画のみ)



答えの白い軽トラックは、馬の落とした糞を片付けて運ぶための車である。
馬車列が去ると、慌ただしく清掃係が出て来る。これは馬の落とした糞を片付けるためである。そこで私は疑問を感じた。『なぜ馬は歩きながら糞が出来るのか?』
これをネットで調べてみた。なんでもネットには出ている。

「馬は馬房の中では止まって糞をしている。外にいる時は、歩きながら、走りながらでもする。これは進化の過程で捕食者である肉食動物から逃げるために備わった能力ではないかと考えられる」とあった。「なるほどなー」と、感じ入った次第である。


馬の糞を片付ける係員たち。



1回目の送迎が終り、馬車列が皇居に戻って行った。
これで交通規制が解除されたら、なんだか変な音がした。
そちらを見たら、大手町方面から5台のマリオカートが走って来た。

いい年をした外国人オヤジがぬいぐるみを来て、カートに乗って嬉しそうに私に手を振った。私は神聖な日本文化を堪能していたのに、これでぶち壊しになってしまった。


 「マリオカート」に乗って楽しそうな外国人観光客

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コメント

  1. 功罪(Y)

    功罪(Y)

    返信

    多くの外国人が日本にやって来て日本を楽しんでくれていますね!
    日本の伝統美の象徴でもある「偽装馬車」を偶然見たことを感謝している外国人旅行者もいれば、日本人もあまりやった事のない「マリオカー」で道路を走りはしゃいでいる外国人旅行者もいる。多くのインバウンド訪日外国人を迎える我が国が受ける「功罪」でもありましょう。それを受け入れる度量も持ち合わせるのも観光立国ニッポンであります。

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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