徒然ならざる伊達日記

本屋で働いていた時は、無意識にスキップするくらい何だか楽しかった。
何より雇われているだけで、店長のように責任がないことが、気持ちを軽くさせていた。

レジ打ちでおつりを間違えることもなくなり、
慣れてくるとレジが花形のポジションに思えてくる。
持ち時間が決められていて、自分の番が回ってきたらレジに立ち、
レジに立つと何か誇らしい気持ちになった。

そんな誇らしいレジでもいろんなことがあった。

ひとつは、年配のお客様が、レジに高そうな本を持ってきた。
その方は「このページをコピーしてくれないか」と言った。
そんなサービス、いつから始めたのだろうと思い、
隣のレジの同僚に目で確認すると、頭を横に振っている。

そうだよね、売り物をコピーできるはずないよねと思い直し、
「当店は本を販売しておりまして、コピーは承ることができません。
申し訳ありません。」と言って、お帰り頂いた。
心の中では「ここは図書館じゃないんだけどなあ」
と言っている自分もいたが、お客様第一なので、丁寧に対応した。

もうひとつは、絶対この小さな街では売れないと思っていた本が売れた。
それは男性向けの「薔薇」の付く雑誌だった。
カッコいい細身のスーツのイケメンが、その「薔薇」を持ってきた。
レジで受け取って「あっ」と声が漏れそうになるのを抑えながら、
凄い表紙を下にして袋に入れ、代金と引き換えにお渡しした。

いろんな人が来るんだなあと、改めてこの仕事の奥深さを知った。



コメント

コメントを書く
お名前 必須

名前を入力してください。

メールアドレス
(表示されません)

正しいメールアドレスを入力してください。

コメント必須

コメントを入力してください。

コメントに不適切な言葉が含まれています

パスワード必須

パスワードを入力してください。

パスワードは半角小文字英数字で入力してください。

Cookie

徒然ならざる伊達日記からの関連記事

この町に思うこと こくぼ重孝

25年前、東京からこの北海道伊達市に移住した。都会であくせくして生きてきた自分にとって、この街は楽園のようだった。そんな楽園も暮らしていくといろんなことがあった。徒然なる街ではなく、変化があり退屈しない街に住んで感じたことを600字に絞って綴っていこうと思う。

徒然ならざる伊達日記のよく読まれている記事(直近期間)

徒然ならざる伊達日記のカテゴリー

徒然ならざる伊達日記のハッシュタグ

徒然ならざる伊達日記のアーカイブ