心の伊達市民 第一号
同級生と作っている「都心を歩かない会」で「東京国際クルーズターミナル」へ行った。コロナ前までは「都心を歩く会」だったのだが、段々とメンバーの高齢化が進んでしまい「長距離は歩けない」という人の為に名前だけでなく、実際にあまり歩かない企画の会になった。
私は会長で「歩かない会」の企画を出すのは、思った以上に難しい。
多摩地方に住む友人達の為に都心の珍しい場所を考え、美味しい食べ物も用意しなければならない。
そこで今回はコロナ後に再開となった「東京国際クルーズターミナル」と、すぐ近くの南極観測船「宗谷」の見学を企画した。少し前に私は下見に行って、歩く距離も測っておいた。
今回はランチを食べる店が無い場所なので、事前に「弁当持参」と伝えておいた。
そして午前10時30分に「ゆりかもめ」の新橋駅に集合となった。
今回は全員参加の7名で、まあ年齢の割にはみんな元気な方だ。
「ゆりかもめ」の「東京国際ターミナル駅」で降りて、先ずは近くの潮風公園に行く。
海の見える場所にあるベンチに腰掛けて、各自が持参した弁当を食べる。
なんだかピクニックに来たような感じで、中学時代に戻ったような気分になった。
昔は今のようにコンビニなど無かったから、そのような時は母親が弁当を作ってくれたものだ。いまはコンビニ弁当となってしまい母親の出る幕が無いが、親子関係にどんな影響があるのかと、要らぬ心配をしてしまう。
午後1時近くになったので、クルーズターミナルに向かう。すぐ隣なので、5分も掛からない。エスカレーターに乗り、4階の送迎デッキに出てみた。
すると「にっぽん丸」が入港準備で、タグボートに押されていた。
「エー!」と思ったが、どうやら私が入港と出港を読み間違えたらしい。
でも早めに4階デッキに行って良かった。みんなは近くでクルーズ船の着岸を見られて、良い経験だったようだ。
次は2つ目の目的である、南極観測船「宗谷」の船内見学である。
すぐ近くに見えるが、入江をぐるりと回るので少し距離がある。
Sさんは途中のベンチで安んでしまい、見に来ない。Yさんは目の前まで来たが、階段が多いので中には入らない。私は3回目なので、外で待つ。
中に入って見て来た4人は、『とても良かった』と言っていた。
これで今回の予定は終了となり、「ゆりかもめ」で汐留駅で降りて、シャトレーゼでソフトクリームを食べながら雑談をして解散となった。次回も期待されていて、企画をする私だけが大変だ。
(おまけの話)
数年前に脳梗塞で倒れ、その後、退院して自宅療養をしているAさんを同級生の3人で訪ねた。Aさんには色々な思い出がある。最初は中学1年生の時だった。
彼の父親が小学校の校長先生だった関係で、『家電販売店から学校に寄贈されたテレビを見に来ないか?』と誘われた。その時、私は生まれて初めてテレビというものを見たのである。(1954年)
引退後の話だが彼は会社経営をしていたので、ワゴン車を出してもらい同級生で秘湯巡りをした。また数人で名古屋まで長距離バスに乗って行き、名物の「小倉トースト」と「ひつまぶし」を食べに行ったこともある。
私がこのマンションに越して来たばかりで、まだ様子が分からない時の話である。
マンション前の歩道で信号待ちをしていたら、目の前に車が止まった。
そして後部座席の男が、『橋本!ここで何しているんだ?』と言った。
驚いてその男を見たら、Aさんだった。仕事の関係で、その先の豊海水産倉庫に行くところだった。
とりあえずそのまま自宅に来てもらった。そして部屋に散乱している引越し荷物を見せて、『多過ぎて、入れるところが無くて困っている』と話した。
するとAさんは『丁度、良いところに来た。バザーがあるので、不要な物はもらって行く』と言った。
他の日には彼の会社が「豊洲市場」の建設に関係していたので、私は彼の会社の従業員という資格で工事中の豊洲市場を案内してもらったこともある。こう書いてみたら、Aさんにはお世話になりっ放しである。
そんな彼が脳梗塞で倒れたので、早くお見舞いに行きたかったが、言葉が不自由になってしまったAさんが見舞いを希望しなかったのである。
それがやっと気持ちの整理が付いたのか、また彼の女房を通して会話が可能になったせいか見舞いを受け入れてくれたのである。
私は病人を見舞うことはあまりしない方だと思う。
それは自分の女房が大病で入院した時に、彼女から言われたからである。
彼女は料理関係の仕事をしていたので、料理教室の生徒達が競ってお見舞いに来たいと言った。
その時、彼女はまだ具合が悪かったので、『退院する間近にして欲しいと伝えて』と言った。『どうしてもと言うなら、お花を下さいと言って』と言ったのである。
私も同じ気持ちで、具合の悪い病人を見舞い、更にその時に病状を聞いたりするのは失礼だと感じたからだ。
お見舞いに行く同級生の3人で、JRの駅で待ち合わせた。そこからタクシーでAさんの家に行った。Aさんはとても元気で顔色も良い。
後遺症で言葉が少ししか出ないが、リハビリで改善に向かっている。
我々の話すことは全て分かっているようで、我々の訪問を喜んでくれた。
見舞いの我々3人より彼の方が若く見えて、車椅子が無ければどちらが病人か分からない。久し振りの再会で話はアチコチに飛び、最後はお墓の話にまで行ってしまった。
本当に具合が悪ければ縁起でもなく、とてもお墓の話など出せるものではない。
お昼に「うな重」と「刺身船盛」をご馳走になり、2時間弱の滞在で別れを告げた。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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