補聴器を考える(3)
銀座のメディカルスキャニングで診察のデータが出来上がったので、翌週になってから引取りに行った。そしてその2日後に、それを持ってまた耳鼻科に行った。 MRIの結果を診断するのである。私は全く心配をしていなかった。 その理由は初回に聴力検査をした時には、全くそんな話は出ていなかったからだ。 もしなにか心配があるなら、その時の医師が『MRI検査をしましょう』と言うはずだからである。診断の結果は、やはり問題は無かった。 MRI検査が終ってから耳鼻科に行くまでの間に、ネットで補聴器の購入を考えた。 それまでにも色々と調べているし、購入して使用中の友人にも話を聞いていた。 そして最終的には、先ずはポケット型補聴器を買って試してみようと考えた。 選んだ機種は友人が使っている「リオネット」のポケット型補聴器である。 ネットで調べたら、それは3万4800円だった。これだと中央区の助成金の限度額の3万5000円内で買える。画面で機種を選び、購入手順に従って、クレジットカードの番号も入れて注文確定を押した。 すると、どうしたことか、「クレジットカードの利用承認が得られませんでした」という表示になった。もう一度試したが同じだった。 困った私はカード会社のHPのサイトの、「カードエラー」の画面からエラー項目を探した。 そこには「限度額を越している」、「引き落としが出来なかった」、「カードを破損した」、「有効期限が過ぎている」など10項目があったが、私は最後の「どの項目にも該当しない」だった。 こんなことは長年カードを使っているが、初めて起きたエラーだった。 そこから延々と、カードを利用出来るようにする努力が始まったのである。 エラー対応の電話番号があったので、そこに掛けたが、何回掛けても話し中だった。 その内に「オペレーターとチャット」という項目を見付けて、そこに接続した。 しかし繋がる前に色々と、こちらの情報を書き込まなければならない。 やっと繋がったがチャットなので、こちらが用件を簡潔に、しかも分かり易く書き込まないと駄目である。 30分以上もオペレーターとチャットをして、やっとカードが使えるようになった。 「電話なら簡単なのにー!」と思ったが、電話は繋がらなかったのだから仕方ない。 チャットで色々と質問して分かったのは、どうやらアリゴリズムが関係しているらしい。 カード会社は私の検索や買い物経歴から、私の好みや買い物傾向を判断している。それから大きく外れた買い物は「なりすまし」と判断し、買い物をさせないようにセキュリティがブロックをするようだ。 今回の補聴器は今までの私の買い物行動からはとても想像できない買い物だったので、セキュリティ・ソフトがエラーにしたようだ。 チャットによりエラーが解除されて、やっと補聴器を注文した。 1週間後に宅急便で届いた補聴器を、すぐに試してみた。 私は毎朝、ベッドの中でイヤホンでラジオを聞いているので、今回のポケット型補聴器は同じようなものと感じた。 まあ値段と性能では、納得の合格である。40万円とか60万円の補聴器は、その点では不合格であると思う。今回の件で補聴器ほど、価格と性能が合致していない商品も珍しいと感じた。しばらく使ってみて、この感想が間違っていたら、また報告しようと思っている。 次は助成金の申請である。 既に耳鼻科からは聴力検査の成績表を受け取っているので、それに申請書、補聴器の領収証、振込先銀行口座などを揃えて区役所に出向いた。郵送でもいいらしいが、記入間違いがあると面倒なので持参した。 以前は名前を書けば、なんでも必ず押印を求められた。 それが最近は区役所への申請書でさえ、「印鑑」が不要なのには少し驚いた。 区役所の高齢者福祉課で係の女性に書類を渡し、確認をお願いした。 これで補聴器の件は全て完了となった。ブログも完了となった。 (おまけの話) 日本の補聴器の価格の高さに呆れた私は、アメリカに住むIさんにアメリカの補聴器事情を聞いてみた。私の知りたいことを箇条書きで質問してみた。 1、高齢者は補聴器の人が多いですか? (答)だいたい80歳くらいからですね。 2、一般的な補聴器の値段はどのくらいですか? (答)良いものは$4,000から$6,000(いづれも両耳です)。安いのはcostcoのような大量販売店で、野菜や肉を買う感じで買えます。そこでは$1,500です。 3、補聴器を購入する時は耳鼻科で診察をするのですか? (答)大抵の人は小売店に行って、そこで専門テクニシャンの検査を受けてから買います。Costcoでもそうです。 4、日本では紛失しても、無償の代替品提供がありますが、そちらではどうですか? (答)ありません。 5、補聴器の無償での貸出制度はありますか? (答)ありません。 6、知り合いの人で、補聴器の問題点を話している人はいますか? (答)10年から20年前までは知り合いから問題点をしょっちゅう聞きましたが、最近は文句言ってる人がほとんどいません。 ただこれは個人的なことなので、あまり公にする人が少ないのでハッキリしませんが・・・。 7、補聴器のネット販売と価格はどうですか? (答)こちらでもネットで買えます。値段は$200くらいです。 8、貧困層に対する補助はありますか? (答)貧困層向けのMedicaidという制度があり、医師が証明書を発行すれば$1500くらいのものが無料で買えます。 9、その他、なんでも気の付いたことをお知らせ下さい。 (答)補聴器にapp.(アプリケーション)が付いていて、自分の好きなように聞き方をセットできる。例えば、戸外、とか、レストラン、とか会話とか。それでこまめに調節できるようになったので、かなり良くなったのではないかと思います。宴会場のようなところでのスピーチが聞こえない、という苦情は聞きました。とにかく、補聴器はかなり一般人の生活に入り込んで馴染んでいるようです。 私がアメリカの補聴器状況を知り日本と比べると、「値段は同じようなものだった。しかし紛失保証、無料貸し出しは無いので、日本の方がサービスは良いと思う」。 日本では補聴器の不満は多いが、アメリカではなぜあまり無いのだろう?